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【PAGE 2005 Vol.1】印刷業界もITシフト!! “循環型メディアビジネスに向けて”をテーマにGoogle/Amazon.co.jp/楽天が基調講演でスピーチ


2005年2月7日

グーグルの考える“検索の未来”とは?

“PAGE 2005”の模様

印刷・プリプレス関連の総合展示会である“PAGE(ページ) 2005”が、池袋サンシャインシティコンベンションセンターにおいて開催された。会期は2日〜4日の3日間で、主催は(社)日本印刷技術協会。“循環型メディアビジネスに向けて”とテーマを掲げているように、今回のPAGEは従来のDTPによる印刷物制作に関する機器の展示から、業界全体のIT化に対応して情報コミュニケーションの再構築を主軸とする内容へとシフトしてきており、印刷・出版界にとどまらず、業界の枠組みを超えた“メディアビジネス”に関するあらゆる方面にメッセージを発信するイベントになっている。

初日の2日には、“Web:飛躍の原動力――ネットの計り知れないポテンシャルを土壌として”と題する基調講演が行なわれた。毎回、印刷業界のトレンドを計る上でひとつの指標ともなってきたキーノートスピーチだが、今回はグーグル(株)(Google)、アマゾン ジャパン(株)(Amazon.co.jp)、楽天(株)といったウェブビジネスの成功者である3社からキーマンを招き、ウェブビジネスの可能性について探る内容となった。ITとサービスを組み合わせた3社のビジネスは、今回のテーマである、デジタル化によるコンテンツの再利用で“循環するビジネス”を創出する上で極めて重要なポイントを確実に押さえている。話題は3社それぞれのビジネスモデルに関する自己分析からはじまり、いずれもが今後のミッションと位置づけるウェブサービスに対する考え方と施策に話が絞られた。



基調講演に出席したグーグル、アマゾン ジャパン、楽天のスピーカー
基調講演に出席したグーグル、アマゾン ジャパン、楽天のスピーカー
基調講演の司会を務めた日本印刷技術協会の常務理事の小笠原 治氏
基調講演の司会を務めた日本印刷技術協会の常務理事の小笠原 治氏

はじめに米グーグル社のインターナショナルビジネスプロダクトマネージャーのリチャード・チェン(Richard Chen)氏が、Googleのこれまでの歩みと現状について語った。チェン氏は、「世界中の情報を整理し、世界中からアクセスできるようにする」ことがGoogleの企業ミッションだと語り、具体的な数字を挙げて世界最大の検索エンジンを提供していることを強調した。

インデックス
80億ページ以上(世界最大)
トラフィック
50%以上が米国外から
検索市場シェア
世界の約50%
パートナー
世界で数十万社
広告ネットワーク
インターネットユーザーの80%

また、Googleのビジネスモデルは、

  • ポータルサイトに提供するウェブ検索サービス“Google WebSearch”
  • 情報提供サービスの一環として行っている広告掲載ビジネス“アドワーズ広告”(広告主向け)
  • 同じく“Google AdSense(アドセンス)”(ウェブサイト運営者向け)

があり、これらにより収益を得ているとした。

基調講演で発言する米グーグル社のインターナショナルビジネスプロダクトマネージャーのリチャード・チェン氏
基調講演で発言する米グーグル社のインターナショナルビジネスプロダクトマネージャーのリチャード・チェン氏

米グーグルは、大学や公立図書館の蔵書をスキャンし、本文をオンラインで検索できるようにする“Google Print”や、米国のTV局の番組(一部)に出てきたセリフやナレーションなどから検索できる“Google Video”(2004年開始済み)といった新しいサービスを次々に発表・展開している。これらは現時点では日本語では提供されていないが、チェン氏はすでに提供しているサービスの中で、

  • 無料のウェブメールサービス“Gmail(ジーメール)”
  • デジタル写真管理ソフト“Picasa(ピカサ)
  • 国内ではmixiなどの日本語で提供されているサービスに押され気味だがソーシャルネットワークサービスの先駆けとなった“orkut(オーカット)

などを年内に日本語化する予定であることを明かした。

日本での同社の活動は昨年(2004年)、スイスとインドに続く海外の研究拠点として“Tokyo R&D Center”を設立し、日本のエンジニアによる開発を手がけ始めている。iモードなどの携帯電話におけるGoogle検索サービスは、米国に先駆けて日本で2001年から提供開始されている。チェン氏にorkutの日本語化についてたずねたところ、「タイムラインは設けていませんので(年内サービス開始の)確約はできません。まだまだ日本人のエンジニアが不足しており、なかなか手がまわらないのです」と本音を語った。また、上に挙げたGoogleのサービスがβ版となっている理由についてチェン氏は、「ユーザーのみなさんとともに開発を続けているという認識から」としており、エンドユーザーを巻き込んだβテストの中から、使えるサービスを生み出していく(サービスを成長させていく)同社の姿勢をアピールした。

