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インターネットの安全と未来を考えるシンポジウムが開催――米マイクロソフト、ビル・ゲイツ会長が基調講演で安全なインターネット利用に向けた提言を行なう


2005年6月28日

“インターネット安全運動”実行委員会は28日、インターネットの安全性や未来について考えるシンポジウム“インターネット社会を迎えて ―市民に迫られる安全対策―”を開催し、来日中の米マイクロソフト社の会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が基調講演を行なった。“インターネット安全運動”は、特定非営利活動法人(NPO)の日本ネットワークセキュリティ協会らが後援、マイクロソフト(株)などが協賛企業に名を連ねている。

“インターネット安全運動”実行委員会委員長で中央大学教授・慶應義塾大学名誉教授の土居範久氏

“インターネット安全運動”は、インターネットを安全に安心して利用するための啓発活動で、今月18日から7月18日までの1ヵ月間、日本全国で活動を展開する。今月9日に行なわれたプレス向け発表会では、安全運動の“大使”に女優の奥菜恵さんを任命し、IT関連企業は公共団体だけでなく、広く一般のユーザーにもインターネットの安全な利用(=セキュリティー対策)の重要性をアピールしていくとしている。講演に先立って挨拶を行なった“インターネット安全運動”実行委員会委員長で中央大学教授・慶應義塾大学名誉教授の土居範久氏は、インターネットの安全性の問題は「(個人の)市民生活だけでなく、国家安全保障にも係わるもの」であると指摘し、その重要性を強調。さらに、IT企業が果たすべき安全性に対する責任と、一般市民のセキュリティー意識の向上の必要性を挙げ、IT企業と一般市民とが「一致団結した取り組みを」行なっていくべきであると述べた。



米マイクロソフトの会長兼CSAのビル・ゲイツ氏
インターネットがもたらした恩恵と課題

基調講演の中でゲイツ氏は、マイクロソフトにおけるインターネット関連の年間投資額は60億ドル(約6600億円)以上で、その中でも特にセキュリティー関連が占める割合は高く、同社のインターネット・セキュリティーに対する積極的な取り組み姿勢を示した。ゲイツ氏は、インターネットの普及は、地域を越えたコミュニケーションや共同作業の実現、電子商取引やオンラインバンキング、個人/企業の生産性向上といった数多くの恩恵を生み出したが、その一方で、悪意のあるソフトウェアの攻撃の進化、プライバシー保護や機密性確保の問題、インターネットをベースとした詐欺行為の発生といった課題や問題も生じており、同社では、これらの課題/問題に対応でき、さらに日本を含めた各国で整備が進みつつあるプライバシーに関連する法律に遵守できるソフトウェアの提供に取り組んでいくと述べた。

マイクロソフトがセキュリティー対策として注力する“技術革新”“教育/啓蒙活動”“官民連携”の3分野

ゲイツ氏によると、同社はセキュリティーに関する目標として“信頼できる解決策として安全を確保するソフトウェアや、ガイドやツールを含むサービスを利用者に提供する”ことを掲げているというが、これの実現に向けた注力分野として、優れた技術の開発と革新の継続、教育および啓発活動、官民協力体制の強化の3点を挙げている。同氏は、セキュリティーの向上に向けた技術面での進化においては、ソフトウェアのシンプルさと自動化を推進していくとしているが、単なるテクノロジー単体の提供だけでは「解決策にはならない」とも指摘しており、技術の革新に加え、教育/啓蒙や官民連携による取り組みの必要性を強調した。

官民連携の新たな施策としては、警察庁情報通信局情報技術解析課と米マイクロソフトの技術協力協定の締結がこの日発表されている。これは、情報セキュリティー対策およびサイバー犯罪対策に向けた協力関係の強化を狙ったもので、具体的な連携内容としては、捜査活動上必要なマイクロソフトのソフトウェアのセキュリティー情報の警視庁への提供、技術提供を行なうためのホットラインの設置、情報セキュリティー対策およびサイバー犯罪対策のためのスキル向上に向けた警察庁の取り組みをサポートする技術トレーニングの実施をそれぞれ行なっていくとしている。

またゲイツ氏はに、すべてのインターネット利用者に向けた“安全対策”のためのメッセージとして、

  • インターネットの安全確保に関する経験や手法を身の回りの人と常に共有し安全対策を図る
  • ネット詐欺やオンライン犯罪などの新手の脅威や手口に関する最新の知識を常に得る
  • 大切なデータやパソコンを守るために常に最新の技術を利用する

という3点を提言。また、児童の安全なインターネット利用に向けては、「児童が最初にインターネットに触れるときに、(セキュリティーに対する)教育を行なうことが必要」だと述べるとともに、音楽などのコンテンツのダウンロードに対する認識やチャットの安全な使い方などといった「インターネットに関するモラル教育も同時に行なうべき」として、児童教育におけるセキュリティー認識の向上を呼びかけた。

また、同氏は講演の中でインターネットにおけるセキュリティーの課題や問題を指摘しながらも、技術的な改善や教育/啓蒙の進展、ユーザーの理解/認識の深化などが今後進んでいくことにより、インターネットの推進力が失われることはないとの見方を示し、「私は(インターネットの将来について)楽観視している」と述べ、講演を締めくくった。


講演後ゲイツ氏は、インターネットを介したビデオ中継で慶応義塾 湘南藤沢中等部・高等部の生徒の質疑に応じた。この中でゲイツ氏は、最新の情報を得ること、ソフトウェアを最新の状態に保つこと、チャットやクレジットカードは信頼できるサイトで利用することなどを呼びかけた

(編集部 内田泰仁)


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