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“オートIDセンター”の日本開発拠点が設立――バーコードから進化した製造製品の管理技術

2003年01月22日 22時39分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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製造製品の場所や種別を検知・管理する技術の研究開発を行なう機関“Auto-ID Center(オートIDセンター)”の日本における開発拠点の設立発表会が、22日に都内で行なわれた。発表会には、エグゼクティブ・ディレクターのKevin Ashton(ケビン・アシュトン)氏、リサーチ・ディレクターのSanjay Sarma(サンジェイ・サルマ)氏、リサーチ・ディレクターで慶応義塾大学教授の村井 純氏らが出席し、オートIDセンターの活動内容についての説明があった。

Kevin Ashton氏 Sanjay Sarma氏 村井 純氏
エグゼクティブ・ディレクターのKevin Ashton氏リサーチ・ディレクターのSanjay Sarma氏リサーチ・ディレクターの村井 純氏

オートIDセンターで研究開発している“オートID”という技術は、96bitの固有IDと無線で読み出すためのアンテナを組み合わせたIC付きタグ(RFID:Radio Frequency Readers and Tags)によって、製品の製造/流通/販売およびリサイクルまでの過程を検知・管理するというもの。同様の管理システムとして、現在はバーコードが広く使われているが、バーコードは一度に1件ずつしか入力できず、バーコードが露出するように配置しなければならないなど、人手を介する必要があった。RFIDは電波でICから固有IDを読み取り、そのIDからメーカーを識別、メーカーのサーバーにアクセスして詳細なデータを取り出すという流れになっている。ICチップには固有ID情報のみを入れ、シート状になったアンテナは従来の印刷技術の応用で済むため、低コスト化(目標はRFID1枚が5~10セント、6~12円程度)が見込めるという。

ICチップ 製品の流れ図
IDを記録したICチップは0.4mm(400μm)角。デモに出てきたRFIDは、電気店などで万引き防止用シールとして利用されているようなシート状のコイルをアンテナに用いたものオートIDが普及すれば、工場から出荷された製品が店頭に並び、ユーザーの手に渡ってリサイクルされて工場に戻るまで、製造製品の移動が検知・管理できるという

発表会の中で村井氏は、「オートIDセンターの主な活動は、国を超えて大学や企業と共同でオートIDに関連する技術の研究開発を行なうとともに、参加メーカーとの連携強化や実証実験などを進めること」「情報の管理や運用については世間に誤解を与えず、正しい理解を進めなければいけない」と説明し、最近個人情報の流出に敏感になっている世論への啓蒙・普及活動の難しさを述べた。関連技術の具体例としては、IPv6/モバイルネットワーク/実空間インターネット(位置情報の検出など)/組み込みコンピューター技術などを挙げている。

オートIDセンター・日本研究拠点 ロードマップ
オートIDセンター・日本研究拠点の活動内容と情報の流れを図示したもの日本拠点のロードマップ。日本の商習慣や独特の物流システムなど、欧米の仕組みとは異なる日本固有の問題を提起、解決するのも日本拠点の活動の一環となる

日本での活動スケジュールは、現在4月の発足を目指して準備中だが、すでにフィールドテスト(実証実験)は一部で始まっており、その結果をフィードバックしながら、改良を重ねていくとのこと。なお、日本から参加を表明しているスポンサー企業としては、キヤノン(株)/大日本印刷(株)/三井物産(株)/凸版印刷(株)/日本電信電話(株)(NTT)/エヌ・ティ・ティ・コムウェア(株)(NTTコムウェア)/トッパン・フォームズ(株)/東レインターナショナル(株)/サン・マイクロシステムズ(株)の9社。

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