ディーディーアイポケット(株)(以下、DDIポケット)のブースでは、256kbpsのデータ通信に対応するPHSカードと小型PHSモジュール“R-SIM(Radio-Subscribe Identify Module)”を参考出展していた。
256kbps対応PHSカード | R-SIM(写真上段中央)とジャケットフォン |
2004年度内に256kbpsのデータ通信サービスが始まる見込み
256kbpsのデータ通信に対応するPHSカードは、昨年の“WIRELESS JAPAN 2003”では“技術検討中”として紹介されていたが、今年は2004年度内(2004年4月~2005年3月末)を目処にサービス開始を検討しているアナウンスされていた。同社が現在提供中の最大128kbpsのパケット通信サービスは、ひとつの端末で4つの基地局と通信を行ない、32kbpsのデータ通信を4つ束ねることで128kbpsを実現しているが、展示の端末は、1基地局あたりの通信速度を64kbpsにすることで256kbpsを実現するというもの。また、ホームページの閲覧などの際に同社のデータ圧縮ソフトを使用すれば、体感速度を500kbpsまで上げることが可能だという。
そのほか、256kbps対応PHSカードと一緒に、オフィスビルなどでの使用を想定した“超小型基地局”も展示されていた。この基地局は、建物内でも利用可能エリアの拡大と通信品質の向上を目指して開発されたもので、こちらも2004年度内の実用化を目指している。
写真向かって右より256kbpsのデータ通信に対応するPHSカードとノートパソコン、小型基地局。PHSカードと小型基地局は参考出展で、デザイン等も未定 |
DDIポケットのデータ圧縮ソフトを使えば体感速度を500kbpsまで上げることが可能。イベント会場の下り(ダウンロード)速度テストでは、最高394.99kbpsが記録されていた | “超小型基地局”。デザインやサイズ等は未定だが、A4ノートよりも小さい設置面積を目指してるようだ |
PHSの使い分けを可能にするR-SIMと“ジャケットフォン”
参考出展のR-SIMとR-SIM用のスロットが設けられた“ジャケットフォン”の製品群は、現在商用化(時期未定)に向けて研究開発が進められている。PHSの無線部(R-SIM)とそれ以外のハード/ソフト(ジャケットフォン)を分離することで、通信技術を持たない企業でも、例えば位置情報取得サービスと組み合わせたR-SIM対応の犬の首輪や、インターネット音楽配信サービスやインターネットラジオ放送サービスと組み合わせたR-SIM対応のオーディオプレーヤーなど、幅広い利用シーンを想定した端末/サービスを展開することができる。
R-SIMと500円玉 |
WIRELESS JAPAN 2003では、CF型PHSカードを装着して使用する端末が参考出展されていた。R-SIMは、昨年の参考出展のようにPHSを1回線契約するだけで複数の端末に差し替えて使用できるだけでなく、内蔵メモリーに電話帳/メールの送受信の履歴/画像等のデータフォルダーを記録することができるので、ジャケットフォンを複数台持った場合でも電話帳などの移し替え作業は不要。
参考出展されていたR-SIMにはロゴが印刷されているが、ロゴ/本体デザイン/サイズは仮のもの。同社はSDカードタイプのPHS端末を既に販売しているが、R-SIMは、写真のような500円玉よりも一回り大きい程度の四角い、独自規格のサイズ/インターフェースを採用する予定という。通信速度は32kbpsから256kbpsまで、ジャケットフォンと組み合わせた際の用途や消費電力をふまえて検討したいという。