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ゼンリン、GIS事業に関する説明会を開催――地下街や公園内の道案内も可能な“歩行者ナビデータベース”を2005年度に事業展開


2005年2月16日
16日に発表されたGISアプリケーションソフト『OA-LightIII』
16日に発表されたGISアプリケーションソフト『OA-LightIII』

(株)ゼンリンは16日、報道関係者を集めた事業説明会を開催し、同社が掲げるGIS(Geographic Information System:地理情報システム)事業に基づいた新製品の紹介と、今後の事業展開についての説明を行なった。

同社は独自の住宅・道路地図情報を軸としたGIS事業を展開しており、デジタル化した住宅・道路地図情報をデータベースとして、さまざまな企業や行政機関向けに提供している。同社取締役営業本部長の高田哲一氏によれば、同社は全国に80ヵ所の調査・営業拠点を抱え、年間のべ約27万人の調査員を動員して地図情報をアップデートしているという。同社の住宅地図情報は全国の99%をカバーし、電力やガスといったライフラインサービス、宅配業、警察や消防といった公的機関などで圧倒的なシェアを誇っている。たとえば警察本部の指令台などでは、44都道府県へ導入実績があるという。そして今後は住宅地図データベースやナビ地図(道路地図)データベースを核として、建物の形状を取り込んだ3次元データベース化や、歩道や施設内の通路情報を取り込んだ歩行者ナビデータベースを構築するなど新規コンテンツを拡充し、ビジネスユーザーやコンシューマーなどターゲットに合わせたコンテンツやアプリケーションを提供することで、地図を提供する企業から情報サービス企業への進化を目指している。

同社が目指す進化の方向性を示した図。現在のビジネスの中核である住宅・道路地図から、3D化データベースや歩行者向けデータベースを作成するなど、幅広い地図情報の提供を目指す
同社が目指す進化の方向性を示した図。現在のビジネスの中核である住宅・道路地図から、3D化データベースや歩行者向けデータベースを作成するなど、幅広い地図情報の提供を目指す
GIS事業の中核となる戦略商品4種。住宅地図を基幹として、サービスやアプリケーションを展開する
GIS事業の中核となる戦略商品4種。住宅地図を基幹として、サービスやアプリケーションを展開する

同社がGIS事業の中核となる戦略商品として掲げるのが、基盤の“住宅地図データベース”、住宅地図をネットワーク経由でパソコンや携帯端末に配信する“住宅地図配信サービス”、歩行者向けナビゲーション用の“歩行者ナビデータベース”、そして新製品として発表された汎用GISソフト『OA-LightIII』の4つである。

OA-LightIIIは企業や行政機関が地図情報を使ったアプリケーションを作成するための地図表示エンジン(地図自体は含まない)で、操作の分かりやすさを重視して設計されている。基本的な地図の表示・検索機能から、台帳管理や条件検索といった専門的な機能まで搭載しているほか、OA-LightIIIを活用したアプリケーション開発を容易にするために、マイクロソフト(株)の.NET Framework 1.1ベースで開発されている。対応OSはWindows XP SP1以上/2000 SP3以上/Me/98。価格は以下のとおり。

スタンドアロン版
基本アプリケーション : 15万円/1ライセンス〜
開発コンポーネント付き : 45万円/1ライセンス〜
ネットワーク版
基本アプリケーション : 50万円/1サーバ、5クライアント〜
開発コンポーネント付き : 127万8000円/1サーバ、5クライアント〜

駅や地下街、公園など歩行者向け道案内サービスも展開

同社が戦略商品のひとつに位置づけているのが、2005年度にサービス開始予定の“歩行者ナビデータベース”だ。「車から人へ! 究極のマン・ナビ」(同社発表資料より)とうたわれるこの新しいデータベースは、道路情報を元にしたカーナビゲーションに対して、歩道を元にした人ナビゲーション用のデータベースである。自動車道路に隣接した歩道はもとより、歩道橋や駅の連絡通路、さらには公園や大型施設内の歩道や地下街の通路など、人が歩くルートを調査員が実際に歩いて計測し、道路地図と組み合わせて人間用のデータベースを作り上げるものだ。このデータベースを使えば自動車道路に依存した既存のナビゲーションとは異なり、人が歩けるルートを元にした経路探索が可能になり、より高精度できめの細かい情報提供が可能になるだろう。

歩行者ナビデータベースの概念図。道路情報だけを元にしたルート検索では見つからない歩行者向けルートも検索できる
歩行者ナビデータベースの概念図。道路情報だけを元にしたルート検索では見つからない歩行者向けルートも検索できる

残念ながら写真撮影は許可されなかったが、会場には実際に調査員が作成したと思われる地図が何枚か展示されていて、そのひとつには上野恩賜公園内の主要な通路を歩いたルートが描き込まれていた。こうした情報は、実際に歩かずに地図を見て作るだけでは真に実用的なものにはなり得ないわけで、まさに大量の調査員を動員可能なゼンリンでなければ作れないデータベースと言えよう。

同社では歩行者ナビデータベースの事業化を2005年度中に始め、関連会社の(株)ゼンリンデータコムを通じて、まずは携帯電話で利用できるナビゲーションサービスから提供を開始する予定だ。そして2006年度にはパソコン向けの配信サービスを予定しているほか、カーナビゲーションとの連携や同社の他のGIS製品との連携なども企画されている。また総務省は2007年4月以降に提供される3G携帯電話に、緊急通報用に位置情報取得機能を標準搭載することを求めている。歩行者ナビデータベースはこれとの連携も視野に入れている。さらに今後の事業の方向性としては、たとえば災害時の避難誘導計画作成や道路のバリアフリー化の検討といった公的利用や、不動産物件や店舗開発といった民間利用など、幅広いジャンルへの応用が期待される。同社では全国の政令指定都市からデータベースを作成し、大都市や観光地などへと拡充を行なう予定としている。

歩行者ナビデータベースの今後の発展の方向性。応用範囲はいくらでも考えられるほど幅広く、大きな可能性を秘めている
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(編集部 小西利明)


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