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GPL Version 3は2007年にリリース予定──内容変更は「意外なほど少ない」


2005年6月10日

Linuxのビジネス利用を促進する非営利団体“OSDL”(Open Source Development Labs)の国内拠点“ODSLジャパン”は10日、都内で記者会見を開き、IP(Intellectual Property:知的財産権)に関するODSLの取り組みと、2月に米国ニューヨークに設立されたオープンソース専門の法律センター“Software Freedom Law Center”(以下SFLC)の概要について説明した。

会見には、SFLC所長でコロンビア大学教授のエベン・モグレン(Eben Moglen)氏、OSDL CEOのスチュアート・コーエン(Stuart Cohen)氏などが出席した。

SCOとの訴訟を契機に、整備されたIPに対する取り組み

2000年12月に日米7社が設立したOSDLには、現在70社を超える企業が参画しており、2004年8月に北京オフィスを開設。近くヨーロッパにも拠点を置く予定だ。このようにLinuxやオープンソースソフトウェア(以下OSS)は世界的な展開を見せている。OSDLを通じて発表された米IDC社の調査ではLinux関連のハード/ソフトを含めた市場全体の規模は2008年に約360億ドル(約3兆8664億円)。ソフトのみでも約140億ドル(約1兆5036億円)に達するという。

これらを背景にOSDLの中心課題も当初のLinuxを企業に導入する上での技術的な問題から、ビジネスや法務的な問題に移りつつあるという。例えば、2003年に米SCO Group社と米IBM社の間に起こったUNIXライセンス訴訟などはその代表例といえる。

コーエン氏は「SCOの問題はすでに過去の事例となったが、これは結果としてよい効果をもたらした」と言う。この訴訟を契機としてOSDLは2004年1月に“Linux Legal Defense Fund”を設立し、LinuxユーザーがSCO Groupとの訴訟に巻き込まれた場合の法的費用を援助する仕組みを作った。

また、ライセンスだけではなく、意匠、特許、著作権といった問題にも取り組んでおり、2004年5月には“Developer's Certificate of Origin”(以下DCO)を発表した。これはLinuxのカーネルの開発者が新しいコードを開発した際に宣誓書を提出することで、出所、派生物、独創性を開発者自身が認識し、コードの透明性を高め、商用ソフトや違法なコピーの混入を防ぐものだ。

一方で、自社の持つ特許をOSSに公開する動きも活発化しており、米IBM社、米サン・マイクロシステムズ社、米コンピュータ・アソシエイツ・インターナショナル社、米ノベル社、米レッドハット社、フィンランドのノキア社などが自社のもつ特許を開示していくと宣言している。

そして、OSDLが2005年2月に400万ドルの新たな“IP Fund”(知的所有権基金)を集め、OSDLとは独立した無償で法律相談が受けられる機関として設立されたのがSFLCである。

GPL Version 3の変更点は意外なほど少ないはず

SFLCは法的な問題が起こった後に弁護するのではなく、プロジェクトの初期段階でカウンセリングして問題を未然に防ぐのが目的だという。また、単に相談を受けるだけではなく、法的な知識を持った専門家の育成も行なっていく。

モグレン氏は「ソフト開発の立場から見て“特許”のシステムが正しいとは考えにくい。一度特許が認められると独占が長い間に渡って許されてしまい、オープンソフトウェアの開発者は常に常に心配しながら開発しなければならない」と説明する。こういった開発者の負担を軽減するのがSFLCの役割だ。

SFLCのもうひとつの重要な業務は、“GPL”(GNU General Public License)のリビジョンアップである。モグレン氏は「GNU/GPLは世界で最も使われているコピーライトの構造だと思う」と述べ、7万を超えるプロジェクトと40万人を超えるプログラマーによってコードの配布が行なわれている」と説明した。

GPLの現行バージョンは1990〜1991年にかけてリチャード・ストールマン(Richard Matthew Stallman)氏が草稿を書いた『GPL Version 2』だが、モグレン氏は「その後14年が経っており、社会的にも技術的にも意味合いが変わってきている」という。

SFLCでは、Free Software Fundation(FSF)とともに2年越しでGPLの改定作業を行なっていく。改定に際してモグレン氏が強調したのは“現状のGPLから大きく乖離しない”“変更に至るプロセスを重視する”という2点だ。また“米国だけでなく各国で通用するかどうか”“携帯電話からスーパーコンピューターまでカバーする広範な範囲に対応できるかどうか”の確認も重要だという。

この件に関してモグレン氏は「(GPL version2に対して)いろいろな意見はあるが一致はしない。まずはいろいろな意見を聴取する段階から始める」とコメントした。『GPL Version 3』はドラフトの発行後、広範なパブリックディスカッションを行ない、2007年の完成を目指す。

では、現行のGPLの課題はどこにあるのだろうか? 編集部の質問に対して、モグレン氏はポイントになるのは「ライセンスの対象となるソースコードの範囲と特許関連である」と述べた。同氏によると、現時点で変更が検討されている部分は主要な部分が12個所、全体で20〜30個所で、このうちの6個所はリライトが必要だが、それ以外は言い回しを直す程度の些細なものになるという。

合わせて同氏は「変更によって現場の混乱を招き、GPLの基盤が不安定になることは避けたい」とコメントした。そして「終わったあとには、これだけで済んだのかと意外に思うに違いないはず」と微笑みを交えて付け加えた。

(編集部 小林久)


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