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これがイマドキのシネマパラダイス!!――世界各国からデジタルシネマを集めた“国際Dシネマ映画祭2005”開幕


2005年7月19日
川口駅前や会場周辺などに設置された看板
川口駅前や会場周辺などにフラッグや看板が設置され、川口市内は映画祭ムードいっぱいだった

埼玉・川口市のSKIP(Saitama Kawaguchi Intelligent Park)シティにおいて16日、世界中からデジタルシネマばかりを集めた映画祭“国際Dシネマ映画祭2005”が開幕した。主催は埼玉県/川口市/SKIPシティ国際映画祭実行委員会/特定非営利活動(NPO)法人 さいたま映像ボランティアの会。本映画祭はデジタル方式で制作された世界中の映像作品をデジタル方式で上映し、長編部門(国際コンペティション)と短編部門(国内コンペティション)でグランプリを選出するもの。連日、参加作品を上映し、最終日の24日には各グランプリの表彰式が行なわれる。期間中には、北欧諸国の短編を集めた特集上映や、世界のデジタルシネマシーンにおけるキーマンを招いたフォーラム/シンポジウムも併せて開かれる。



開催市の代表として挨拶する川口市長の岡村幸四郎氏
開催市の代表として挨拶する川口市長の岡村幸四郎氏

初日(16日)には、オープニングセレモニーとオープニング作品の上映が行なわれた。オープニングセレモニーは、まず主催者を代表して川口市長の岡村幸四郎氏が挨拶に立ち、世界で唯一のデジタルシネマ映画祭を開催できることを喜び、「まずは10年、10回続け、今後もデジタルシネマの普及に努めていきたい」と語った。

映画祭のディレクターの瀧沢裕二氏
映画祭のディレクターの瀧沢裕二氏

続いて、満席の会場を埋め尽くした多くの一般参加者にデジタルシネマについて説明するため、本映画祭のディレクターである瀧沢裕二氏が“デジタルシネマってなんだろう”として、デジタルシネマの特徴やメリットを紹介した。

デジタルシネマとは、デジタルビデオカメラで撮影した映像素材など(フィルム撮影したものを、現像後にデジタル変換したものも含む)を使ってデジタル編集し、制作されたデジタル原版をデジタルビデオプロジェクターを使って上映するもの。ここ数年、こうした“映画制作の(フル)デジタル化”が急速に広まってきており、すでに多くの作品が存在する。瀧沢氏は代表的なものとして、“踊る大捜査線THE MOVIE 2”や“スパイ・ゾルゲ”、SKIPシティの設備を活用して制作された“下妻物語”、今回の長編部門国際審査員として来日しているピトフ(Pitof)監督の“ヴィドック”などを紹介し、さらに“スターウォーズ エピソード 2”“同 3”をデジタル制作したジョージ・ルーカス(George Walton Lucas Jr.)監督の「二度とフィルムでは撮影しないだろう」というコメントも紹介した。

瀧沢氏は続けて、デジタルシネマのメリットについて、「クリエイターにとっては、発想が自由になり、技術的、経済的な制約のためにフィルムではできなかったことが表現できます。配給ではフィルムを送らないことでコストダウンでき、(将来的には)料金への反映が期待できます。また、観客にとっては、これまでのフィルム上映では20回映写機にかければフィルムが劣化してしまい傷がたくさんついてしまいましたが、デジタルではこうしたことが起こらないため、制作時のクオリティのまま映画館で楽しめます。こうした点は国土の広い中国などで多いに注目されています。映画館でデジタルシネマを導入すると、映画だけでなくスポーツや演劇などのデジタル映像を使ったエンタテイメントを楽しむ事ができます」と説明した。

札幌ICCのチーフコーディネーター、久保俊哉氏
札幌ICCのチーフコーディネーター、久保俊哉氏

次に今回のオープニングの目玉でもある、川口と札幌を結んだ“HD映像によるライブ中継・遠隔上映”に関して、札幌のICC(インタークロス・クリエイティブ・センター)とHD双方向ライブ中継して、説明ならびにデモンストレーションが行なわれた。この遠隔上映&ライブ中継は、札幌にあるクリエイティブに特化したインキュベーション施設“ICC”とエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)(NTTコミュニケーションズ)の協力により行なわれたもので、デジタルシネマの特性を生かしたストリーミングによるHD高画質映像を圧縮形式“モーションJPEG2000”/転送速度100Mbpsによる長距離配信の実用実験と、HDカメラを用いた高画質映像をMPEG-2/40Mbpsによるライブ・ストリーミング中継が行なわれた。大型スクリーンでの視聴に耐えうる高ビットレートでのHD映像配信は、世界に先駆けて行なわれた試みであり、デジタルシネマの振興に大きく寄与するものと期待される。

