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「おめでとうとは言わない。僕が欲しかったから」と富野節も飛び出す――“文化庁メディア芸術祭”開幕&贈呈式レポート

2005年02月25日 21時02分更新

文● 千葉英寿

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東京・恵比寿の東京都写真美術館において25日、マンガ/アニメ/ゲームなど幅広いカテゴリーから優れた作品を展示・表彰するメディアアートの祭典“平成16年度[第8回]文化庁メディア芸術祭”が開幕した。主催は文化庁メディア芸術祭実行委員会(文化庁/CG-ART協会)。会期は3月6日までで、“文化庁メディア芸術祭受賞作品展”を中心に、受賞した映像作品の上映や、受賞者を招いてのシンポジウムなど、関連イベントが連日開催される。

アート部門の受賞者の面々
平成16年度[第8回]文化庁メディア芸術祭贈呈式の模様。写真は、アート部門の受賞者の面々。中央の女性とその左の男性が大賞を受賞したElectronic Shadowのペア。覚えたてらしい日本語を交えながら、受賞の喜びを熱く語った

これに先立って24日には、“平成16年度[第8回]文化庁メディア芸術祭贈呈式”とその祝賀会が行なわれた。贈呈式では、“アート”“エンターテインメント”“アニメーション”“マンガ”の各部門における大賞をはじめとした各賞受賞者が出席し、実行委員会会長である文化庁長官の河合隼雄氏から賞状ならびに副賞が授与された。

受賞作には実に多彩な作品が集まった。アート部門では世界中の美術シーンを切り出してきたような国際色豊かな受賞作品が揃ったかと思えば、我々にも身近なゲームソフトが大賞を制したエンターテインメント部門、大作を押さえて単館系作品が堂々大賞を勝ち取ったアニメーション部門、ドラマ性の高い作品や立体物を表現方法に用いた作品など多様な作品が受賞して“マンガ大国の面目躍如”となったマンガ部門など、非常に幅広く個性豊かな才能が結集し、文字どおりのメディア芸術の祭典となった。

各部門の受賞作品および受賞者は次のとおり(本文中を除き、作者名は敬称略)。



●アート部門

大賞作品の『3 minutes2』は男女二人組のアートユニット“Electronic Shadow”による映像インスタレーション(装置とそれを取り巻く空間を含む表現)作品。真っ白い凹凸の空間に映像が投影され、奥行きのある異空間が突如眼前に出現する。異空間の中では、男女のシルエットがさまざな背景の中で無言の物語を展開していく。思わず自分自身も異空間に引き込まれそうな感覚に陥る、不思議な魅力のある作品だ。映像表現の新たな可能性を感じずにはいられない。

Sky Earは、LED(発光ダイオード)と携帯電話を仕込んだ風船の固まりが空高く飛ばされ、その携帯電話に電話をかけることで大気中の電磁波に反応して風船が美しく明滅する作品。ぜひ映像ではなく目の前で体験してみたい。

【大賞】

“3 minutes2”
“3 minutes2” (C)Electronic Shadow
3 minutes2(インスタレーション)
作者:Electronic Shadow(ナジア・メスタウィ(Naziha Mestaoui)&ヤシン・アイトゥ・カシ(Yacine AIT KACI))[フランス]

【優秀賞】

“Sky Ear”
“Sky Ear” (C)Usman Haque
Sky Ear(インタラクティブアート)
作者:ウスマン・ハック(Usman Haque)[イギリス]
“GLOBAL BEARING”
“GLOBAL BEARING” (C)平川紀道
GLOBAL BEARING(インタラクティブアート)
作者:平川紀道[日本]
“O'I'O”
“O'I'O” (C)Amoniak films/Simon Goulet
O'I'O(映像)
作者:サイモン・グーレイ(Simon Goulet)[カナダ]
“z reactor”
“z reactor” (C)五島一浩2004
z reactor(映像)
作者:五島一浩[日本]

【奨励賞】

“life-size”
“life-size” (C)scope+Norihisa Hashimoto
life-size(静止画)
作者:scope+橋本典久[日本]

●エンターテインメント部門

エンターテインメント部門の受賞者
エンターテインメント部門の受賞者。中央の『まわるメイドインワリオ』開発チーム代表の阿部悟郎氏は「ゲームを普段やらない人にも興味を持っていただけたらうれしいです」と語った

エンターテインメント部門では、任天堂(株)の携帯ゲーム機『ニンテンドーDS』向けタイトルが大賞と優秀賞に選ばれた。ややもするとマニアックな世界に進みがちなゲームの世界で、誰もが楽しく遊べるゲーム本来のエンターテインメント性を重視したものにスポットを当てた格好だ。『まわるメイドインワリオ』の開発チームを代表して受賞に臨んだ阿部悟郎氏は「スタッフひとりひとりのアイデアによってできあがったものです。ゲームを普段やらない人にも興味を持っていただけたらうれしいです」と語った。

このほか、映像作品では(株)カプコンのアクションゲーム『鬼武者3』のオープニングムービーなど、TV CMなどでよく知られた作品がある中、CGで描かれた白くて不思議な物体が実写の世界を飛行して、最後の企業ロゴの形に合体するというCGと実写を見事に融合させた“YKK AP EVOLUTION”が優秀賞に選ばれた。



【大賞】

“まわるメイドインワリオ”
“まわるメイドインワリオ” (C)2004 Nintendo
まわるメイドインワリオ(ゲーム)
作者:まわるメイドインワリオ開発チーム 代表 阿部悟郎[日本]

【優秀賞】

“Alice in Vivaldi's Four Seasons”
“Alice in Vivaldi's Four Seasons” (C)Music Games International
Alice in Vivaldi's Four Seasons(ゲーム)
作者:Mirek Nisenbaum[アメリカ]
“ピクトチャット”
“ピクトチャット” (C)2004 Nintendo
ピクトチャット(遊具)
作者:ピクトチャット開発チーム 代表 黒梅知明[日本]
“『鬼武者3』オープニングシネマティクス”
“『鬼武者3』オープニングシネマティクス” Character Samanosuke by (C) Fu Long Prodauction (C)CAPCOM CO.,LTD. 2004 ALL RIGHTS RESERVED.
『鬼武者3』オープニングシネマティクス(映像)
作者:倉澤幹隆[日本]
“YKK AP EVOLUTION”
“YKK AP EVOLUTION” (C)YKK AP(株)、(株)電通、(株)東北新社
YKK AP EVOLUTION(映像)
作者:尹 剛志・井口 弘一[日本]

【奨励賞】

“あかね雲”
“あかね雲” (C)2003 akane-maru all rights reserved.
あかね雲(映像)
作者:あかね丸(川口鉄也・阿曽多寿子)[日本]

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