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【IDF Fall 2002 Vol.3】Baniasノート向けデュアルバンド無線LANモジュール“キャラセコ”――将来はチップセットに統合

2002年09月12日 22時38分更新

文● 塩田紳二

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今日は9月11日、そう、1年前に同時多発テロが起こった日である。出発前には何も考えていなかったのだが、出発直前に「なぜ、この時期に米国へいく?」と言われた。こちらでは、朝からニューヨークの事件現場で行なわれている式典の中継(ニューヨークのほうが朝が早いのでこちらで朝起きるとすでに向こうでは一日が始まっている)など、ざわざわとした一日だった。キーノート開始前にも黙祷が行なわれるなど、昨年の9月11日を思い出さずにはいられない。

黙祷の時間がもうけられた
キーノート開始前に昨年の9月11日の犠牲者のために黙祷の時間がもうけられた

さて、今日のキーノートスピーチは、サーバー関連。ショーン・マローニ(Sean Maloney)コミュニケーション担当副社長とマイク・フィスター(Mike Fister)エンタープライズプラットフォーム担当上席副社長の2人が登場。今日のテーマは“Modular Enterprise Infrastructure”。多くが企業向けシステムの話だったが、プロセッサー関係では、Itanium 2の簡単なロードマップの説明があった。来年には、次のItanium 2である“Madison”が登場するが、2004年には、その後継の“Montecito”が登場予定。このプロセッサーは90nmプロセスで作られる。

マローニ副社長とフィスター上席副社長
ショーン・マローニ(Sean Maloney)コミュニケーション担当副社長(写真左)とマイク・フィスター(Mike Fister)エンタープライズプラットフォーム担当上席副社長(写真右)
Itanium 2のロードマップ
Itanium 2のロードマップ。来年には“Madison”が登場、さらに2004年には“Montecito”が90nmのプロセスで登場予定

IDFは、同時に展示も行なわれる。“Technical Show Case”と呼ばれているが、IDFの期間中常に行なわれているわけではなく、時間を区切って、初日から3日目まで開催されている。一番大きなブースはもちろんインテルのものだが、実際には、サードパーティーの製品が展示されることもある。

Xscaleベースの小型通信端末
米ビースクウエア(BSQUARE)社が試作したXscaleベースの小型通信端末。Windows CE .NETを使う。本体にはGSM/GPRSによる通信機能を内蔵し、本体底面が手前にスライドしてキーボードが出てくる

このところ面積を増やしているのがXscale関連製品のブース。今回は携帯電話やPDA、開発関連製品など多数が展示された。

StrongARM/Xscale採用のPDAや携帯電話会場に展示してあった、StrongARM/Xscale採用のPDAや携帯電話

そのほか、ヒートシンクからソフトウェア、サーバーまで展示が行なわれるのだが、どうも前回に比べて会場が少し狭くなったよう。やはり、こういう時期なので出展者も減ったのだと思われる。

さて、今回の話題はいくつかあって、AGP 3.0/AGP 8xやシリアルATA IIなどもあるのだが、どうもネタ的には、Baniasが最大の話題のようである。というのも、Pentium 4は、クロックが上がりつつあるところで、当分新アーキテクチャーには移行しないし、Itanium 2もプロセス変更などによるクロック向上を目指している段階。秘密のベールが剥がれつつあるというのはBaniasのみなのである。

昨日のレポートで各社の試作機の写真を掲載したが、あれで分かるようにメーカーはインテルからの出荷を待ち、一気に製品を投入する予定。現在のモバイルPentium 4よりも高性能で、しかもデュアルバンドの無線LANを搭載する予定。というのは、OEMメーカーはBaniasとセットで安価にデュアルバンドのminiPCIモジュール“キャラセコ(Calexico)”を購入することができるからである。将来的にはチップセットに内蔵という方向なのだが、それが無理な現時点では、miniPCIモジュールとし、簡単にノートパソコンに内蔵できるようしているわけだ。また、ノートパソコン向けに低消費電力のGigabitイーサーネットコントローラー『82540EP』も発表されている。
Baniasプラットフォーム用に提供されるminiPCIのデュアルバンド(IEEE 802.11a/b)無線LANモジュール“キャラセコ(Calexico)”

ただ、世間には誤解があるようで、Baniasのみではバッテリー駆動時間を長くすることはできない。正確にいうと、同じ容量の電池ならば、現在のモバイルPentium III搭載マシンと駆動時間はほとんど変わらない。ただし、パフォーマンスは大きく違う。つまり、Baniasは、高い性能を従来並の消費電力で実現するものであり、トランジスター数を減らしたり、性能を落として、低消費電力を実現するものではないのである。このあたりが米トランスメタ社などとは違うところ。もっとも、インテルとしては、新世代のプロセッサーのトランジスター数が少なかったり、性能が落ちているとなると、いままでの高性能、高集積度という立場そのものの否定になってしまう。常に高性能な製品を、高集積度のデバイスで提供しなければならないからでもある。モバイルPentium 4同様、Baniasもそういう宿命を背負っているといっていいだろう。

Baniasの試作ボード
Baniasの試作ボード。これは、奥にあるコーヒーカップ用のヒーターと温度の比較をしているところ。手前キーボードの右側にあるモニターは画像で温度分布を表わすもの。奥のコーヒーカップ部分が赤く、手前の基板はチップセットがほんのり赤くなっている程度

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