米アップルコンピュータ社主催の開発者会議、“Worldwide Developers Conference 2005”(WWDC 2005)が、今年も米国サンフランシスコのMoscone Convention Center West会議場で開催されている。
WWDCの会場風景、参加者は3800人以上、45ヵ国から集まった |
オープニングの基調講演では、米アップルのCEOスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏が「Macintoshのハードウェアを米インテル社のCPUベースにする」と発表した。だが、今回の講演で明らかになったことはそれだけではない。今年に入ってからのアップルは業績的にも株価的にも絶好調だが、ジョブズ氏はそんなアップルの好調ぶりを示す、いくつかの数字を紹介することから講演を始めた。
まずは今年の開発者会議。参加者は3800人以上にのぼり、中国やインドを含む、世界45ヵ国から開発者が集まった。WWDC開催期間中に優れたMacintosh用ソフトを表彰する“Apple Design Award 2005”にも400件以上の応募があったという。
アップルもこれに110のラボセッション、95のプレゼンテーション、そして500人以上のエンジニアで応えている。開発者向けプログラム“Apple Developer Connection”の参加者も増えており、現時点で50万人が登録している。
アップルはこうした開発者の製品を売るために、世界各地に109店舗のアップルストアを用意し、これらの店舗には毎週合計100万人が来店している。サードパーティー製品も、この12ヵ月で5億ドル(約530億円)を売り上げた。
“Podcasting”はiPodの新たなチャレンジ
さて、アップルのビジネスでもとりわけ好調なのが『iPod』だ。これまでの累計出荷台数は、まもなく1600万台を突破する。音楽プレーヤー市場におけるiPodのシェアは、すでに76%にまで達した。また、海外で展開中の音楽配信サービス“iTunes Music Store”でも、4億3000万曲を販売した。iTunesの音楽プレーヤーソフトとしてのシェアは82%にまで達している。
iPodの売り上げ推移 | iPodのマーケットシェア |
そんな絶好調のアップルが、次のiTunesに搭載するのが“Podcasting”(ポッドキャスティング)という新機能だ。
Podcastingは、iPod用の音声番組の配信システムだ。米国ではキーワードや好きな番組を指定すると、それを自動的に録画してくれる『TiVo』というHDDビデオレコーダーが大人気だが、Podcastingはまさにラジオ版のTiVoと言える。これには、米国のラジオ局も注目しており、英国のBBCをはじめ、ABC NewsやNBC News、ニューズウィーク、ビジネスウィーク、ディズニー、ワーナー・ブラザース、ワシントンポストといった、そうそうたるメディアがこれを活用し始めている。現在、Podcastの放送局は8000近くあり、数は急速に伸び続けている。
なお、Podcastingについては『MacPeople 6月号』(2005年5月28日発売)に掲載中の特集記事“いま、Podcastingがアツイ!”の中で詳しく紹介しているので、参考にしてほしい。
iTunesの新機能“Podcasting” | アダム・カリー氏のPodcasting番組 |
新しいiTunesでは、こうしたPodcastingの番組もブラウズし、購読することが可能になるという。ジョブズ氏は基調講演で、MTVで活躍していた人気パーソナリティー、アダム・カリー(Adam Curry)氏のPodcasting番組を披露してみせた。
なお、新しいiPodのリリース時期などについては、今のところあきらかにされていない。