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【JavaOne 2004 Vol.1】“2004 JavaOne Conference”が開幕――「虎はここにもいた」

2004年06月29日 21時51分更新

文● 塩田紳二

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6月27日から7月1日(現地時間)まで、米国サンフランシスコ市でJava開発者向けのイベント“JavaOne”が開催される。これは、毎年、米サン・マイクロシステムズ社が開催するもの。会場は、市内のMoscone(モスコーニ)コンベンションセンター。実は、この会場には、従来からあるメイン会場と、昨年完成したMoscone Westと呼ばれる建物がある。Moscone Westでは、現在米アップルコンピュータ社の開発者向けイベントである“WWDC2004”が開催されており、サンフランシスコのダウンタウンは、アップルとJavaの開発者が行き交う状態。それぞれ、参加者には、バッグやネームプレートを配布しており、背中にアップルロゴを背負う人、Javaマークのショルダーバックを肩にかけて歩く人で4thストリートはあふれている。

Moscone Convention Center
会場となったサンフランシスコのMoscone Convention Center

さて、この手のイベントでは例外なく、初日は、大物の基調講演からはじまる。今回は、米サン・マイクロシステムズの社長でCOOのJonathan Schwartz(ジョナサン・シュワルツ)氏が登場。

Jonathan Schwarts氏
米サン・マイクロシステムズの社長でCOOのJonathan Schwartz(ジョナサン・シュワルツ)氏

Schwartz氏の話は要約すると「Javaにはビジネスチャンスがある」(Java=Opportunity)ということだ。Javaカードの出荷が6億枚、デスクトップ用のJavaは6500万本がダウンロードされ、サーバー用は150万本。Javaの動く携帯電話は3億5000万台出荷されたという。
つまり、我々のまわりにはJavaがあふれており、Javaでさまざまなビジネスが可能になるということだ。

Javaとは“機会”
Javaとは、“機会”つまりビジネスチャンスであるというのがSchwartz氏のメッセージ

現在サンは、Javaのライセンスでは大きなビジネスをしていない。ライセンス料はかなり安くなってきている。逆にいうと、サン自身もJavaに関連するサービスや他の製品でビジネスを行なわねばならない状況なのである。それで、ユーザーに提供するさまざまなツールをJava化したり、Java開発ツールなどを販売してビジネスを行なっている。しかし、最も大きいのは、Javaに関連したサーバーなどのビジネスであろう。

たとえば、サーバー側でJavaを動かすならサンのものが一番いいといった形でハードウェアやソリューションビジネスでJavaのリーダーであるサンの優位性を使うというものだ。

J2SE Ver.1.5を紹介
「虎はここにいる」とJ2SE Ver.1.5を紹介

さて、Java自体だが、現在J2SE Ver.1.5と呼ばれる次期Javaメジャーアップデートが開発中である。これは、コードネームで“Tiger”と呼ばれている。奇しくも、アップルのMac OSの次期バージョンのコードネームも“Tiger”。基調講演に「Tiger is Here」というスライドが出たときには、ちょっと笑ってしまった。いま、サンフランシスコには2匹の虎がいるわけだ。

ちなみに、このJ2SE Ver.1.5は、正式リリース時にはJ2SE Ver.5.0というバージョン名に変わる予定。もともと、Java Ver.1.2をJava2としたため、たしかにJ2SE Ver.1.5は、5番目のバージョンにあたる。こうしたことから、これまで、javaでは、小数点第1位の数字がメジャーバージョンを表わしていたのだが、これでは、大きな変化があったということを表わせないという判断なのだろう。

『Java Studio Creator』
製品が発表された『Java Studio Creater』は、サン初のビジュアルプログラミングツール。マイクロソフトでいえばVisual Studioに相当するもの。そのパッケージ案が3つ提示されたが、会場の開発者は虎のデザインを支持

また、基調講演では、ずっと研究プロジェクトであった“Looking Glass”をオープンソース化することが発表された。その関係で、Javaで3次元グラフィックスを扱うJava3Dもオープンソース化するという。これは、Java関連のサイトjava.netで行なわれる予定。

Looking Glassは、3次元グラフィックスを使ったグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)。たとえば、ウィンドウを左右の奥のほうに配置したような表示にすることで、表示をさせつつ、デスクトップを占有しないような配置とすることができたり、デスクトップ自体が回転して新たな作業スペースとなる(イメージとしては円筒の内側でユーザーが作業していて、ディスプレーには、その一部が見えているような状態)。

しかし、操作は割と簡単で、3次元空間を操作するのでなく、マウス操作はあくまでも2次元で、3次元グラフィックスが持つ“遠近感”を使う。サンのデスクトップ用LinuxであるJava Desktop上の研究として一昨年あたりから公開されていたもの。これまでは、あくまでも将来製品化される研究として扱われていたが、オープンソース化することで、研究から実用化へ一歩踏み出したことになる。

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