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アップルコンピュータ、HDV編集に対応したビデオ制作環境『Final Cut Studio』を国内でデモ

2005年05月11日 23時21分更新

文● 編集部 小林久

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アップルコンピュータ(株)は11日、HDV編集に対応した統合アプリケーション『Final Cut Studio』のデモンストレーションを行なった。

複数のビデオストリームを同時再生する際に自動的に画質を下げ、途切れなくビデオを再生できる“Dynamic RT Extream”機能。同時再生数が増えると画質が下がり、減ると画質が元に戻る

Final Cut Studioは、ビデオ編集ソフトの『Final Cut Pro 5』を中核に、オーディオ編集や映像にエフェクトを加えるための各種ツールをワンパッケージにまとめた製品。価格は12万8000円で、放送品質の映像を制作できる統合環境としては破格の価格設定になっている点も注目のポイントだ。今回行なわれたのは、米国で4月に開催されたNABのデモと基本的に同種のものだが、日本語版のFinal Cut Studioが利用された。

豊富な機能を持つFinal Cut Studioだが、アップルコンピュータ・プロダクトマーケティングの安斎尊顕(あんざい たかあき)氏が登壇し、その機能のうち“HDVのネイティブ編集”“Dynamic RT Extream”“マルチカム機能”などを紹介した。



同時に別の角度で撮影したビデオ映像を簡単に切り替え、効率よくビデオ編集が行なえる“マルチカム機能”

HDVのネイティブ編集機能は、HDV機器から取り込むビデオを別コーデックに変換せず取り扱うことで、ソースの画像劣化を抑えた編集が行なえるというもの。HDV規格への対応は『iLife'05』に含まれる『iMovie HD』もうたっているが、iMovieではキャプチャー時に“Apple Intermediate Codec”で中間形式に変換して編集を行なう必要がある。



訂正とお詫び:初出時に用いられていた“HDビデオ”“HDカム”という用語が不適切であるというご指摘を読者からいただきました。フォーマットの名称に関しては“HDV規格”、HDV規格に対応したカムコーダ、デッキに関しては“HDV機器”、HDVの規格にのっとった映像に関しては“HDV”という表現に改めさせていただきます。(5月13日)

Dynamic RT Extreamは、複数のビデオストリームを同時に再生する際にリアルタイムにシステムの負荷を見て、ビデオの再生品質(解像度やビットレート)を調整する機能。負荷が高まり、再生に支障が出てしまいそうになった場合には品質を若干落とすことで、レンダリング処理をあらかじめ行なわなくても、ビデオを途切れなく再生し続けることができる。

マルチカム機能は、複数のカメラで撮影したビデオをいろいろなアングルで切り替えて編集できる機能。通常は撮影したビデオをカメラごとに編集して切り貼りする必要があったが、同時に撮影した複数の映像を同期して再生し、キーボードやマウス操作で自由に切り替えてビデオを編集していけるため、作業効率を高められる。映像は最大で128本まで扱うことが可能だ。

Soundtrack Proは、録音した音のノイズ部分を抽出し、自動的に補正できる機能を持つ音場を自由に変更できるプラグインエフェクトなどLogicシリーズ用のプラグイン50種類以上が利用できる

また、Final Cut Studio付属のツール群に関しても説明された。たとえば、音楽制作ツールの『Soundtrack Pro』には、波形編集に“Action Layers”と呼ばれる機能が追加されており、音に加えたエフェクトを取り消すことが可能。録音時に混入したノイズを自動的に見つけ出し修正する機能や、アップルコンピュータのプロ用音楽制作ソフトのLogicシリーズと同等のプラグインエフェクトなどが追加されている。5000以上のオリジナルループ(組み合わせて曲を作れる曲データ)も含まれる。

Soundtrack Proなどの各種ツールは単体販売も行なわれる予定だが、たとえばSoundtrack Proの単体価格は3万1000円とかなりリーズナブルだ。

写真は、4月に米国で開催されたNABでデモされた際の参考画像です。日本語版の画面とは異なります(写真提供:Mac Power編集部)

新Power Mac G5のベンチ結果も紹介

Power Mac G5

また、会場では4月29日に発売された新OS『Mac OS X v10.4“Tiger”』(以下Tiger)をプレインストールしたデスクトップマシン2機種も紹介された。

4月27日に発表された『Power Mac G5』は、すべて64bitのPowerPC G5をデュアルで搭載し、最速の2.7GHz搭載機など3モデルが追加された(既存の1.8GHzシングル機は併売)。最大800GBのハードディスクを内蔵可能なほか、2層記録に対応した16倍速のSuperDriveなどを搭載する。また、最上位モデルは静音性に優れた水冷式のCPU冷却機構を装備する(詳細記事)。



iMac G5

5月2日に発表された『iMac G5』は、PowerPC G5-2.0GHzを搭載した『iMac G5 2.0GHz 20インチモデル』など3モデルが用意されており、CPUなど基本性能の強化に加え、全機種がBluetooth 2.0+EDR(Enhanced Data Rate)、AirMac Extream(IEEE 802.11g対応無線LAN)などワイヤレス機能を標準搭載している。価格は最上位の20インチモデルが20万9790円と従来機より1万円安価となった。PowerPC G5-1.8GHzを搭載したローエンドの『iMac G5 1.8GHz 17インチモデル』は15万2040円で購入できる(詳細記事)。



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