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【EDEX2004 Vol.4】東芝松下、5msの高速応答が可能な新方式“OCBモード”を出展

2004年04月08日 13時27分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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東芝松下ディスプレイテクノロジーが参考出展した新たな液晶駆動方式“OCBモード”の技術解説パネル
東芝松下ディスプレイテクノロジーが参考出展した新たな液晶駆動方式“OCBモード”の技術解説パネル

東芝松下ディスプレイテクノロジー(株)は、応答速度が約5ミリ秒という高速描画切り替えが可能な、新たな液晶駆動方式“OCBモード(Optically Compensated Bend Mode)”の試作品を展示した。これは非通電時(光を透過する場合)の液晶分子を弓なりに配列する独自の“ベンド配向”を採用し、通電時との変化量を最小限に抑えることで実現しているという。これにより、広視野角(上下左右160度)、高コントラスト(400~500:1)も実現できると説明する。展示された試作品は、9インチの800×480ドット表示、15.1インチの1280×800ドット表示、23インチの1280×768ドット表示の3タイプで、主な用途は液晶TVや動画再生が主体のAV指向パソコン、地図のスクロールを頻繁に利用するカーナビゲーションシステムなどが考えられる。量産出荷は年内で、「なるべく早めに開始したい」(説明員)と話す。



OBCモードの高速応答性能を、従来の液晶パネルと比較するデモンストレーション
OBCモードの高速応答性能を、従来の液晶パネルと比較するデモンストレーション。地図のような精細な情報では特に、応答速度の差が顕著に現れる

液晶ディスプレーの画面を見せないことで、電車の中など不特定多数が集まる場所でのパソコン利用時の情報漏洩を防ぐ、新たな液晶パネルの用途が(株)東芝/東芝エンジニアリング(株)から提案されていた。“視野角コントロールフィルター”と名付けられたこの製品は、光の透過/非透過を制御する液晶パネルの基礎技術を応用して、通常の液晶パネルの前面に配置し、左側から覗くと光が非透過および右から覗くと光が非透過(いずれも正面に対しては光が透過する)の部分を市松模様に配置している。外部スイッチ(Fnキーとの組み合わせによるソフトウェアスイッチでも実行可能)で非透過を解除すれば、広視野角な液晶パネルを利用して会議室などで数人が同じ画面を覗き込むという従来どおりの使い方もできる。消費電力は20mW程度。

“視野角コントロールフィルター”のデモンストレーション スイッチを切ると市松模様の暗転していた部分が消えて、画面が見えるようになる
“視野角コントロールフィルター”のデモンストレーション。このサンプルでは、市松模様に左向け/右向けの視野角制御フィルターが配置されているスイッチを切ると市松模様の暗転していた部分が消えて、画面が見えるようになる

同様に視野角を制限するフィルムシートは市販されているが、状況に応じて視野角を制御できるメリットは、特にビジネスシーンにおいて需要が高そうだ。市松模様だけでなく、メーカーロゴをデザインすることもできる。今年秋ごろに、まずは東芝のノートパソコンから搭載されそうだ。

シャープが出展した、15インチXGA表示で500cd/m2の高輝度液晶パネル
シャープが出展した、15インチXGA表示で500cd/m2の高輝度液晶パネル

シャープ(株)は、15インチで輝度500cd/m2という同社従来比2.5倍の高輝度液晶パネルなどを出展。この高輝度パネルは同社のTVチューナー内蔵AVノートパソコン『Mebius PC-XC1-7DE』などにも採用されているもの。表示解像度はXGAで、コントラスト比は300:1。また、大画面液晶TV向けの45インチワイドサイズの液晶パネルも参考出品していた。表示解像度は1920×1080ドットで、1080PのHD放送を表示できる。輝度は500cd/2、コントラスト比は800:1。応答速度は12ミリ秒で、視野角は上下左右とも170度。



45インチワイドでハイビジョン対応の液晶パネル
45インチワイドでハイビジョン対応の液晶パネル。同社の液晶TV“AQUOSシリーズ”に採用されるものと思われる

小型で高精細な表示が可能という“CGシリコン液晶”では、2.6インチ/VGA表示タイプを出展。これを3D表示液晶パネルとして組み込んだ、携帯型デジタル放送受信端末のコンセプトモデルも参考出展されていた。モバイル放送(株)が年内にサービス開始予定のデジタル放送に対応したもので、Linuxザウルス“SL-C860”風の端末に歌手のPV風立体映像が映し出されていた。

2.6インチ/VGA表示、ピクセル解像度は1インチあたり300ピクセルを実現する“CGシリコン液晶” モバイル放送が今年提供するというデジタル映像放送の受信端末(コンセプトモデル)を参考出展
2.6インチ/VGA表示、ピクセル解像度は1インチあたり300ピクセルを実現する“CGシリコン液晶”小型の3D液晶パネルのデモンストレーションとして、モバイル放送が今年提供するというデジタル映像放送の受信端末(コンセプトモデル)を参考出展。50cm手前から見ると、奥行き感のある映像が楽しめる

(株)ワコムは、タブレット技術を応用して、携帯電話にペンタブレット機能を組み込む“次世代ペン入力デバイス”(最小2.2インチタイプ)を参考出品。メールなどを手書きで入力するかは疑問だが、最近の携帯電話はアイコン表示によるGUIが一般的で、ペンタッチによるオペレーションは自然で使いやすいと感じた。対応OSはWindows 2000/XP、Windows CE、Symbianで、このほかの携帯電話向けOSにも対応可能だという。

携帯電話にペンタブレット機能を組み込む2.2インチの“次世代ペン入力デバイス”ワコムは、携帯電話にペンタブレット機能を組み込む2.2インチの“次世代ペン入力デバイス”を参考出展

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