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米マイクロソフトCEOスティーブ・バルマーが早稲田大学で講演!

2003年11月17日 22時41分更新

文● 編集部 小板謙次

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米マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏は17日、早稲田大学の大隈講堂で“教育分野でのチャレンジ”と題した講演を行なった。同日、早稲田大学とマイクロソフト(株)はコンピュータセキュリティー分野における人材育成で協力していくことに合意したが、バルマー氏の講演はこれに合わせたものだ。

今回の合意に基づき、早稲田大学では2004年4月からセキュリティー技術者養成センターにおいて、Windowsの技術的変遷と内部構造、Windowsのセキュリティー技術とセキィリティー対応、.NET Frameworkによる実践プログラミング、プロジェクト管理技術の基礎と実践といったテーマのカリキュラムが設けられる。対象は理工学部学部学生や理工学研究科の大学院生。詳細は公開されなかったが、マイクロソフト側が同センターへ講師を派遣するほか、大学もインターンシップによって優秀な学生をマイクロソフトリサーチやセキュリティー部門へ派遣するとしている。また、お互いにデータの交換をしつつセキュリティーに関して共同研究を行なっていく。講演開始直前には、バルマー氏と総長の白井克彦氏が壇上に立ち契約書の交換がなされた。

開催場所となった早稲田大学の大隈講堂事前申し込みを行なった学生らが並びはじめる
受付風景約600人が聴講した
バルマー氏と総長の白井克彦氏が壇上に立ち契約書の交換がなされた
10年前のテクロノジーと状況から講演ははじまった

スティーブ・バルマー氏はまず、1993年という10年前の状況を振り返りつつ、当時はパソコンや携帯電話を持っている人は今ほどなく、インターネットを理解している人も少なかったし、「インテルのアンディ・グローブ氏が将来1億台のパソコンが売られるようになると話したとき、ビル・ゲイツと一緒に、そんなことは決してないと笑った」ことを回想した。しかし、実際に現在では1年で約1億5000万台のパソコンが販売されていると紹介し、これからはさまざまな進展が世の中で起き、テクノロジーの追い風をうけるだろうと今後の10年を予測した。その今後10年のなかで重要ななものとして氏が挙げたのがウェブサービスの業界標準であるXMLだ。「コンピュータビジネスで最も大きなイノベーションというのは、そのイノベーションによって企業やソフトウェア開発者たちが他社の成果をきちんと共有できることだ。実はそれを可能にしてくれるのがXMLというアーキテクチャーだ」と話した。氏は、例としてマイクロソフトが関わった米国空軍のプロジェクトを紹介した。同プロジェクトはパイロットが異なる10のシステムからオーダーを受けて素早く分析し、離陸してミッションを実行するというもの。5年前であれば、何ヵ月もプロジェクトを進めながらアプリケーションを書き直さなければならなかったが、XMLを通じてシームレスに情報を統合、4ヵ月で開発することができたとした。また、パイロットが離陸できるようになるまでの時間を従来の5時間から2時間に削減することができたと紹介した。



「マイクロソフトは約65億ドル(7077億円)をR&Dに投資している。日本の企業でR&Dへの投資が一番多いのはトヨタの約62億ドル(6750億円)。しかし、マイクロソフトや日本の企業が単独で研究開発を行なっていくのは難しく、大学とのパートナーシップのもとに協業していくことが重要だ」

セキュリティーに対しては、「人々の生産性を上げるためにいろいろなコードを書かなければならないが、コードレベルで存在している脆弱性をできるだけ軽減し、システムを保護するための能力を積極的に導入していかなければならない」と話した。さらにオープンソースの世界においてはLinuxにも脆弱性はあるとし、業界が一丸となって対応していく必要性を強調した。

また、これからの情報技術産業におけるツールについての考えが示された。氏は講演会場で何人かがノートパソコンを広げているのを見ながら「現在、どうして私の話していることが、みなさんのノートと同期されていないのでしょうか?コンピューターテクノロジーでは、スピーチの内容をすぐに捉える、つまりワイヤレスネットワークを使ってラップトップに(話していることが)ダウンロードされなければいけないと考えている」として、いつでもどこでもどんなデバイスでも分析、プレゼンテーション、通信がコラボレートしていくツールが重要だと話した。オンラインコミュニケーションの手法としてビデオ会議システムはまだ弱いテクノロジーで標準的なコミュニケーションの手法とは言えないとして、この分野も10年で大きく進化していくだろうと話した。



学生から花束を受け取るバルマー氏

教育に関してはどの地域よりもインドと中国の進歩が速いことを指摘し「今年、この両国で世界中のコンピューターサイエンスの学位を持った学生の半分を卒業させることになるだろう」と話した。一方、日本は移動体通信を加速度的に進めており、世界で最も興味深い地域だとして、果敢なチェレンジを学生に呼びかけた。



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