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トレンドマイクロ、エヴァ・チェン代表取締役社長兼CEOの記者会見を開催――信頼される“セキュリティーインフラサービス企業”を目指す


2005年6月23日

トレンドマイクロ(株)は23日、都内で記者会見を開催し、同社代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)のエバ・チェン(Eva Chen)氏らが、4月末の同社ウイルス対策ソフトのパターンファイル不具合問題発生以降の取り組みや今後に向けた戦略などについての説明を行なった。同社は不具合問題以降、パターンファイルの検証体制の見直しと強化を進めていたが、新しい開発〜配布プロセスの導入や第三者の協力による新テストセンターの開設などが行なわれたことを受け、7月11日からデイリーアップデートを再開するという。

代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏
製品開発に対する同社の基本姿勢。会見では、“顧客志向の重視”を特に強調していた

同社は、4月のパターンファイル不具合問題に対応すべく、ユーザー向けに専用の復旧サポート向け窓口として“復旧費用ご相談窓口”を設置して対応を行なってきていたが、今月15日に同窓口は終了している。チェン氏は冒頭、同窓口の利用状況について報告を行なっており、これによると、対応件数は、個人ユーザーが2万8300件(対象ユーザー数は約350万)、法人ユーザーは700件(対象契約数は約11万)となったという(5月9日〜6月15日)。同氏は、広範な被害が生じてしまった今回の事態から「多くのことを学んだ」といい、企業としての社会的責任の高まり、スピードとクオリティーの両立、競合他社との競争よりも顧客の利益にフォーカスした姿勢、プロセス改善による技術革新への注力といったポイントの重要性を強く認識したとしている。

パターンファイル開発〜配布体制改善の取り組みについて説明した同社Total Quality Management担当ディレクターの清水智氏。同氏は「バグが発生してしまったことよりも、それを配布してしまったことこそ大きな問題」だと述べている
日本での取り組みを説明した執行役員 日本代表の大三川彰彦氏

同社は4月26日の発表の中で、この不具合発生を受けて、テスト工程の追加/単体テストの強化/ダブルチェック体制の徹底/検証工程の承認プロセスの導入/検証工程の強化を問題発生後からすでに実行したとしているが、これらに加えて新たに、顧客サポートの強化/品質向上への取り組み/セキュリティー向上への社会への働きかけ/パートナー企業との連携の4点を柱とする新たな施策に取り組んでいるという。紹介された取り組みは以下のとおり。

パターンファイルのテスト体制改善を実施
パターンファイル開発チーム“TrendLabs”の環境改善(設備の増強、プロセスの自動化、検証工程の見直し、監査(内部および第3者機関)/教育体制の拡充)。
“トレンドマイクロ テストセンター”の開設
日本アイ・ビー・エム(株)との協業により、パターンファイルの検証/品質管理を目的とするテストセンターを開設。6月20日に運用開始。
ハードウェアメーカーのサポートセンターとの連携
NECパーソナルプロダクツ(株)、デル(株)などパソコンメーカー5社(前述2社以外は非公表)と相互緊急連絡体制を確立。ウイルスの大規模感染発生や製品の障害発生時などに、パソコンの不具合の原因が特定できないユーザーに対する迅速な対応を可能にするという。
サポートセンターの強化
個人ユーザー向けのサポートセンター“ウイルスバスタークラブセンター”の窓口対応を7月2日から、365日、9時30分〜17時30に拡張。
FAX情報提供サービス“FAXBOX 情報サービス”や電話ユーザーサポートに加え、最新ウイルス情報や製品障害情報など有事の際にパソコンが使用できなくても携帯電話から閲覧できる“トレンドマイクロ モバイルサービス”の提供を開始。
セキュリティー啓発活動の実施
日本ネットワークセキュリティ協会が主催する“インターネット安全運動”への参加、全国各地でのインターネットセキュリティーセミナーを実施。また、“SPREAD セキュリティ対策推進協議会”に参加。
パートナー企業との協業による新サービスビジネスを開始
中小企業ユーザー向けの訪問診断/駆除/対策相談サービス“トレンドマイクロ 認定レスキューサービス”を開始。パートナー企業は(株)大塚商会、トーテックアメニティ(株)(7月から)など。

2重化体制を構築したテストプロセス(画面左)と、新しいパターンファイル開発〜配布までのプロセス(画面右の下側。上は以前のプロセス)
今後に向けた戦略の柱
今後のロードマップ

また、今後の戦略については、基本的な方向性としては年初に発表した基本的な戦略には大きな変化はないとしながらも、「より顧客にフォーカス」して取り組むことに注力した展開を強めていくとしている。戦略の柱としては、“クオリティー”“ネットワーク”“タイムリーアップデート”“イノベーション”の4点を挙げ、単純なスピード争いだけでなく、高いクオリティーの製品を必要とされているタイミングで提供していくことを重視する活動を強化していくとした。またチェン氏は、今後に向けた目標として、「困難を乗り越えたことにより、より責任あるセキュリティーインフラ企業として、信頼される製品の提供を継続していきたい」と述べている。

なお、今回の不具合発生に伴う、同社の業績への影響は、現段階ではまだ集計を行なっている途上にあり、具体的な数字は公表できないとしている。

(編集部 内田泰仁)


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