このページの本文へ

【第6回図書館総合展レポート Vol.1】「ハリー・ポッターにも劣らぬ日本の本をもっと世界に発信してほしい」――“図書館総合展”開幕

2004年11月24日 12時13分更新

文● 編集部 佐久間康仁

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
“第6回図書館総合展(6th Library Fair&Forum)”

図書館の基本的な機能である、“図書資料の収集管理”“貸し出しの充実”を図るための技術やデータベース製品など、図書館に関する総合展示会“第6回図書館総合展(6th Library Fair&Forum)”が、神奈川・横浜のパシフィコ横浜で開幕した。期間は26日までの3日間で、主催は図書館総合運営委員会。入場は無料。

初日の午前中には、企画・運営を担当する(株)カルチャー・ジャパンの代表取締役社長の新田満夫氏、IFLA(イフラ、国際図書館連盟)の事務局長のラス・ラマチャンドラン(Rasu Ramachandran)氏から、開幕の挨拶を兼ねた記者会見が行なわれた。



IFLAの事務局長のラス・ラマチャンドラン氏ら
記者会見に出席したカルチャー・ジャパンの代表取締役社長の新田満夫氏(左)と、IFLAの事務局長のラス・ラマチャンドラン氏

最初に新田氏が、「この展示会を機会に、図書館というものをもう一度正しく認識してほしい。町の中の箱物の中では特に大事にされている施設であり、重要な役割を担っている。出版不況といわれる中でもその価値は変わらないということを、改めて訴えていきたい。そして、現在の図書館がどのように運営されているか、IT化が進んでいるかを知ってほしい」と述べ、初日の特別講演も控えているラマチャンドラン氏を紹介した。

ラマチャンドラン氏は、時折身振り手振りを交えながら、IFLAが世界160ヵ国の図書館をまとめる連盟であること、特に日本の国立国会図書館が尽力していること、世界各国、中でも発展途上国における図書館の役割をサポートするためにIFLAが積極的に活動していることなどを説明した。

続けて、「アメリカでは図書館1つについて3万~4万人をサポートする。日本では20万人程度と言われている。しかし、発展途上国では1ヵ所で1000万人をカバーしなければならない。この現実を見ても、図書館に対してIFLAに、日本にどのようなサポートが求められているかがわかるだろう。図書館の発展とは、蔵書の豊富さだけでなく、保存・管理や検索システムなども重要だ。日本はこうした装置やシステム、さらにノウハウも海外に輸出できる状況にある。こうしたノウハウをフォーラムを通じて活用・共有していきたい」「同時に知ってもらいたいのは、アジアの図書は世界で大きな需要があるということだ。日本の本も翻訳されているが、まだまだ少ない。特に日本の児童向け図書は装丁も内容も優れているのに、残念ながら翻訳されていないため、楽しめるのはごくわずかの限られた人になっている。“ハリー・ポッター”は世界各国に翻訳されて、多くの人に楽しまれているが、同様に優れた本が日本にはたくさんある。これらが翻訳されないために読まれないでいるのはとても残念だ。日本のよい本を、素晴らしいコンテンツを世界各地に普及していくこと。これについてもIFLAを通じて今後積極的に活動していきたい」と、熱っぽく語った。

さらに、日本の“図書館人(ライブラリアン、図書館に携わる関係者全般を差す)”に向けて、「日本の図書館には大量の資料・蔵書があるので、図書館人には多くのユーザーにこれを選んでもらえるように努力してほしい。さらにネットワークを通じて世界のユーザーが利用できる、いきわたるような尽力を望みたい。日本の出版物は、現在は限られた日本研究の方だけにしか知られていないが、もっと教育現場などに行き渡るよう、プロモートしてほしい」と、インターネットを通じた図書の国際流通に対する高い期待感を表明した。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン