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“LCD/PDP International 2002”が開幕――飛躍するFPD 新たなアプリケーションを創出


2002年10月30日

(株)日経BPが主催する、液晶パネルやPDP(プラズマディスプレーパネル)、有機ELディスプレーなどFPD(フラットパネルディスプレー)の関連製品を一堂に集めた展示会“LCD/PDP International 2002”が30日、パシフィコ横浜で開幕した。期間は11月1日までの3日間。

“LCD/PDP International 2002”
会場内のいたるところに展示されていた“LCD/PDP International 2002”の旗。来年は名称が“FPD International 2003”に変更して、同じ会場で行なわれる

テーマは“飛躍するFPD――新たなアプリケーションを創出”で、従来の液晶ディスプレー vs. プラズマディスプレーという図式に変わって、有機/無機ELディスプレーの製品や製造関連機器の出展が増え、初めて有機ELに関するセミナーも設けられた。こうした流れを受けて、来年は名称を“FPD International 2003”に変更することが決定している。

展示会場にはFPD製品だけでなく、コントローラーチップやフィルター、製造プロセスに関連するガラス基板の精密なカッティング装置、洗浄用の水ろ過装置、さらには静電気防止グッズまで、国内外の幅広いメーカーがブースを構えている。海外では、最近の国内の展示会の例にもれず、ここでも韓国や中国からの出展が特に目立った。

透明無機ELディスプレー
透過率75〜80%と、ほぼ遮ることなく向こうが見通せる“透明無機ELディスプレー”。写真は水中(グッピー入り水槽の中)で動作させているところ。電源や回路は下の砂に埋まった部分で接続されている
キャッシュレジスター
透明無機ELディスプレーの活用例。液晶パネル付きレジは、コンビニでも珍しくなくなったが、相手の表情が透けて見えるところが新しい

会場右手奥にブースを構える(株)デンソーでは、透過度75〜80%を実現するというトランスルーセントな無機EL(Electro Luminescence)パネルを展示し、来場者の関心を集めた。すでにアンバー単色8階調表示のパネルは実用化されているが(トヨタ自動車の“マジェスタ”のダッシュボード、ならびにパチスロ台に採用済み)、会場では緑単色のパネルとの2枚組み合わせによる多色表示のデモや、活用例として顧客の表情がパネルを通して見えるキャッシュレジスターなどを展示していた。

MLD
MLD(Multi-Layer Display)のサンプル機。デモではWindowsのデュアルディスプレー表示機能を使って、前後に異なる画面を表示したり、液晶パネルをしつらえたロボットが駆け回るデモプログラム(画面)で前後に奥行きのある迫力の動画を見せていた

同じく右手奥のサミー(株)のブースでは、TFT液晶パネルを前後に2枚並べて、手前の液晶パネルに文字情報、奥のパネルには地図を表示するといった更新頻度の異なる情報を重ね合わせる新発想の表示デバイス“MLD(Multi-Layer Display)”が人目を引いていた。MLDはニュージーランドのDeep Video Imagingという会社との共同開発によるもので、視点(フォーカス)が前後してユーザーが疲れることのないよう、後部パネルの表示を調整しているという。同社の説明員に話を聞いたところ、「技術としては目新しいものではないが、その分既存のさまざまな種類/サイズの液晶パネルに応用できるため、さまざまな用途に活用できる。具体的には、例えばカーナビゲーションシステムにおいて、注意を促す情報を後部から前面へと飛び出してくるように表示すれば、単なる平面のディスプレーで点滅するよりも効果が高い。また、軍事用途では地図情報を後部に、戦略図やエリア情報を前面に重ねることで、情報の頻繁な更新でも大容量の画像データを送受信しなくて済む、といった活用法が考えられる」「ただし、サミー自身はあくまでもエンタテインメントを提供している会社なので、当初はパチンコ/パチスロなどの台に採用することになるだろう」とのこと。

高色純度品
TFT液晶ディスプレーのさらなる研究を続けるシャープブースの“高色純度品”
超広視野角品
同じくシャープの“超広視野角品”。奥の高色純度品が暗転している角度でも、まだまだ明るく見える
プラスチックTFT液晶パネル
プラスチック基板に実装したTFT液晶パネル。ドライバーICの小ささにも注目
プラスチックTFT液晶パネル2
プラスチックTFT液晶パネルを横から見たところ。厚さは0.6mmしかない

