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ニイウス、IBMの世界最速スーパーコンピューター“Blue Gene/L”のビジネスユースに関する説明会を開催――日本初納入の実機も公開


2005年2月25日
ニイウス本社に納入された、日本で最初の“Blue Gene/L”。平行四辺形をした独特のシャーシが目を引く。横にいる人から、1ラックのおおよそのサイズがイメージできるだろう
ニイウス本社に納入された、日本で最初の“Blue Gene/L”。平行四辺形をした独特のシャーシが目を引く。横にいる人から、1ラックのおおよそのサイズがイメージできるだろう
ニイウス 代表取締役会長兼社長の末貞郁夫氏
ニイウス 代表取締役会長兼社長の末貞郁夫氏

ニイウス(株)は25日、都内の同社本社にて報道関係者向けの説明会を開催し、米IBM社のスーパーコンピューター“Blue Gene/L”(ブルージーン エル)を国内3ヵ所のデータセンターに導入し、金融分野に向けた業務アプリケーションのサービスを行なうと発表した。またBlue Gene/L自体の受注販売も行なう。

同社のビジネス戦略について代表取締役会長兼社長の末貞郁夫氏は、金融業界向けにUNIXサーバーを提供してきた現状のビジネスは成長しつつも曲がり角に来ており、業界全体の構造不況もあって、昨年より戦略転換を進めていたと語った。そしてディーラービジネス主体の今までのビジネスモデルから、新たなサービス市場へと急速に舵をきっているとした。

同社が導入するBlue Gene/Lは、米IBMが開発したスーパーコンピューターである。2つのPowerPC 440-700MHzをCPUコアとして1チップに搭載し、そのチップ2個を1枚のコンピューターカードに搭載したうえ、さらに16枚のコンピューターカードを1台のノードカード上に並べる。1ラック分のBlue Gene/Lは32台のノードカードを搭載する。そのため最終的には1ラックで1024個のCPU(2048個のコア)を搭載するシステムが構築される。1ラック当たりの処理性能は約4.61TFLOPS(1秒間に4兆6100億回の浮動小数点演算を処理)にもなる。さらに米IBMがローレンス・リバモア国立研究所向けに開発中の“BlueGene/L DD2 beta-System”は、16ラック分のシステムで70.72TFLOPSを記録し、現在世界最高速のスーパーコンピューターである(完成後のシステムは64ラックで、ピーク性能は360TFLOPSと予想されている)。



サイドパネルを開けて、中のノードカードが見える状態。写真左の斜め部分は単なるデザインではなく、下側から吸い込む吸気ダクトとなっている
サイドパネルを開けて、中のノードカードが見える状態。写真左の斜め部分は単なるデザインではなく、下側から吸い込む吸気ダクトとなっている
ラックの上についた排気ファン。下から吸い込まれた冷気は、ラック内の熱を奪った後、上側から排気される
ラックの上についた排気ファン。下から吸い込まれた冷気は、ラック内の熱を奪った後、上側から排気される
ラックはボディの両側にあり、それぞれが16台のノードカードを装着できる。両側合計で32台分
ラックはボディの両側にあり、それぞれが16台のノードカードを装着できる。両側合計で32台分
こちら側もデザインではなく、排気ダクトとなっている。冷却は空冷のみ
こちら側もデザインではなく、排気ダクトとなっている。冷却は空冷のみ
IBMが開発中の“BlueGene/L DD2 beta-System”。合計で1万6384個のCPUを搭載するが、最終的にはこの4倍のCPUで構成される
IBMが開発中の“BlueGene/L DD2 beta-System”。合計で1万6384個のCPUを搭載するが、最終的にはこの4倍のCPUで構成される

日本アイ・ビー・エム(株)ソフトウェア開発研究所 所長の岩野和生氏はBlue Gene/Lの特徴について、高性能でありながら消費電力や設置面積が他のスーパーコンピューターに比べて大幅に低い点を挙げた。岩野氏が示したスライドでは、現在世界3位のスーパーコンピューターであるNECの“地球シミュレーター”が消費電力5MW(メガワット)なのに対して、前述のローレンス・リバモア国立研究所向けシステムは、完成時での消費電力が1.5MWに止まるという。スーパーコンピューターとしてはコンパクトで低消費電力なBlue Gene/Lについて末貞氏は、「スパコンと言う言葉を死語にして、(オフィスの中で)ビジネスユースに使うことができる、そういう時代が起ころうとしている」と賞賛した。

Blue Gene/Lと他社のスーパーコンピューターのシステム比較表。性能に対する設置面積や消費電力の小ささは驚きだ
Blue Gene/Lと他社のスーパーコンピューターのシステム比較表。性能に対する設置面積や消費電力の小ささは驚きだ
日本IBMの岩野氏(写真右)が示した、Blue Geneシリーズのロードマップ。2007頃にはPowerPC 450-800MHz〜1GHzを使ったBlue Gene/Pが、2010年までにはBlue Gene/Qが登場するとある
日本IBMの岩野氏(写真右)が示した、Blue Geneシリーズのロードマップ。2007頃にはPowerPC 450-800MHz〜1GHzを使ったBlue Gene/Pが、2010年までにはBlue Gene/Qが登場するとある

ニイウスではBlue Gene/Lを、“グリッド/オートノミック・コンピューティングセンター”(G/Aセンター)と称される大型コンピューターのネットワーク内に設置し、顧客企業のアプリケーションを動かすプラットフォームとして提供する。G/Aセンターの実体は複数のデータセンターに分散(東京豊洲にある(株)アット東京のデータセンター、沖縄電力系の浦添データセンター、沖縄名護に建設中のニイウス名護データセンターなど)しているが、顧客には仮想化された単一のシステムとして提供される。Blue Gene/Lは東京のニイウス本社に置かれるほか、名護と浦添にノード数の少ない小さなシステムを設置する予定である。ユーザーは実際にはフロントエンドとなるLinuxサーバーに接続し、フロントエンド経由でBlue Gene/Lに対してジョブを与え実行する。末貞氏はこうしたモデルを“ローマ帝国の水道局ビジネスモデル”と称し、「(システムは)ユーザーから見えないダムのように設置して、ネットワークを通じて水道の蛇口を捻るように、アプリケーションがお客様に提供される」と、サービスのイメージを語った。ターゲットとする市場は金融分野で、合併により巨大化する銀行向けに、膨大な計算処理のリスク分散を行なうアプリケーションを提供するとしている。

ニイウスの“ローマ帝国の水道局ビジネスモデル”の模式図。仮想化されたサーバー群はTFLOPS規模の処理能力を有し、強力なパワーをユーザーに提供する
ニイウスの“ローマ帝国の水道局ビジネスモデル”の模式図。仮想化されたサーバー群はTFLOPS規模の処理能力を有し、強力なパワーをユーザーに提供する
G/Aセンターのネットワークとサービス提供のイメージ図。ユーザーはインターネット経由で東京のセンターに接続し、各地に分散されたBlue Gene/Lを利用する。札幌は今後設置予定
G/Aセンターのネットワークとサービス提供のイメージ図。ユーザーはインターネット経由で東京のセンターに接続し、各地に分散されたBlue Gene/Lを利用する。札幌は今後設置予定

サービスの開始時期は、今年7月に名護市のデータセンターが完成した後とのこと。料金についても、今後決められるという。販売するシステムの受注は本日より開始する。

(編集部 小西利明)


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