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家庭に入り始めるロボットたち――“ROBODEX2003”開催


2003年4月4日

横浜市みなとみらい・パシフィコ横浜で“ROBODEX2003”が3日から6日まで開催中だ(5日は10〜19時、6日は10〜18時まで)。人間共存型ロボットの展示会として今回で3回目の開催となるこのイベント、38のブースに90種類を超えるロボットが揃った。

今回のトピックは家庭用ロボットの台頭だ。過去2回はAIBOやトイロボットなどのエンターテイメント系か、ASIMOやPINOなどの研究・イベント用ロボットが主流だったが、今回は家庭用を目指したロボットやコミュニケーションロボットなど、より身近なものが増えた。また、東芝や三菱重工、エプソンといった大手メーカーが初出展したことも注目だ(実はロボットには縁が深いメーカーばかりなのだが)。

もうひとつのトピックは“アトム誕生前夜祭”。ROBODEXは第1回開催時から日本のロボット開発に多大な影響を与えてきたアトムの存在を強く意識しており、今回は“鉄腕アトム”の設定上の誕生日“2003年4月7日”に合わせて日程が組まれている。会場中央には大きな“アトム工場”が設置され、今まさに目を覚まそうとしているアトムが来場者の注目を集めていた。アトムの周囲には三菱重工製の産業用ロボットが6基(マニュピレーター4基、塗装用2基)が設置され、雰囲気を盛り上げていた。なお誕生前夜にあたる最終日にはシークレットイベントが用意されている。

アトム誕生を再現した“ATOM Dream Factory”。アトム製造工場をイメージして三菱重工(株)のロボットアームが彩りを沿えている
アトム誕生を再現した“ATOM Dream Factory”。アトム製造工場をイメージして三菱重工(株)のロボットアームが彩りを沿えている

家庭内用途を目指す東芝

これまで原子力発電用など極限作業ロボットを手掛けてきた(株)東芝は、初の家庭向けロボットを開発中だ。“ApriAlpha”は2輪走行する球状のロボット。家電や情報機器とのインターフェース役を狙っている。CCDカメラと超音波センサー、3基のマイクを搭載、顔認識と音声合成によってコミュニケートできる。また画像を無線LANによってネットワークへ送ったり、逆にネット経由で操作することも可能だ。中身は現時点ではWindows 2000とリアルタイム対応Linux『ART-Linux』のハイブリッド。認識や合成などのアプリケーションはWindows 2000が、モーターやセンサーなどのリアルタイム処理はART-Linuxが担当している。背面には先日発表した燃料電池ユニットを装着することもできる。今後これをベースに開発を重ね、掃除機ロボットなどへ応用するほか、自身の製品化も視野に入れている。

液晶ディスプレーでメンテ中
液晶ディスプレーでメンテ中。人との大きさの対比はこんな感じ。幅は350mm、高さは380mm程度。背面に無線LAN、下部には超音波センサーが見える
燃料電池ユニットを装着したところ
燃料電池ユニットを装着したところ。消費電力自体はノートパソコンのそれとあまり変わらないらしい

富士通は家庭用と研究用の2体を展示

ピーエフユー(株)の『MARON-1』は、富士通の子会社(株)富士通研究所が開発したもので、同じく子会社PFUが販売、製造を担当する。CCDカメラとセンサー、PHS端末機能を持ち、部屋内を自律的に移動できる。角度を変えられる可変式クローラーを装備しており、数cmの段差なら乗り越えることも可能だ。最大の特徴は外部からiモード端末で操作できる点。専用のiアプリでロボット側のPHS局を呼び出してリンクを張り、画像をケータイ側に表示したり、ケータイから移動コマンドを送ることもできる。留守番モードにすると画像の変化を検知、警報を発しつつオーナーのケータイにも連絡、画像を送信する。ベースはWindows CE。米ナショナルセミコンダクター社のGeodeプロセッサーで動作している。現時点では一般販売はしておらずビジネスパートナー向けに29万8000円で販売中だ。