平均的なブースの1.5倍程度はあろうという大規模なブースを構えたシャープ(株)では、NTSC信号の72%という高色純度を実現した15インチUXGAフルカラーTFT液晶、ほぼ真横からでも暗転や色変化がほとんど起こらない“超広視野角品”、およびプラスチック基板に実装したTFT液晶パネル(4.4インチ、240×240ドット/26万色表示)などが披露された。高色純度品のNTSC信号比72%という数字は、同社の説明によると「CRTディスプレーとほぼ同等の値。特に従来は難しかった緑の発色を改善した」とのこと。プラスチック基板のTFT液晶は、住友ベークライト(株)が基板開発に協力し、水分や150度程度の温度でも熱による変形が起こりにくい硬質な樹脂パネルと、低温(150度程度)での回路の実装を可能にした製造プロセスの開発により実現したもの。厚さ0.6mm、重量9gと薄型軽量な特徴を活かした利用法を研究するとともに、今後は大型化/高解像度化も進めていくという。

63インチPDP
世界最大級の63インチPDP(プラズマディスプレーパネル)を出展した韓国サムスンSDI社。ちなみに、隣にブースを構えた韓国LG電子社には、60インチのPDPなどが出展されていた
超広色度域品
従来よりも色再現域が広いという、“超広色度域品”パネルのデモ。ぱっと見ただけでは分かりにくいが、赤の深さや背景の青さに違いを感じる

シャープとほぼ同等な最大規模のブースを構える韓国サムスン電子社(Samsung Electronics)とサムスンSDI社(Samsung SDI)では、世界最大級という62インチのPDP、携帯電話向け有機ELディスプレー、色再現性を高めたTFT液晶パネル“超高色度域品”などを出展。ますます勢いづく韓国パワーを見せ付けていた。

有機EL材料
赤、黄色、青、緑の有機EL発光素子。このほかタイホー工業では、白色の発光素子も開発している。これまでは黄色と青の発光素子を混ぜて、擬似的に白色発光を行なっていたとのこと

一方、国内メーカーで気をはく、有機EL材料の開発元タイホー工業(株)では、“単一白色”やより赤みを増した赤、黄色、青、緑の有機EL発光素子を出展し、製造技術の高さを盛んにアピールしていた。

インクジェット有機ELディスプレイ
セイコーエプソンの、インクジェット塗布方式による有機ELディスプレーパネル。現時点ではまだ利用法まで決めてはおらず、大型化/高精細化へ向けての研究段階という

セイコーエプソン(株)も有機ELに注力しているメーカーの1つだ。高分子タイプの有機EL素材を、ピエゾ素子によるインクジェット方式で均一に塗布するという製造プロセスを研究開発しており、過去の展示会においても好評を得ているという。

“BEFシリーズ”
住友スリーエムの輝度上昇フィルムのデモ。バッテリー駆動時間に悩むモバイルユーザーに文字どおり光明をもたらす!?

FPD製品ではないが、住友スリーエム(株)の輝度上昇フィルム“BEFシリーズ”は同社らしいユニークな発想の製品だ。BEFはBriteness Enhancement Filmの略で、微細なプリズム構造が並ぶ樹脂製のフィルターをバックライトの前に入れることで、同じバックライトの光量でも輝度が向上するというもの。90度ねじった方向で2枚重ね合わせることで、さらに高い効果が得られるという。ただし、液晶パネル前面の保護層よりも内側にいれる必要があり、ユーザーがフィルムを購入して自分で装着する、というわけにはいかない。会場では特注品というソニーの“CLIE”らしきPDA(製品名は隠してあった)が比較用に並べられており、通常の導光板のみと見比べると確実な輝度向上の効果が見られる。バッテリー駆動時間に配慮してバックライトを抑えて使うケースの多いPDAやノートパソコンに威力を発揮しそうだ。

電子ペーパー
2003年に製品化が予定されている凸版印刷/E Ink社の“電子ペーパー”。デモ機は5インチサイズで、解像度は320×240ドットのモノクロ表示
カラー電子ペーパー
現在開発中という、カラーフィルターを使った“カラー版電子ペーパー”のデモ機

初日の会場の雰囲気は、同じ10月中に行なわれたIT関連製品と技術の展示会“CEATEC JAPAN 2002”や“WPC EXPO 2002”の華やかな空気に比べるとややおとなしく、研究者やメーカー同士の情報交換の場、というのが率直な印象だが、有機/無機ELをはじめ高画質化や応答速度の高速化などまだまだ研究開発が進むTFT液晶ディスプレー、およびPDPディスプレーなど、最新技術を追いかけている方には興味深い情報が詰まった内容の濃い展示会だ。

“モーナビ。”
液晶コントローラーチップなどを開発するザインエレクトロニクス(株)のブースで見つけた、液晶パネルの応用製品“モーナビ。”。前方にパネルが向いているのは、走行中に画面を見て事故を起こさないように、との配慮か?

(編集部 佐久間康仁)


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