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【Inter BEE 2003 Vol.2】松下、“P2カード”採用の次世代放送システムやリアルタイム字幕制作システム

2003年11月20日 19時52分更新

文● 編集部 小板謙次

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記録メディアに“P2カード”を採用する次世代システム

“P2カード”。4枚のSDメモリーカードをPCカードサイズ(TypeII準拠)に収め4GBの容量で約18分のDVCPRO(25M)データを収録可能
“P2カード”。4枚のSDメモリーカードをPCカードサイズ(TypeII準拠)に収め4GBの容量で約18分のDVCPRO(25M)データを収録可能
P2カード対応カムコーダー。P2カードスロットを5つ搭載している
P2カード対応カムコーダー。P2カードスロットを5つ搭載している
P2カードを利用した次世代の放送システムの一部
P2カードを利用した次世代の放送システムの一部
P2カード対応のデッキ
P2カード対応のデッキ

松下電器産業(株)がブース正面で展示していたのが、現在開発中の“DVC PRO P2シリーズ”だ。これは同社が提案する次世代放送システムの考えから生まれたもので、メディアにはテープでもなくディスクでもない半導体メモリーカード“P2カード”を使おうというもの。P2カードは4枚のSDメモリーカードをPCカードサイズ(TypeII準拠)に収め、SDメモリーカードの4倍の容量と転送速度を実現したもの。4GBの容量で約18分のDVCPRO(25M)データを収録可能としているが、32GBまでの開発が予定されている。P2カードスロットを5スロット搭載したカムコーダー“P2 cam”で取材・収録、PCカードスロット搭載のパソコンで編集、P2カード対応のデッキによって中継車からリアルタイムにデータを送出するというシーンが想定されている。ブースには、これらP2カードやP2 cam、P2デッキが展示され、海外からの関係者から質問がとんでいた。

同社の技術担当者は会場で、P2カードについて次のように答えてくれた。「カードに記録する際のフォーマットは、ファイルの形式としてはMXF。圧縮方式としては松下の放送機器のビデオ圧縮方式であるDVPRO圧縮になります」。ただ、同社が最初に市場に出そうとしている4GBのP2カードでは容量が少ないような気もしてくる。これについては、「カムコーダーはカードスロットを5つ持っているので、最大5枚挿すことが可能です。ですから1回の取材で90分まで撮ることができます。で、満杯になったカードを次々に空のカードに入れ替えていきますと、どんどん撮影できると」。発売は来年春を予定しているとのこと。



24P対応、シネマライクな映像を可能にするミニDVカムコーダーの新製品

『AG-DVX100A』
『AG-DVX100A』
『AG-DVX100A』

また、ミニDVカムコーダーの新製品として紹介されていたのが『AG-DVX100A』だ。DVカムとしてはじめて24Pに対応したとして注目を集めた『AG-DVX100』の上位機種で、型番の最後に追加された“A”はAdvancedを意味する。幅139×高さ160×奥行き364mmというコンパクトな筐体に1/3型、総画素数41万画素(有効画素数38万画素)のCCDとF1.6、f=4.5~45mm(35mm換算:32.5mm~325mm)のライカディコマーレンズを搭載している点は同じ。ただし、フィルムに近い映像が得られる同社独自のガンマ機能として従来のCINE-LIKEに加え、CINE-LIKE-D(ダイナミックレンジ優先にシフトしたCINE-LIKEモード)とCINE-LIKE-V(コントラスト優先にシフトしたCINE-LIKEモード)、B.PRESS(LOWより更にコントラストを強調した映像)の3種類を追加し、合計7種類のガンマカーブが選べるようになっており、スローシャッター機能などが追加されている。



リアルタイム字幕制作システムをデモ!大相撲や歌謡コンサートなど生放送に採用

リスピーク方式によるサッカー中継イメージ
音声認識エンジンはRed Hat Linux 7.3で動いていた
音声認識エンジンはRed Hat Linux 7.3で動いていた
タッチパネル方式で間違った認識を簡単に修正することも可能だ
“記者”を“貴社”へなど、タッチパネル方式で間違った認識を簡単に修正することも可能だ

また、生放送番組用の字幕制作システムのデモも行なわれていた。従来、リアルタイムの字幕制作は専用のキーボードを採用した高速ワープロにより入力を行なっており、アナウンサーの言葉を入力するのに3名、さらに校正に3名が標準だった。今回のシステムは音声認識技術を使うことによって字幕速記者1名、校正1名と字幕制作に関わる人員を削減できるメリットがある。音声認識の精度は「95%だが、番組ごとにカスタマイズしたり、アナウンサーごとに声の特徴を覚え込むことができるモデルを作ることによって97~98%まで精度を高めることが可能」としている。

実況するアナウンサーの言葉を字幕キャスター(入力者)が要約して発声した言葉を音声認識。アナウンサーの言葉を“リスピーク”するのは手間のようだが、雑音による音声認識率の低下を防いだり、多すぎる文字を取捨選択したりして理解しやすくするのに重要だ。

放送中に蓄積された入力音声と修正された字幕データをフィードバックして認識率を向上させる機能を備えるほか、辞書メンテナンスサービスも有償で行なわれる。同システムはすでにNHKが導入しており、大相撲や歌謡コンサートなどに使用されているという。



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