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アップルコンピュータ、サーバー活用のDTPワークスタイル説明会を開催

2005年04月04日 23時33分更新

文● 編集部 小板謙次

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アップルコンピュータ(株)は4日、同社のセミナールームにて“サーバを活用したDTPワークスタイル説明会”を開催した。

まず、同社D&P市場開発の山崎茂樹氏はDTPユーザーが直面する課題としてMac OS 9とMac OS Xの混在環境でファイル非互換の問題、増え続ける膨大なデータ資産、セキュリティー管理の3点を挙げた。データ資産については、デジタルカメラの普及によって低解像度のアタリ画像でデザインしていくのではなく、オリジナルの解像度のままデザインしていくというワークフローが主流になりつつある現状を指摘。10人ぐらいのデザイン事務所で1人100ページ(1ページあたり約10点の写真を使用)を制作しているとすると、ひと月1TBのファイル容量を扱わなければいけないとして、このようなデータをいかに効率よく、安全に運用していくかを考えなければいけないと話した。また、氏は「これまでファイルのやりとりにはいろいろな問題があった。個人のマシンに、いろいろなデバイスがつながっていたが、これらは会社の資産としてどのように保全されているか? いっさい管理されておらず、個人にゆだねられているのが現状だ。ユーザーごとの管理は会社の資産といえるのか?」と疑問を投げかけた。

D&P市場開発の山崎茂樹氏
D&P市場開発の山崎茂樹氏

これらに対応したDTPスタイルとして提案されたのが、Mac OS X ServerやXserve、Xserve RAIDで構築されたファイルサーバー上で、ダイレクトに編集を行なう環境で、これらの環境はパフォーマンスも十分である点を強調した。「ひと昔前のApple Share Serverに比べるとIPベースのAFP(Apple File Protocol)を利用することで非常に高速になっている。ハードウェア的にもギガビットに対応しているので、これらを組み合わせることで従来の8倍から10倍のネットワークのスループット向上が見込め、またDualのFibreChannelを使えばさらに高速になる」と話した。

Xserveのコスト比較 Xserve RAIDのコスト比較
Xserveのコスト比較Xserve RAIDのコスト比較

経営者としては現場のクリエイティブの作業性とか生産効率を落としたくないので、あまり管理されたくないという意見が多いが、管理者としてはあまり自由にさせてしまうと管理しにくいという現実がある。このような相反した要求を満たしながらどのようにクライアントを管理していくかという課題がある。これに関しては、ワークグループマネージャーを使いながら、ネットワークの設定、起動デバイスの制限、ソフトウェアアップデートの制限、メディアの書き込みなどの制限など、ユーザー、ユーザーグループ管理や保守管理が非常に簡単である点が紹介された。

システム環境設定を制限ワークグループマネージャーでアプリケーションの使用を制限

ネットワークホームではMac OS Xのクライアントでログインするとデスクトップの環境やライブラリーなどユーザーごとの個別のデータがホームディレクトリーのなかにすべて入る。今回の提案では、これらをクライアントのローカルのHDDに入れておくのではなく、ネットワークに置くことでユーザー固有の情報をすべてサーバー側にもたせることになる。例えば多摩美術大学ではデザイン学科在籍の500名に対して160台のMacintoshが用意されている。学生分のユーザーディレクトリーはサーバー上で運用している。利用するときは空いているマシンを使ってログインして作業する。「あたかもロッカーから文房具とテキストをもってきて作業し、終わったらロッカーにしまうという形の作業が可能になる」。また、DTPの場合は学校と違ってユーザーの数以上にマシンがある場合が多い。したがって、ネットワークホームが必要ないんじゃないか?との意見もある。しかしながら、すべてのマシンが同じパフォーマンスを持っているとは限らない。あるマシンは速く、あるマシンは遅い。あるマシンはメモリーがいっぱい搭載されており、フォントがたくさん搭載されているものもある。ここでも個人の作業環境をマシンと分離しサーバーを運用することで、その時々の作業フェーズに応じた利用方法が可能になると話す。

Mac OS X Serverでフォントサーバーを構築。クライアントからネットワーク上のフォントを参照したところ
Mac OS X Serverでフォントサーバーを構築。クライアントからネットワーク上のフォントを参照したところ

説明会では、大日本スクリーン製造(株)、(株)フォントワークスジャパン、(株)イワタ、(株)モリサワの4社の担当者が登壇し、Mac OS X Serverの対応状況についてアナウンスを行なった。大日本スクリーン製造メディアテクノロジーカンパニー企画統括部IT企画部IT企画2課の小川智史氏は、6月にProフォントとしてヒラギノ明朝体1書体、スタンダードフォントとしてヒラギノ明朝体、ヒラギノ角ゴシック体、ヒラギノ行書体、ヒラギノ丸ゴシック体と21書体の計22書体のリリースを予定。仮名書体としては32書体を準備している。仕様の詳細は紹介されなかったがフォーマットはOpenType、ライセンス数はMac OS X Serverに接続されたOS Xクライアント、パッケージは10/50/100クライアントの3種類を用意し、NetBootあるいはOpen Directoryによる管理を前提としている。また、モリサワ営業1部フォント企画営業課課長の杉野良一氏は2つのMac OS X Serverの利用方法を紹介。OpenTypeフォントとMac OS X専用のNew CIDフォントをMac OS X Server v10.3以上(サーバー)、Mac OS X v10.3.x以上(クライアント)の環境を対象に7月上旬に発売。また、OpenTypeフォントを対象としたサーバーアプリケーション用フォントライセンスも発表された。

大日本スクリーン製造が発売するフォントのバリエーションバリエーション
大日本スクリーン製造が発売するフォントのバリエーション
モリサワが発売するMac OS X Server用フォントライセンスの一例 モリサワが発売するMac OS X Server用フォントライセンスの一例
モリサワが発売するMac OS X Server用フォントライセンスの一例

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