同じく富士通研究所が開発したのが『HOAP-2』だ。研究用プラットフォームとして2年前に発売されたHOAP-1のバージョンアップ版で、腰に1自由度が追加され、より複雑な動きが可能になっている。また腕部のアクチュエーターがより強力なものに変更されており、腕に負担がかかる動きもお手のもの。3点倒立もこなす。制御ソフトウェアに生物の運動制御原理を応用したCPG(Central Pattern Generator)という手法を採用しているのも特徴。これにより姿勢制御に必要な演算が軽くなるうえ、たとえば立ち上がりから歩き始めるといった複合動作時に止まることなくスムーズに移行することができる。通常は立って、それから歩くというように必ず間があるのだが、CPGを使うとそれをごく滑らかに自然にこなすことができるようになる。なおHOAP-2は今夏に約600万円前後で販売される。

MARON-1
MARON-1は2輪自走式。幅320mm、高さ360mm。正面下部のバンパーで障害物を検出できる。液晶ディスプレーを持ち、グリッドパッドとファンクションキーで操作できる
HOAP-2
HOAP-2のサイズはHOAP-1とほぼ同じ。腰と腕が強化されているほか、頭部のカメラが省略されている。全身のセンサーやアクチュエーターをUSBでネットワーク化している

10年ぶりにエプソンがロボットを

セイコーエプソン(株)は10年前にギネスブックにも載った超小型ロボット“ムッシュ”を始めとするマイクロロボットシリーズを累計3000台、販売した実績がある。今回10年ぶりに『ムッシュII-P』を発表した。これは同社のマイクロメカトロニクス技術をロボットというカテゴリーで評価してもらうことが目的。今回は超極薄の超音波モーターと省エネ駆動が可能なBluetoothモジュールが搭載されている。超音波モーターは0.4mmと世界最薄。これを車輪の中に組み込み、外部からBluetoothで操作している。サイズは未公表ながら体積は約8cc。そのほとんどが長時間デモをこなすためのバッテリースペースだ。今回のデモでは11体のムッシュII-Pによるバレエダンスを披露した。今回は純粋なデモだけで販売の予定はないが、もしも出すときはもっと小型にしたいと担当者は言っていた。

『ムッシュII-P』の分解パーツ群
『ムッシュII-P』の分解パーツ群。そのほとんどが電池ボックスで、固い基板は1枚のみ、フレキシブル基板がボックスを覆う
『ムッシュII-P』のデモが始まる直前の様子
『ムッシュII-P』のデモが始まる直前の様子。ゴメンナサイ。演技中の写真は小さくて……

SDR-4X IIの販売は当面ナシ?

ソニー(株)のヒューマノイドは『SDR-4X II』に進化した。外観は昨年のSDR-4Xとほぼ同じだが、音声処理用CPUを新たに追加し、安全対策――首を持ったらサーボが落ちるとか、関節に指を挟んだらトルクがゆるむ――などが施された。また転倒制御にも成功しており、倒れる方向を検知して受け身を取ることもできる。滑らかな動き、ダンスは相変わらずで今回も華麗なダンスと歌を披露した(作曲は坂本龍一氏)。充電用スタンドも製作されており、完成度から発売間近を思わせたが、同社のロボット事業を統括する土井上席常務氏によると「製品化の準備は終わっているが、価格が高くなりすぎて外国の高級乗用車並みになってしまうため、しばらくは販売を見合わせることに決めた」のだそう。当面は同社のマスコット的な役割を与えて製品化のタイミングを待つ模様だ。

徘徊モードで歩き回る『SDR-4X II』。ステレオカメラだけで環境を認識、段差や障害物を避けることができる
専用の充電スタンドに座る『SDR-4X II』
専用の充電スタンドに座る『SDR-4X II』。この状態から自分で立ち上がることも可能

研究中のシルバーASIMOをチラりとお披露目

本田技研工業(株)の“ASIMOも外観は従来通りだが、認識能力やコミュニケーション能力の向上などインテリジェンス性が大きく進化している。自社ブースでは子供を相手にさまざまなゲームをこなしていたし、大ステージでは小型化されたコントローラーを観客が操作、スラローム走行を含む徒競走をこなしていた。ASIMOと記念撮影できるコーナーもあった。驚かされたのが“シルバーASIMO”。全身シルバーで塗装したASIMOは腕と脚の能力が強化された研究モデル。脚の運びを速くして腕を大きく振り上げることで“早歩き”ができるようになっており、従来のASIMOの約2倍、時速3kmを出せるという。指先も5本すべてが稼働するようにも見えた。実はこの銀ASIMO、ステージ以外での撮影は厳禁。細部の写真やエンジニアのインタビューなども一切NGというガードの固さだった。

子供たちとゲームで遊ぶASIMO。元気のいい子供の声は音声認識には不向きなようだ。外観は同じだが、コミュニケーション能力が大きく向上している
シルバーASIMO
シルバーASIMO、遠くからしか押さえられませんでした。確かに早足!

今回は展示に加えてロボットのさまざまな話題について議論するフォーラムも併催されており、興味深いテーマが揃っている。予約制だが、当日の入場も可能なセッションもあるとのことだ。

フォーラムの様子
フォーラムの様子。ソニーの土井上席常務とHRPリーダーの井上東大教授、カーネギーメロン大学ロボット研究所所長の金出教授らがロボット産業の将来について討論した

今回のイベント、事務局側は7万人の来場者を予想しているが、木曜と金曜の2日間は、昨年ほどの混雑はなかった模様で、この週末に集中するかもしれない。

“wakamaru”
三菱重工の“wakamaru”は、家庭内のコミュニケーション役をこなすロボットだ。音声認識と顔認識ができ、1万語近いボキャブラリーを持つ。同社も極限作業ロボットや産業用ロボットを手掛けてきたが、家庭用は初めてになる
綜合警備保障の開発中ロボット
綜合警備保障(株)の開発中ロボットは頭部に燃料電池ユニットを搭載。長時間の稼働を目指している
C4のデモ
綜合警備保障が製品化しているC4のデモ。サイバー隊員が音声やジェスチャーで指示する
『番龍』
(株)テムザック+三洋電機(株)+オムロン(株)の共同開発による留守番ロボット『番龍』。カメラの位置が背中に移ったこれが最終形。198万円で限定50体が販売される
『CAM-08』
おなじみ『CAM-08』。1個のモーターと複雑なカム構造で歩行するトイロボット。奥の小さいのが開発中の『CAM-10』。CAM-08を10cmにシュリンクしたもの。その奥がCAM-09。腰にもモーター入れてスラローム歩きができるモデル
『ER-1』
(株)バンダイはノートパソコンをインテリジェントなロボットにするキット『ER-1』をモニター販売する
“ドラえもんプロジェクト”
“ドラえもんプロジェクト”は着々と進行中。子供が喜んでいた
米Evolution Robotics社
バンダイに『ER1』を供給、提携関係にある米Evolution Robotics社は工業用途を目指した新型を開発中。センサーの数が多い
ATR研究所のロボビー
ATR研究所のロボビーは触覚センサーで触れあうことができるため子供に大人気。全身にセンサーをまとった新型も登場した
“空飛ぶロボット”
日本文理大学で研究されている“空飛ぶロボット”。水蒸気を噴き出すノズルをラジコンサーボで制御。瞬間浮き上がって着地する。上部にジャイロが見える
“フラットスルー”
三洋電機の“フラットスルー”。世紀の発明という“ジンジャー”と同じ機構で2輪だけで走行する。同社のお家芸・3次元ビジョンで操作するデモを披露した
“morph3”
ロボットベンチャー(株)ゼットエムピーのブースでは北野共生システムプロジェクトで開発された“morph3”を展示

(浅野純也)


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「汎用連想計算エンジン(GETA)」は、情報処理振興事業協会(IPA)が実施した「独創的情報技術育成事業」の研究成果です。



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