まず、SKIPシティ側の瀧沢ディレクターが札幌・ICCのチーフコーディネーターの久保俊哉氏を呼び出してライブ中継を開始し、久保氏によるICCの紹介が行なわれた。続いて、ICCで創作活動を行なっている映画監督の早川 渉氏による短編“HIKARI”が、ICC側からのMPEG-2ストリーミングによって上映された。主人公の光が、恋人が残した1枚の写真の風景を探しに北海道・ニセコを訪ねるという内容で、ニセコの美しい冬景色がたっぷり収められた同作品(12分間)の上映後、会場からは「美しい」「きれい」という感想やため息がもれた。瀧沢氏も「細かな雪の状態もきれいに再現されていたと思います」とコメントした。同作品はウェブサイト“NISEKO-TV”でも配信されている。

続いて、SKIPシティからは映画監督の村松亮太郎氏による“LIGHT MY FIRE”がMPEG-2ストリーミングで上映された。都内のとあるカフェで主人公の佳奈が、新しい彼女を連れてやってきた彼との三角関係に驚くような決着をつけるストーリーを描いたスタイリッシュな作品。札幌の久保氏は「都会の熱気とセンスが感じられました」とコメントした。

HD映像によるライブ中継・遠隔上映の概要
HD映像によるライブ中継・遠隔上映のシステム構成
HD映像によるライブ中継・遠隔上映のシステム構成

NTTコミュニケーションズの専用光回線“ギガストリームTypeF”を通じて、SKIPシティ(川口)とICC(札幌)を結び、映像を1Gbpsの光ネットワークを経由してIP(インターネットプロトコル)で伝送し、HD映像を映画上映用に開発されたソニー(株)の“Dシネマプロジェクター”『SRX-R110』を使って高画質再生するというもの。

ライブ中継では、MPEG-2/40MbpsのHD映像(双方のクリエイター制作作品)とHDカメラの映像をMPEG-2デコーダーでビデオ・オーディオ信号を圧縮後伝送し、受信側でMPEG-2エンコーダーで圧縮された信号をビデオ・オーディオ信号に復元してリアルタイムストリーミング再生を行なった。オープニング上映のデジタルシネマ作品(『サマータイムマシン・ブルース』本広克行監督)の遠隔上映では、モーションJPEG2000/100MbpsのHD映像を、札幌にある遠隔上映用に映画を圧縮して貯め込んであるモーションJPEG2000サーバーから送出、川口のモーションJPEG2000デコーダーで札幌から伝送された映画をビデオ・オーディオ信号に復元して上映を行なった。


オープニングセレモニーの後半は映画祭の開会宣言からスタートした。まず、埼玉県知事の上田清司氏が“映画祭開会宣言”を行なった。上田知事は「映画祭を通じて素晴らしい才能がでてくるといいと思います」と語った。

上田県知事の挨拶に続いて、長編部門(国際コンペティション)と短編部門(国内コンペティション)の出品作品が紹介された。長編部門にはカンヌでカメラドール(新人監督賞)を受賞したミランダ・ジュライ(Miranda July)監督の“ミー・アンド・ユー・アンド・エブリワン・ウィ・ノウ”、深田恭子さんが一言も台詞のない天使役で主演することで話題になっている宮坂まゆみ監督の“天使”(原作:桜沢エリカ氏)、国内部門もCM、TV畑の監督・窪田 崇氏、高校生監督の下条 岳氏などの作品が揃っており、期待できる内容と言える。
続いて、来日した長編部門に参加した海外の作家陣、国内から短編部門に出品した作家陣、国際審査委員として(株)アルタミラピクチャーズの桝井省志代表取締役で、“ションヤンの酒家”の監督もつとめた霍建起(フォ・ジェンチイ)氏、『ヴィドック』『キャットウーマン』のピトフ監督、さらに短編部門審査委員長の俳優・高嶋政伸氏が紹介された。

矢田さんパンフ1
カジュアルなファッションで登場した上田清司埼玉県知事
列席した各監督
後列左から、瀧沢ディレクター、マリナ・キャバ・ラル監督、宮坂まゆみ監督、ホアン・ジエンジョン監督、『銀飾』の主演女優モン・イァオさん、上田県知事、岡村市長、桝井省志氏、フォ・ジェンチイ監督、ピトフ監督、高嶋政伸氏。前列左からティル・エンデマン監督、ミゲル・コユーラ監督、竹内雅俊監督、下條岳監督、仙石幸太郎監督、佐藤克則監督、窪田崇監督

(千葉英寿)


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