グーグルの考える検索の未来
グーグルの考える検索の未来。グーグルの提供する検索は、人為的な介入の必要がないアルゴリズムを使うことで、複雑で自動的な検索を可能にしているという

アマゾン ジャパンの“連鎖によるGrouth”

続いて、アマゾン ジャパンのAmazon Webサービステクニカルエバンジェリストの吉松史彰氏が、“XML/Webサービスで実現する次世代のWeb”と題して同社のウェブサービスの動向について語った。始めに「380万を超えるアクティブカスタマー(積極的に購入する顧客)があり、700万点を超えるセレクション、マーケットプレスにおけるユーズド商品などを持っている」ことを紹介し、“低コスト、低価格で販売→顧客満足度の向上→トラフィックの増加→売り手の増加により品揃えが一層よくなる”という連鎖が継続することでGrowth=アマゾンの成果が大きくなる、という同社のビジネスモデルを示した。

基調講演で発言するアマゾン ジャパンのAmazon Webサービステクニカルエバンジェリストの吉松史彰氏
基調講演で発言するアマゾン ジャパンのAmazon Webサービステクニカルエバンジェリストの吉松史彰氏
Amazon.co.jpが掲げる連鎖の構造と“Growth”の構図
Amazon.co.jpが掲げる連鎖の構造と“Growth”の構図

同社の考えるウェブサービスについて吉松氏は、「現在のウェブは電球コンセントに無理矢理に電気扇風機を接続して使っているようなもので、夜になると扇風機を使うか明かりを点けるか困ることになります。ウェブサービスは電球コンセントが、現在普通にある(汎用の)コンセントになるようなものです」と語り、「Amazonの持っているデータとテクノロジーはAmazonだけのものではありません。イノベーションのインフラ提供にAmazonも参加したいことを動機として、Amazonの技術とデータにアクセスできるプログラミングインターフェースを“Amazon Webサービス”を通じて開発者向けに無償提供しています」と強調した。

すでにAmazon Webサービスを活用したサイトが提供されており、吉松氏はその内のいくつかを紹介した。アマゾンの完全子会社であるA9.comが開発したサーチエンジン“A9(エーナイン)”は、グーグルのウェブ検索とAmazonの書籍検索結果を合わせたわかりやすいインターフェイスを持ったもので、キーワードを入力するとそれに関連したページと関連書籍が表示されるというもの。また、外部の開発者が提供しているものとして、

  • アマゾンの検索画面をよりシンプルに分かりやすくすることを目的に開発されたGoogleライクなインターフェースを持つ“Amagle(アマグル)
  • このアーティストを聴いている人はほかにもこういうアーティストを聴いているといった連想情報を集積して、マインドマップのようなアーティストの相関図を表示する“musicplasma.com(ミュージックプラズマ・ドットコム)

が紹介された。

楽天のプロ野球参入がもたらした意外な効果!?

最後に楽天の取締役EC事業カンパニー執行役員である杉原章郎氏は、来場者の期待どおり2005年シーズンのプロ野球参入の効果から語ってくれた。

基調講演で発言する楽天の取締役EC事業カンパニー執行役員である杉原章郎氏
基調講演で発言する楽天の取締役EC事業カンパニー執行役員である杉原章郎氏

杉原氏は、「プロ野球参入後から団塊の世代の利用者が増えており、楽天ブランドの認知度が飛躍的に向上しています。これまで既存媒体での幅広い認知は認識していたものの、(それだけでは)収支が合わないということがありました。しかし、ネットが“1億2000万人、総○○時代”になったことで変わってきました」とし、野球参入の効果を示した。

楽天のサービスはネットショッピングのサイトを簡単に作れる仕掛けを提供したものだが、それでは不十分で当初は「3ヵ月かかって(登録は)13件ぐらい」(杉原氏)という程度だった。その後、企画/プロモーション/データ分析を行なうためのツールを提供した。楽天のビジネスに参加する=“人をエンパワーする”ことで出店者とユーザーを拡大してきたという。

プロ野球参入を表明した2004年夏を境に新規会員、購入者ともに増加した
プロ野球参入を表明した2004年夏を境に新規会員、購入者ともに増加した

楽天のウェブサービスについて杉原氏は、「“人のポテンシャルにエナジーを注入できるサービスか?”というのが着眼点になっています」と語り、同社が提供しているエナジー注入型ウェブサービスとして“楽天市場”“楽天オークション”“楽天ビジネス”“オンライントレード楽天証券”“楽天アフィリエイト”“楽天広場(日記・ブログ)”などを紹介した。現在、「店舗数が1万7000件ぐらい、ユーザー数はもうすぐ1000万人」(杉原氏)に達するうえ、さらに拡大しつつある現状の数字を示した。


このようにいずれのビジネスも形こそ違え、ユーザー、開発者、パートナーといった人との関わり、信頼感からビジネスが動き、成長してきた事が理解できた。このほか、連日、印刷やメディア制作に関わるさまざまな話題をテーマにコンファレンスが行なわれた。

(千葉英寿)




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