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“Microsoft Tech・Ed&EDC 2003 YOKOHAMA”が開幕――5日には“EDC 2003”の基調講演

2003年08月06日 23時25分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフト(株)は5日、情報システム構築や開発プラットフォームの最新技術動向やシステムの運用、管理、展開の手法などに関するトピックスをソフトウェア開発者、システム管理者向けに提供するカンファレンス“Microsoft Tech・Ed&EDC 2003 YOKOHAMA”を開幕した。会期は8日までで、5日と6日は企業インフラの運用や管理に焦点を当てた“Microsoft EDC 2003”、7日と8日はシステム構築の最先端技術を紹介する“Microsoft Tech・Ed 2003”として催される。

“EDC 2003”の基調講演を行なった、米マイクロソフト社『Exchange Server』開発チーム・プログラムマネジメントディレクター、テリー・マイヤーソン氏

5日は“Microsoft EDC 2003”の基調講演として、米マイクロソフト社の『Exchange Server』開発チームのプログラムマネジメントディレクターであるテリー・マイヤーソン(Terry Myerson)氏が“可能性の扉を開く~Intgrated Platformが創造する情報システムの価値”と題された講演を行なった。

マイヤーソン氏は冒頭、米国のメディアが取り上げた“ITは価値を失ってしまったのか?”というITに対する疑問の声を紹介したが、これに対して、「私はタイガー・ウッズと同じゴルフクラブを使っているが、彼と同じスコアでラウンドできない」という例を出し、IT産業は、単に技術革新を進めていくことで成長していくのではなく、いかにITを使っていくか、いかに状況の変化に対応していくかこそが重要であり、それによって新しい価値が生まれていくと述べた。

企業のITに対する投資内容の内訳と、理想的な投資内容の比率の比較

また、企業のITシステムに対する投資内訳について触れ、現在、新たな価値や性能に対する投資が全体の30%なのに対し、既存システムのメンテナンスや維持に費やされるコストが70%を占めていると述べた。理想的な比率としては前者が45%、後者が55%で、経済状況などの問題から実情と理想の間にギャップがあり、限られた範囲でいかに価値ある投資を行なえるようにするかが求められており、この点にITが付加価値をより創造する余地があるとした。

3系統に分類した業務システムを統合するウェブサービスと、それらを支える“Windows Server System”の機能を紹介するスライド

講演の中で氏は、業務システムを、各企業が所有する生産管理システムなどの“独立したシステム”、小売や健康管理といった“垂直展開するシステム”、ERPやCRM、運送/出荷のシステムのような“水平展開するシステム”の3系統に分類したが、今後のこれらビジネスアプリケーションの進化は、ウェブサービスにより連携が強めら、より有用なサービスになっていくとしている。そしてこの連携のベースになるのがマイクロソフトの各種サーバー製品群で構成される“Microsoft Server System”で、ウェブサービスをより利用しやすく価値あるものとするための共通のサービスインフラであると述べた。

マイクロソフトの“統合化されたプラットフォーム”の構成図。この上にはWindowsクライアントが、そしてバックグラウンドには開発環境の『Visual Studio .NET』が存在する

“Windows Server System”は、『Windows Server 2003』を中心に、『Exchange Server』『Project Server』などの情報の共有/流通を促し個人の生産性を高めるためのインフラ“Information Worker Infrastructure”、『SQL Server』『BizTalk Server』などのアプリケーションサービスのインフラ“Application Infrastructure”、『Systems Management Server』『Operation Manager』などのようなシステムの管理のような日常の運用を支えるためのインフラ“Operaions Infrastructure”の3分野に分類されるサーバー製品群によって構成されるという。これらのサーバー製品群を“Windows Server System”という統合化された製品群として扱うことで、

  • 共通化したプログラミングモデル
  • 共通化したアプリケーション実効環境
  • 共通化したビジネスプロセス
  • 共通化した統一ワークフレーム
  • 共通化したメッセージスキーマ定義環境
  • 共通化したインストールプロセス
  • 共通化した管理構造

を実現し、ITの統合と進化を目指すものだとしている。そしてこれらのサーバー製品群の上には、“Microsoft Office System”やWindowsクライアントOSがあり、バックグラウンドには開発環境として『Visual Studio .NET Version 2003』が存在し、これらのすべてを統合したプラットフォームとして扱っていくという。マイヤーソン氏は、これらの共通化をすすめることによりコストを下げ、システムを再活性化し、再び投資が行なえるような環境を作り出していくと述べている。

Windowsプラットフォームのサーバーのパフォーマンス向上と低コスト化の流れ

また、パフォーマンスとシステムの価値については、1996年時点ではRISCベースのUNIXにtpmC(Transactions Per Minute C)で大きく及ばなかったものの、マイクロソフトとインテル、そのほかのパートナー企業との連携により、7年間で181倍のパフォーマンスの向上を果たし、価格も7年前の1/10にまで引き下げることができたという。

Exchangeサーバーにウェブブラウザーでアクセスする“Outlook Web Access”。会場では期間限定の体験用アカウントが配布されていた

基調講演の中では、これまでにもたびたび紹介されてきた、『Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003』による企業ポータルの例、『Microsoft Outlook 2003』によるスパムメール対策機能や“Information Rights Management”による機能制限といったデモが行なわれた。さらに、これまでの“Microsoft Office System”や『Windows Server 2003』関連の説明会などでは紹介されていなかった、『Microsoft Exchange Server 2003』を利用してインターネットを介して外部からウェブブラウザーのみでメール機能を使用できるようにする“Outlook Web Access”や、“Active Directory”によって管理されたWindowsクライアントマシンのパッチ適用情報をリモートで監視し、管理者側からクライアントにパッチを配布しインストールすることが可能な『Microsoft Systems Management Server 2003』(年内リリース予定)のデモも披露された。

リモートで管理しているマシンのリスト表示画面で、定められたセキュリティー基準を満たしていないマシン(最新のセキュリティーパッチが適用されていないなど)が右側のリストに表示されているリモートで管理しているパソコンの詳細なパッチ適用状況を確認する画面。画面ではわかりにくいが、ここで表示しているマシンは、リスト最下段のパッチが適用されていない。この場合、管理者はリモートでこのマシンに対してパッチを当てることが可能だ
『Microsoft Systems Management Server 2003』によるクライアントパソコンの管理画面
マイクロソフトの製品ロードマップ

講演の最後には、今後のマイクロソフト製品のロードマップが紹介された。これによると、基本となるプラットフォームは2003~2004年は『Windows Server 2003』、2005年はコードネーム“Longhorn”で知られるWindowsに、さらに2006年以降はさらに次の世代のWindows Serverへと移行していくという。また、前述した“Application Infrastructure”の分野では、BizTalk ServerやCommerce Server、Content Management Serverを統合した“E-Bussines Server”製品であるコードネーム“Jupiter”が登場する予定となっている。

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