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シマンテック、スパムメールやスパイウェアに関するアンケート調査の結果を公開――認知は広まったものの、対策には不十分な面も

2005年03月02日 23時32分更新

文● 編集部 内田泰仁

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(株)シマンテックは2日、都内で記者説明会を開催し、“スパムメール”および“スパイウェア”に関するアンケート調査の結果を公開した。この調査は、今年1月中旬に実施されたもので、調査の実施と分析は(株)インフォプラントが行なった。

今回結果が公表されたアンケート調査の概要

アンケートの回答者は、インターネット利用歴3年以上の、年代別に均等区分(各年代100名ずつ)された15歳以上の男女計1100名。また比較対象の参考資料として、インターネット利用歴1年未満の15歳以上の男女100名に対しても同様のアンケートを行なったといい、一部項目でその結果が紹介されている。

有料または無料メールアドレスの利用状況メールの受信件数

これによると、有料メールアドレス(インターネット接続プロバイダーが提供するものなど)の利用率は80.2%、無料アドレスは67.0%。全体のほぼ半数にあたる47.2%のユーザーが、有料と無料アドレスを併用しており、メールアドレスの平均保有数は有料アドレスが1.64個、無料アドレスが2.94個。週当たりのプライベートでのメール送受信件数は、利用歴3年以上のユーザーでは送信が19.1件、受信が88.3件と、受信のほうが大幅に多く、この傾向は2004年1月に実施したアンケートよりも強まっているという。年代別に見ると、20代男性の平均受信数が最も多く、利用歴1年未満のユーザーでも同様に送信よりも受信が多い傾向だとしている。

次に、事前の定義説明なしに質問した“スパムメールに対する認識”については、“どんなものかも含めて理解していると思う”が32.7%、“なんとなくこんなものだという程度の認識はある”が31.3%となってといい、6割を超す回答者がスパムメールに対する認識を持っているとの見方を示した。なお、今回実施したアンケートでは、この設問以降の項目では、スパムメールを“迷惑メールとも呼ばれ、受信者の許諾を得ることなく、営利その他の目的で無差別・大量送信されるメール”と定義した上で回答を求めているという。

スパムメールの受信件数スパムメールの内容スパムメールの処理に費やしている時間スパムメールの増減

スパムメールの受信経験については、回答者の96.4%が有料または無料いずれかのアドレスでの受信を経験しており、有料アドレスでの受信率は79.9%、無料アドレスは84.0%にのぼるという。また、スパムメールの処理に要する時間は1日平均7.78分、年間に直すと47時間にもなる。さらに、最近のスパムメールの受信数については、22.5%の回答者が“すごく増えている”、43.4%が“少しずつ増えている”と答えており、両回答の合計(65.9%)は、前回調査時の50.9%を大きく上回っている。

スパムメール受信時の対応

回答者が行なっているスパムメールを受信したときの対応としては、“何もしない”が61.9%と最も多く、公的な機関への通報や相談などを行なっている人はごくわずか。一方で、“メールに書かれたURLにアクセスし拒否の旨を伝える”(13.8%)、“メール内にある宛先に、拒否する旨を書いたメールを送る”(11.7%)といった、“メールアドレスが有効である”ことを通知してしまったり、新たにスパムメールのリストにアドレスが追加されてしまったりする可能性のある対応を取る回答者が依然としてみられ、利用歴1年未満の回答者ではおよそ3割が“メールに書かれたURLにアクセスし拒否の旨を伝える”という誤った対応を行なってしまっているという。

スパムメールに対する回避対策

また、スパムメールの回避や対策としては、“何もしていない”と答えた回答者が26.1%、“メールを見て手動で削除している”が50.5%となっており、有効な対策が普及していない状況も見られる。しかし、“メーラーのフィルター機能を利用している”(24.8%)、“プロバイダーが提供するメールフィルタリングサービスを利用する”(21.1%)、“メールをフィルタリングするソフトウェアを利用する”(9.8%)の回答数は前回調査時よりも上昇しているという。

