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【ワイヤレスジャパン2005 Vol.10】クアルコム、携帯電話向け映像配信サービス“MediaFLO”をデモ――ハガレンが携帯で!?


2005年7月14日
クアルコムジャパンが展示したMediaFLOのデモ
クアルコムジャパンが展示したMediaFLOのデモ。左は米Verizon Wireless社の携帯電話で、表示解像度はQCIF(144×176ドット)。右はMediaFLOの再生デモ用に開発したもの(非売品)で、表示解像度はQVGA(240×320ドット)

クアルコムジャパン(株)は、米国・サンディエゴに本社を持つ通信関連企業、クアルコム(Qualcomm)社の日本法人だが、同社の“ワイヤレスジャパン2005”会場のブースには、日本ではサービスしていないはずの、携帯電話向け映像配信サービス“MediaFLO(メディアフロー)”が、日本の映画やアニメ(“劇場版 鋼の錬金術師”の予告編など)を使ってデモンストレーションされていた。

MediaFLOとは、2004年11月に米国で発表された、700MHz帯(716MHz〜722MHz)の電波を使って携帯電話向けに米国全土(ニュースや映画、ショートフィルムなど)、および地域に密着した情報(天気やローカルニュースなど)を配信するサービス。米クアルコム社はこのために利用免許を取得し、さらに100%子会社として映像配信やアグリゲーション(映像の配信権利を受諾・契約する)を行なうMediaFLO USA社を立ち上げている。

現在の計画では、6MHzの帯域(平均データスループット6Mbps)を使って

  • ストリーミングTV放送(H.264形式、30fps、QVGAサイズ)を15チャンネル(平均350kbps)
  • ストリーミングステレオ音楽放送(平均48kbps)を10チャンネル
  • 蓄積型データ放送“クリップキャスト”(一日あたり800分)を40チャンネル
  • 定期/非常通報サービスなどは随時

という配信を予定している(動画以外の軽量なコンテンツ配信や、チャンネル変更などのリクエストには既存の携帯電話のデータ通信ネットワークを利用する)。ただし、配信する地域や契約するコンテンツプロバイダーなどの状況に応じて、これらのチャンネル数は増減する可能性があるとのこと。携帯電話としては、現状の通話通信機器に加えて、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)を受けるためにベースバンドチップ(MBD1000)とRF受信用チップ(RBR1000)、さらにリアルタイムデコーダー、クライアントソフトウェアの追加が必要。コストとしては米国での端末価格で10〜20%程度アップになる(日本は米国に比べて端末の価格が2倍以上するので、この数字は当てはまらない)という。

本社のSenior DirectorでMediaFLO担当のオマール・ジャーバイド氏
本社のSenior DirectorでMediaFLO担当のオマール・ジャーバイド氏

クアルコムが米国でこのサービスを開始する理由について、本社のSenior DirectorでMediaFLO担当のオマール・ジャーバイド(Omar Jarvaid)氏は、

  • 米国で3000人を対象にアンケート調査したところ、カメラや通信(インターネットのウェブサイトやメール)、ゲームなどと比べてもビデオ(動画再生)のほうが魅力があること
  • 求める動画コンテンツについては、天気情報やニュースが最も多いが、音楽/コメディ/ドラマ/映画(2時間程度以上)/スポーツ/ショートフィルムなど、あらゆるジャンルについて平均的に興味を持っていること

などを挙げ、

  • 豊富なラインナップを提供すること
  • 携帯電話のバッテリー駆動時間や本来の用途(通話)を考慮して、短いビデオクリップで提供すること
  • 必要に応じてリアルタイムコンテンツのストリーミング配信も用意すること

が成功の秘訣と考えたという。実際、同社は配信準備を着々と進めており、2006年下半期には米国の主要都市をカバーする形で商用サービスをスタートさせたいとしている。

日本や韓国の携帯電話の動きと米国の状況、ならびにMediaFLOのロードマップ
日本や韓国の携帯電話の動きと米国の状況、ならびにMediaFLOのロードマップ
現在提供/計画されている同様のメディア配信サービスとMediaFLOの違い
現在提供/計画されている同様のメディア配信サービスとMediaFLOの違い

このサービスの世界展開については、今年中に韓国と中国でまず“FLOテクノロジートライアル”(周波数効率や出力などの検証)を、ブラジルでは“システムトライアル”(メディア送出やソフトウェアの検証)を、インドでは両者を行ない、2006年以降にはこれら地域に加えて、日本/英国/フランス/ドイツ/シンガポール/オーストラリアの各地域で順次本格稼動を始めたいと意気込んでいる。

ジャーバイド氏は、携帯電話に関して韓国や日本は米国よりも1〜2年程度進んでいること、日本ではすでに携帯電話で地上アナログ放送の受信が可能であったり、モバイル放送(株)が衛星デジタル放送“モバHO!”をサービスしていること、さらに地上デジタル放送の1セグメント放送(携帯機器向け)が準備中であることなども把握している。その上で、米国でのサービスでは、全国一律な内容と地域密着型のローカル情報を組み合わせることでユーザーのニーズを満たし、新たなビジネスチャンスを開拓しようとしているようだ。

(編集部 佐久間康仁)


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