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【第6回図書館総合展レポート Vol.4】図書館へのRFID導入を促進する新型プリンターが登場!!――日販図書館サービス&キヤノン

2004年11月24日 20時36分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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日販図書館サービスが参考出展した“RFID対応カラーラベルプリンタ”
日販図書館サービスが参考出展した“RFID対応カラーラベルプリンタ”

会場各ブースの説明員に話しを聞いたところ、図書館では不正な帯出すること(貸出手続きをせずに持ち帰るなど)を防ぐために、磁気テープを使った感知マーカーを蔵書に貼り付けて、ディテクションシステム(検知装置)を出入り口に配置しているセキュリティーシステムはすでに普及している。一方、蔵書の管理のためにはRFID(無線式ID)タグが有効だが、こちらは導入コストや運用の手間(管理データベースの作成やラベルの貼り直しなど)から、まだ普及が進んでいないのが現状だという。

(株)日販図書館サービスが参考出展した“RFID対応カラーラベルプリンタ”は、こうした現状を打破してRFIDの普及を促進するソリューションとして、キヤノンファインテック(株)と共同開発・提案するものだ。具体的には、粘着シート側にRFIDを組み込んだ専用ラベル用紙を用いて、デジタルデータを記録すると同時に、付随する情報(数字によるIDや色分け、管理する図書館の名称など)をインクジェット方式で表側に印刷する。

顔料系4色インク(C/M/Y/Bk)を用いたインクジェット方式のため、RFIDのチップに熱や静電気、圧力などの負荷を与えることなく印刷できるという。印刷解像度は600×600dpi、印字ヘッドは2432ノズル(有効2400ノズル)×4で、給紙速度は毎秒50mmまたは100mm(RFIDに書き込むデータ量によって異なり、64bytesなら毎秒50mm、32bytesなら毎秒100mm)。インターフェースはパラレル/USB 1.1/10BASE-T準拠Ethernetを搭載。本体サイズと重量は、幅690×奥行き440×高さ490mm/34kg。最大消費電力は330W、動作音は60dB以下。デバイスドライバーはWindows 2000/XP対応で、書き込み可能なRFIDは13.56MHzのフィルムタイプ(ISO/IEC 15693準拠)となる。

発売予定時期は2005年5月で、現時点では価格未定。


最後に、非ITながら興味深い、古い本の長寿命化を図る“脱酸処理”を出展するブースがあったので紹介しよう。昭和30年代(1950~1960年)くらいまでの書籍では、インクの安定・定着を図るために“ロジンサイズ剤”が塗布されていた。これが経年劣化により酸化して、本(紙)を傷めてボロボロになってしまうことがある。



紙製本の長寿命化を図る“脱酸処理”
紙製本の長寿命化を図る“脱酸処理”

これを防ぐために酸化したロジンサイズ剤を中和するのが“脱酸処理”“脱酸技術”と呼ばれるもの。米国に本社を置き、日本では東京・青梅市に日本事務所を構えるプリザベーション・テクノロジー(Preservation Technologies)社は、分散剤にペルフルオロヘプタン溶液、中和剤に酸化マグネシウムを用いた専用の溶液をスプレーもしくはタンクへの漬け込みでロジンサイズ剤に浸透させ、脱酸処理を行なう。ただし、現在は日本ではスプレー方式しか対応できず、大量の書籍を一度に脱酸するタンク方式は米国本社での対応となるため、コストがかかるとのこと。



すでに手遅れの状態 脱酸処理の前後で紙やインクの発色に変化がないことをアピール
写真はすでに手遅れの状態で、触ったところからボロボロと崩れる脱酸処理の前後で紙やインクの発色に変化がないことをアピール

脱酸処理を行なうと、紙製本の寿命を3~5倍に引き伸ばすことができるが、それでも酸化が進みすぎて紙に影響が出始めたものは延命が難しい。また、分散剤がフロンの一種であるため、同社では使用後の回収・再利用を進めるとともに、脱フロンとなる代用分散剤の研究を進めているとのこと。

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