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NECカスタムテクニカ、米沢事業所見学会を開催──NECの全パソコンがここで作られる!!

2002年11月11日 20時49分更新

文● 編集部 阿蘇直樹

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エヌイーシーカスタムテクニカ(株)は8日、同社の生産革新および“SCM(Supply Chain Management)”に関する取り組みを説明する記者発表会を開催し、報道関係者を対象に山形県米沢市にある同社の米沢事業所の生産、開発施設を公開した。

NECカスタムテクニカ(株)の米沢事業所
NECカスタムテクニカ(株)の米沢事業所。従業員数は800名ほどで、米沢市の全工業労働者の2%程度を占める

NECカスタムテクニカは、日本電気(株)グループの生産部分を受け持つ企業。パソコンやドットプリンター、テープドライブなどの開発や生産を行なっており、NECのデスクトップおよびノートパソコンの生産はすべて同社が行なっている。生産拠点は中国と米沢事業所、米沢事業所近くの複数の協力企業が共同で生産を行なう“コ・ロケーション”と呼ばれる施設に分けられる。以前は群馬県太田市の群馬事業所でも生産を行なっていたが、現在は修理やサポートを行なうNECカスタムサポート(株)となっている。一般消費者向けの大量生産品はおもに中国で生産されており、米沢事業所と“コ・ロケーション”は、最新技術を採用した高付加価値の製品を生産しているという。

米沢事業所の製品1
“WPC EXPO 2002”にも出展されていた新型『VALUESTAR』。液晶ディスプレーをカバーしているアクリル板を振動させて音を出す“SoundVu”機能を搭載した液晶一体型パソコン。発売時期などは未定
米沢事業所の製品2
こちらは米沢事業所オリジナルの製品『デジタルスポーツピストル』。専用の的を使用して、実弾を使わずに射撃の練習ができるというもの。集中力を高める効果があるといい、地元の高校生がクラブ活動のトレーニングに取り入れるなど、さまざまに活用されている

記者発表会で最初にプレゼンテーションを行なった、NECカスタムテクニカ代表取締役社長の片山徹氏は、同社のパソコン事業体制やSCMの改革、生産ラインについて説明した。

NECカスタムテクニカ代表取締役社長の片山徹氏NECカスタムテクニカ代表取締役社長の片山徹氏

片山氏によると、パソコン事業では、NECグループの一般顧客向け販売サイト“121ware”や、技術サポートを提供する“121コンタクトセンター”と顧客データベースを関連させ、その顧客データベースを生産にも活用することで、商品力の強化を図るという。これにより、SCMについては、販売店とNECグループ、サプライヤーをネットワークで接続し、市場変化に迅速に対応することで、顧客の視点から付加価値を高める“VCM(Value Chain Management)”を10月より実施していると紹介した。

PC事業の概要
NECカスタムテクニカのパソコン事業概要。一般ユーザー向け製品は、パソコンの販売事業を行なうNECカスタマックス(株)を通じて販売する。ここでいう“パーソナル事業ライン”でVCMが実施されている

生産ラインについては、製品をベルトコンベヤーで流し、1人の作業者は単一の行程のみを担当する“ライン生産方式”ではなく、1人の作業者が複数の作業を担当する“セル生産方式”を採用している。これにより、B.T.Oなど多品種少量生産にも対応することが可能になっているが、昨年、セル生産ラインの強化を行なった。

  • 各工程間の距離を縮める“間締め”
  • 各作業者が隣の作業者の工程も習得し、相互に助け合って生産する“リレー方式”
  • 作業者を支援する設備を導入する“自働化”
  • 単一の生産ラインで複数の製品を生産可能にする“ミックス生産”

などの改善により、生産性が向上し、製品生産量をより迅速に調整することが可能になったほか、総コストに対して2%程度のコスト削減効果が得られたという。

生産革新の概要
生産革新の概要。'01年から取り組みを開始し、現在までに生産性を4倍にまで向上させることに成功している

引き続き、VCMの具体的なシステムについて、一般顧客向けパソコンの販売などを行なっている、NECカスタマックス執行役員PC営業事業部長の由水憲治氏が紹介した。

NECカスタマックス(株)執行役員PC営業事業部長の由水憲治氏NECカスタマックス(株)執行役員PC営業事業部長の由水憲治氏

由水氏によると、新たにVCMを導入したことにより、これまで2週間かかっていた需要予測を1週間で立てることが可能になったという。NECカスタマックスとNECカスタムテクニカは、ともに米i2テクノロジーズ社のシステムを利用して需要予測の立案や供給計画の立案を行なっているという。NECカスタマックスが販売店から月曜に受け取った販売データを元に、火曜の午前中に需要予測を検討すると、火曜の午後にはNECカスタムテクニカ側で供給計画が立案され、供給回答が得られるようになっている。これはソフトウェアの共通化によるだけではなく、NECカスタムテクニカ側の生産ライン改善により、細かい需要変化に対応可能になったことも影響しているという。

需要予測、供給計画立案のイメージ
VCMの基本業務フロー。販売店の売り上げ、在庫データを元にNECカスタマックスが需要を予測、それに対してNECカスタムテクニカが供給回答し、発注、調達が実際に行なわれる。新システムにより、需要予測と供給計画の立案が迅速化したという

由水氏にVCMの今後についてたずねたところ、「現在はNECグループ側で需要を予測しているが、今後は販売店サイドで需要予測がたてられるようにし、顧客ニーズに素早く応えられるようなシステムを構築したい」との答えがかえってきた。

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