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『Adobe Creative Suite』はデザイナーを助けるか!? 米アドビ システムズ 上級副社長 ジム・ヒーガー氏に聞く


2003年12月16日

●Adobe Creative Suiteの製品戦略を直撃!!

ジム・ヒーガー氏
米アドビ システムズ社の上級副社長でCreative Proビジネスユニットを率いるジム・ヒーガー氏

アドビ システムズ(株)は4日、『Adobe Photoshop』をはじめとするデザイン向け主力5製品を統合した『Adobe Creative Suite』を発表した。同社はこの日、米アドビ システムズ社のCreative Proビジネスユニット 上級副社長のジム・ヒーガー(James J.Heager)氏を招いて製品発表会を行なったが、その発表会の後でヒーガー氏に、Adobe Creative Suiteを中心とした同社のクリエイティブ向け製品の戦略について直接話をうかがう機会を得た。アドビの考えるクリエイティブ戦略およびライセンスの管理保護に対する考えについてヒーガー氏に聞いた。



Adobe Creative Suiteは、デジタルイメージ編集ソフト『Adobe Photoshop(Adobe ImageReadyを含む)』、ベクターグラフィックスソフト『Adobe Illustrator』、DTPソフト『Adobe InDesign』、ウェブページ作成ソフト『Adobe GoLive』、PDF作成・管理ソフト『Adobe Acrobat Professional』の5製品に加え、作成したデータや素材などをこれらのソフトウェア間で横断的にバージョン管理し効率的な再利用を実現する『Adobe Version Cue』の合計6製品(普及版の『Adobe Creative Suite Standard』はAdobe GoLiveとAdobe Acrobat Professionalを含まない)で構成されている。



『Adobe Creative Suite Premium 日本語版』
『Adobe Creative Suite Premium 日本語版』のパッケージ

同時にPhotoshop、Illustrator、InDesign、GoLiveの4製品はメジャーバージョンアップされ、名称が従来のバージョンナンバーではなく“CS”が末尾につく新しい名称に切り替わった。併せて、スタートアップ画面やパッケージなどのイメージデザインも一新され、ブランドイメージの変更(Creative Suiteへの統一化)が行なわれている。

同社のCreative Proビジネスユニットを率いる上級副社長のジム・ヒーガー氏に、Adobe Creative Suiteになったことによって製品戦略にどのような変化が起きているか、話をうかがった。

●Adobe Photoshopは生まれ変わってどこへ向かう?

[聞き手(以下、千葉)] 今回Adobe Creative Suite(以降ACS)にリブランドされましたが、これからは各製品が同時にバージョンアップすることになるのでしょうか?

[ジム・ヒーガー氏] はい。今後、確実に同時リリースしていくことになります。

[千葉] では、ACSとして同時リリースする狙いはどこにあるのでしょうか?

『Adobe Photoshop CS 日本語版』
『Adobe Photoshop CS 日本語版』のパッケージ

[ヒーガー氏] いくつかの製品を同時にリリースすることで、製品間の整合をとりたい、というのがACSを出す大きな眼目でした。同時リリースは、プロフェッショナルのクリエイター/グラフィックデザイナーなどのユーザーにより高い価値を提供できますし、ACSを使うことでアプリケーション間のコネクティビティをきちんとサポートできます。また、スモールワーキンググループ(ここではSOHOや数人規模のデザイン事務所を指す)で仕事をされている方々の生産性を、大幅に改善することができるようになります。

[千葉] 御社の製品にはこのほかにもデジタルビデオ関連など、さまざまなクリエイティブ製品がありますが、これらのスイート(統合)化の予定もあるのでしょうか?

[ヒーガー氏] 重要なものはできる限りすべてのツールを統合していきたいと考えています。具体的にはこれからもっと時間をかけて、各コンポーネントのスイート化について評価していきます。

その中でも我々はデジタルビデオについて注目しています。Adobe InDesignでも一部のビデオコンポーネントを扱えるようになっていますが、ACSにビデオコンポーネントを取り込んで、ビデオを統合化したいですね。クリエイティブ・プロの中にはビデオを扱うケースも増えてきていますし、ビデオをひとつのメディアとして扱うことのできるソリューションに仕上げることでより価値の高いものにできると思います。

[千葉] 同様に『Adobe Photoshop Elements 2』や『Adobe Photoshop Album2』といったコンシューマー製品のスイート化についてはいかがですか?

[ヒーガー氏] 現時点でその計画はありません。現在、Adobe Photoshop ElementsやAdobe Photoshop Albumはハードウェア製品(フラットベッドスキャナーなど)にバンドルしているケースがありますが、今後もコンシューマー製品についてはこうしたバンドル戦略でやっていきたいと考えています。

[千葉] 主力製品であるAdobe PhotoshopをACSに取り込んでしまうことで、“Photoshop”のブランドが弱まる恐れはないのでしょうか?



Adobe Photoshop CS 日本語版の画面
Adobe Photoshop CS 日本語版の画面

[ヒーガー氏] Photoshopのブランドが弱まる可能性があるとは考えていません。クリエイティブ・プロにとってスイート(ほかのアドビ製品との連携や“Version Cue”)の需要は高まっていくと思われますが、同時にプロの写真家にとってもPhotoshopに対するニーズが今後もあり続けると考えています。ですから、この両製品(ACSとPhotoshop)はこれからもきちんと共存できると信じています。

[千葉] Photoshopは、Adobe Photoshop CSとAdobe Photoshop Elements、Adobe Photoshop Alubumという3製品になったわけですが、今後はそれぞれのイメージで独自に進んでいくのでしょうか?

[ヒーガー氏] Adobe Photoshop Elements、Adobe Photoshop Alubumについては同じマーケットではありますが、対象とするニーズが異なるため、現時点ではポジショニングを変えることは考えていません。

[千葉] 同じ性格を持つ製品でも、提供する対象(ユーザー)によってブランディングも変化することがある、ということですか?



ジム・ヒーガー氏

[ヒーガー氏] そのとおりです。プロダクトではなく、あくまで焦点はカスタマーだということです。この方針は私がアドビに入社した時から変わりました。(ヒーガー氏の率いる)Creatuve Pro ビジネスユニットはかつて“クロスメディア プロダクト”という部署でした。微妙な変化かもしれませんが、アドビが顧客中心の企業に変わったということです。

[千葉] カスタマー中心に変わったということですが、カスタマーに対するアプローチは米国と日本で違いがありますか?

[ヒーガー氏] 日米で姿勢における違いはありません。特に日本に対してはAdobe InDesignで日本特有の文字機能を実現しており、評価をいただいていると考えています。

[千葉] そのAdobe InDesignについてですが、日本でのセールスはまだまだこれからというところだと思いますが、米国での状況はいかがでしょう? 今回ACSに組み込んだ効果をどのようにお考えですか?

[ヒーガー氏] Adobe InDesignは最近18ヵ月(1年半)の中で15ヵ月において米クォーク社の『QuarkXPress』(InDesignのライバルとなるプロ向けDTPソフト)を上回るセールスを上げています。ACSに加わったことでさらにプラスの影響が出てくると考えています。



『Adobe InDesign CS 日本語版』のパッケージ
『Adobe InDesign CS 日本語版』のパッケージ

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