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【CEATEC JAPAN 2004 Vol.6】インテル、ルイス・J・バーンズ副社長が基調講演──“DTCP over IP”の重要性を強調


2004年10月6日

基調講演

“CEATEC JAPAN 2004”初日の基調講演に米インテル社副社長兼デスクトップ・プラットフォーム事業本部長のルイス・J・バーンズ(Louis J.Burns)氏が登場した。バーンズ氏の講演は出だしからユニークなものだった。

連歌
連歌
会場のスクリーンに映しだされた連歌

「古池や 錦織り成す 落ち葉かな」「本流を 離れて感激の 淀みかな」「デジタルの 流れに命も よりにけり」「フォーマット メディアの障壁 乗り越えて」

会場のスクリーンには情緒豊かな風景とともに、連歌を詠み上げる声、そして文字が映し出されていった。 「連歌は2人の読み手がコラボレーションする作業。繰り返し交互にうたう作業で、独創性をもって相手にインスピレーションを与えることで、表現を拡大していく」とバーンズ氏は解説した。

米インテル社副社長兼デスクトップ・プラットフォーム事業本部長のルイス・J・バーンズ氏
米インテル社副社長兼デスクトップ・プラットフォーム事業本部長のルイス・J・バーンズ氏

氏が凝った演出を行なったのは、言うまでもなくデジタルホームのビジョンを来場者に印象づけるためだ。独創性を持ちながら標準化の上で革新を生み出すことによって、今まで誰も考えてもいなかったような、想像をはるかに上回る市場を享受することができると断言する。現在は、まさにそうした時代への交差点にあるという。

デジタルホームのビジョンをフル活用するためには、まず各デバイスが共通のインフラストラクチャーを持ち、例えばA社のホームシアターとB社のテレビが接続し、C社のエンターテインメントパソコンに接続するといった相互接続性のフレームワークができていることが欠かせない。それには業界標準が重要だ。これにより消費者はどのデバイスにもコンテンツをストレスなくダウンロードできるようになる。氏が示したデジタル市場規模は約400兆円に成長しており、今後この規模は拡大していく。これは、企業にとっても魅力的な機会だといえる。

バーンズ氏は「デジタルコンテンツを消費者が自由に楽しむことができる環境は整いつつある」として、日本でもサービスが開始予定のCinemaNowを紹介。音楽業界の売り上げも上昇している例を紹介した

インテルは標準を確立するために、(株)日立製作所、松下電器産業(株)、ソニー(株)、(株)東芝が参加するDLNA(Digital Living Network Alliance)のガイドラインを発表。現在は160社以上がメンバーとなっており、世界14ヵ国にまたがっている。そこで提案されているのが著作権保護のための“DTCP over IP”だ。これはインターネットプロトコルを介してコンテンツが送信される際に著作権を保護しようという技術。家庭内にあるパソコンやそのほかのデバイスにDTCP over IPが実装されていれば、安全にコンテンツを転送・再生することなどが可能になる。保護されたコンテンツはホームネットワーク外に出ないようにも設計されている。インテルはハリウッドをはじめとしてさまざまな業界に標準化を働きかけており、そのなかででてきた「家庭内でもコンテンツを保護してほしい」という強い要望に応えて作業を進めた。インテルは6月にNMPR(ネットワーク・メディア製品要求仕様書)Ver.1.0を発表しており、この四半期中にも製品がでてくる予定だとしている。

壇上でDTCP over IPのデモを行なうバーンズ氏
壇上でDTCP over IPのデモを行なうバーンズ氏

氏は壇上で、富士通のエンターテインメントパソコンで鑑賞できる映像を、“DMA(Digital Media Adapter)”を介して寝室のデバイスで見るようすや、松下電器産業のDIGAを使ってDTCP over IPの検証を行なうデモを実演した。DMAはプロトタイプとして米ネットギア社のものが取り上げられたが、将来的にはDMAはデバイスに組み込まれていくとしている。また、オンラインムービー配信サービスの有力企業である米Movielink社がDTCP介してコンテンツを配信する映像や、日本でも開始予定となっている米CinemaNow社のVODサービスを紹介した。

壇上でデモされた米Movielink社の配信サービス
終了した時、画面には“DTCP IP PROTECTION”の文字が現われた

ただし、パソコンとそれ以外のコンシューマーエレクトロニクス製品は競合している、あるいは“non PC”でデジタルホームは構築できるという考える人もいる。これを裏付けるように報道関係者からは、インテルはあくまでパソコンをベースにネットワークを拡大していくことなのか? それとも他の分野でのビジネスの比重が増えてくるのか? との質問が挙がった。これについて氏は「パソコンとコンシューマエレクトロニクス製品の間では絶えず競争が起こっている。しかし、われわれはそこに着目しているわけではない。消費者がなにを求めているかを考えることが大切で、標準規格に基づく相互接続性が重要だ。あとはどこに投資するかだ」と回答。さらに、インテルは単なるPCカンパニーではないと続けた。氏のもとにはコンシューマーエレクトロニクスグループという部門があり、シリコンのソリューションをコンシューマ部門にどのように展開していくかを研究している。これらはCPUやチップセットといった本流から派生した分野で、デジタルテレビ、セットトップボックス、デジタルメディアレコーダーといった家庭でのあらゆる展開がターゲットになるという。


ショートインタビュー

バーンズ氏

[編集部] 改めて確認したいが、デジタルホームで核となるのは必ずしもパソコンではないと考えているのか?

[バーンズ氏] 私はPC産業とCE(Comsumer Electronics)産業の間で喧嘩が起こっているかどうかについて興味はないが、実際には喧嘩は起きていない。それにひとつのモデルや見解が支配的になることはないと思う。ただし、家庭内で展開されていくもののなかでは、パソコンは最もフレキシブルでパワーがあるものになるだろうということだけは言える。

[編集部] ではインテルはデジタルホームにおいてどこで利益を確保していこうと考えているのか?

[バーンズ氏] 従来のようにパソコン産業として利益を確保していくことができると考えているし、IPセットトップボックス、デジタルテレビの分野でも可能だ。究極的には、すべての業界は市場を拡大していくことで利益を確保できる。デジタルホームのテーマは、まさに市場の拡大にあるのだから。

[編集部] デジタルホームはいつ現実のものとなるのか?

[バーンズ氏] プロダクトという形ででてくるだろうし、新しいビジネスモデルも登場してくるだろう。そのひとつがCinemaNowの配信サービスであるといえる。

[編集部] “LCOS(Liquid Crystal on Silicon)”の技術について、デジタルホームとは別ラインと考えていいのか?

[バーンズ氏] テクノロジーの可能性ということで1月に発表したものだ。その作業は進行中で、まだプロダクトが登場する段階にはない。しかし、実現されていけばデジタルホームの一部になるだろう。



(編集部 小板謙次)




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