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マイクロソフト、嘉悦女子高等学校でセキュリティー公開授業を実施──ウイルスに「キャー、キモ~イ」の声も!

2004年11月16日 21時05分更新

文● 編集部 新海宏一郎

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マイクロソフト(株)は15日、都内・千代田区の私立嘉悦女子高等学校において高校生を対象としたネットワークセキュリティー授業“情報セキュリティ公開授業”を実施し、同校の高校2年生23名が受講した。

前面カバー内部授業の風景

セキュリティレスポンスチームマネージャーの奥天陽司氏
セキュリティレスポンスチームマネージャーの奥天陽司氏
“情報セキュリティ公開授業”は、文部科学省と経済産業省共管の(財)コンピュータ教育開発センターが実施する、平成16年度産業協力情報授業の一環として実施した公開授業。15日と17日の2回に分けて行なわれる。初日の15日は、インターネットの仕組みから、ウイルスやネット犯罪の種類の解説、擬似ウイルスを使ったデモなど行なわれた。講師はマイクロソフト(株)のセキュリティレスポンスチームマネージャーの奥天陽司(おくてんようじ)氏が務め、同社が独自に作成したテキストと擬似ウイルスなどの教材を使用した。



テキスト
今回の授業用にマイクロソフトが用意したテキスト

授業は、まずインターネットの仕組みをテキストやスライドを使って説明し、インターネットがウェブページの閲覧だけでなく、メールやiモード、ネットゲームなどに使われていることや、情報インフラとして重要な役割を果たしていることを説明した。

デモの風景1
生徒たちは真剣なまなざしで指示された課題を行なっていた
デモの風景2
奥天氏自ら生徒にやり方を教える一面もあった
授業の後半では、擬似ウイルスを使ったデモが行なわれた。最初のデモは、ウイルスに感染したコンピューター上で、指定したフォルダーを開くように指示、フォルダー内のファイルを開くと「全ファイルが削除されました」というメッセージが表示されるというもの。生徒たちからは「うそー」とか「えー」などの声が聞かれた。奥天氏は「これは“ソーシャルエンジニアリング”という手口で、先生や友人など信頼できる人の名前を使ってウイルス付き添付ファイルを開かせるというものです」と説明した。続いて各生徒あてに擬似ウイルス付きメールを配信して、実際に添付ファイルを開くとどうなるかというデモを行なった。添付ファイルを開くとウイルスが起動し、デスクトップ画面にたくさんの“ワーム”(長細くて足のない虫)のイラストが表示され、「不用意に添付ファイルを開いてはいけません」というメッセージとともに一切の操作ができなくなる。最後に、金融機関のウェブサイトを装った“フィッシングメール”のデモを行なった。内容は、各生徒に“情報漏洩に関するお詫び”というメールを配信し、本文のURLをクリックして、擬似ウェブページに誘導し、適当なIDとパスワードを入力させるといったもの。奥天氏は「これは“情報漏洩によりユーザーの情報がもれた可能性がある”という偽のメールを配信し、ユーザーを動揺させ、個人情報を入手して詐欺行為などに使う」と手口を紹介した。生徒たちは感心した表情で授業を受けていた。



デモ写真1 デモ写真2 デモ写真3
デモ写真1。パソコンに保存されたファイルを開くと「すべてのファイルを削除しました」というメッセージが表示されるデモ写真2。メールに添付されていたファイルを開いた瞬間に“ワーム”の語源となった“長細くて足のない虫”の画像が表示され、操作ができなくなる。生徒の中から「キャー、キモ~イ」などの声が上がったデモ写真3。メールのURLをクリックするとIDとパスワードの入力を求めるウェブページが表示される
デモの風景

授業後に受講した同校2年生の大原絵理香さんと草薙恵依(くさなぎえい)さんに話を聞いてみた。大原さんは普段からよくインターネットを利用していて、変なメールの添付ファイルやURLは開かないように気を付けているという。「怪しいサイトにはアクセスしないようにしています」(草薙さん)と2人とも基礎知識は分かっているようであった。大原さんは今回の授業に対し「今まではあやふやな知識も多く、授業を受けてはっきりした」と感想を語った。

中山 忠教諭
中山 忠教諭
授業後の取材に対して奥天氏は、「社会人を対象にしたセキュリティー関連セミナーが多く、女子高校生を相手にしたのは初めてで、とても緊張しました」と感想を述べた。また、嘉悦女子高等学校で情報の授業を担当している中山 忠教諭は、「通常の授業でも基本的なセキュリティー関連の内容は扱っていますが、実際にウイルスの感染状況などの被害を眼で見せることは無理なので、今回のような授業は私も含めて非常に参考になったと思います」とコメントし、今回の授業を高く評価した。

なお、17日には“Windows Update”のやり方や、セキュリティーの設定などを解説するという。同社では、今回の授業で使用した資料(デモ・擬似ウイルスなど)は、今後は他の学校の授業でも利用できるようにするとしている。



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