このほか、自由記述でスパムメールに対する意見を聞いた設問では、スパムメールに対する嫌悪感が根強く、法的な規制やプロバイダーでの対処などを求める意見も数多く挙げられたという。

スパイウェアの自体への認知状況スパイウェアの活動内容に対する認知

一方、スパイウェアに関する事前の定義説明なしでの認知を問う質問では、利用歴3年以上の回答者であっても、“どんなものであるかを知っている”(28.6%)、“何となく怖いものだと感じている”(17.7%)と答えているという。また、同様に定義説明なしで問うた“スパイウェアが行なうと思う行動”については、“パソコン内のファイルを破壊する”“ハードウェアを破壊する”と回答している回答者が利用歴3年以上および1年未満のいずれでも3割近くもおり、スパイウェアに対する認知の遅れが目立つと指摘している。

なお、上記設問後に示したスパイウェアの定義は、“システムの活動をひそかに監視するスタンドアロン型のプログラム。パスワードを含め、ユーザーのコンピューター内のさまざまな秘匿情報を発見し、発見した情報をほかのコンピューターに送信する”だとしている。ただし、シマンテックによると、スパイウェアに対する業界の統一的または標準の定義というものは現在のところ存在せず、セキュリティー対策製品ベンダーなどにより、その定義には差があるのが現状だという。

自分のパソコンにスパイウェアが侵入しているかどうか発見されたスパイウェアの種類や活動内容

“スパイウェアが実際に侵入していると思うか”という設問では、“実際に入っていた”と回答した人が19.4%おり、2004年4月に実施したスパイウェアに関する調査の11.8%を上回る結果になったという。また、“もしかしたら入っているのではないか”と回答した人は28.9%となっており、不安を感じているユーザーも多いことがわかる。しかし、具体的な防御策を問う設問では、利用歴3年以上の回答者の26.4%、利用歴1年未満の回答者の47%が“スパイウェアについてよくわからないので、特に何もしていない”と答えているという。

コンシューマ・マーケティング部プロダクトマーケティングマネージャの田上利博氏

スパイウェアの定義についての業界統一の見解が定まらない現状や、フリーソフトなどのソフトウェアの“エンドユーザー使用許諾契約”をよりどころにインストールされる(許諾内に別のプログラムがインストールされるということが書かれている場合など)スパイウェアのような、法律上の判断・解釈が難しいケース(使用許諾契約に同意の上で導入したソフトで、セキュリティー対策ソフトなどによる削除行為が逆に契約に反することだと主張されかねない)があることなどから、スパイウェアへの対策は、セキュリティー対策製品であっても対応が難しい面もあるという。スパムメールやスパイウェアへの対策について説明したコンシューマ・マーケティング部プロダクトマーケティングマネージャの田上利博氏は、スパイウェアから身を守るための方策として、

  • ソフトウェア(特にフリーソフトや、インターネット上のファイル共有サービスなどで公開されているプログラムなど)のインストール時に注意を払う
  • ユーザーインターフェース内に広告などを表示するプログラムに注意する
  • 内容をよく確認せずにエンドユーザー使用許諾契約の“同意”ボタンをクリックしない
  • OSやウェブブラウザーなどのセキュリティー対策を万全にしておく

を挙げている。

執行役員副社長でコンシューマ事業統括の齋藤秀明氏

説明会の冒頭に挨拶を行なった執行役員副社長でコンシューマ事業統括の齋藤秀明氏は、アンケート調査結果について「十分な対策を行なっていないユーザーが多いことが浮き彫りになった」として、スパムメールやスパイウェアに対する一般ユーザーの対応の遅れを指摘し、「セキュリティー製品のリーダーカンパニーとして、市場のニーズを先取りしつつ、投資を続けていきたい」と述べた。

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