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ACCS、SCE本社にてゲーム作りから学ぶ“親と子の著作権教室”を開催――クリエイターの権利を守る大切さを説く


2005年8月23日
PS2用ゲーム“サルゲッチュ”シリーズの人気キャラ“ピポサル”(右)をゲストに招いて、寸劇風に著作権者の権利の大切さを子供たちに説明している一幕
PS2用ゲーム“サルゲッチュ”シリーズの人気キャラ“ピポサル”(右)をゲストに招いて、寸劇風に著作権者の権利の大切さを子供たちに説明している一幕

(社)コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は23日、東京都港区のソニー・コンピュータエンタテインメント(株)(SCE)本社にて“第13回 親と子の著作権教室 〜ゲームづくりから楽しく学ぼう!〜”を開催。来場した小学4〜6年生と保護者を対象に、著作権の概念と順守の必要性について説明を行なった。

会場となったSCE本社会議室には、公募で選ばれた17人の小学生とその保護者が詰めかけた
会場となったSCE本社会議室には、公募で選ばれた17人の小学生とその保護者が詰めかけた
会場には特別ゲストとして人気キャラのピポサルが登場。子供たちの歓声を浴びていた
会場には特別ゲストとして人気キャラのピポサルが登場。子供たちの歓声を浴びていた

このイベントはACCSが年に1回開催しているもので、毎年題材を変えながら、子供たちに著作権とは何か、著作権はなぜ守らなくてはならないのかを、学んでもらうという試みである。今回はPlayStationシリーズのプラットフォームホルダーであり、自身もゲーム開発会社であるSCEの協力を得て、SCE本社を会場に、同社の人気ゲーム“サルゲッチュ”シリーズの開発スタッフも登場しての教室となった。参加した小学生は17人で、ACCSのウェブサイトから公募で募ったという。題材としてゲーム作りを選んだことについてACCS 戦略法務室 室長の葛山博志氏は、ACCSの会員企業にゲーム会社が多いこと、子供にとってゲームは身近な存在であること、さらに子供たちが直接ゲーム開発者に接する機会はほとんどないため、興味を持ってもらいやすいといった理由を述べた。

会は2部構成となっていた。前半部ではサルゲッチュシリーズを題材として、ゲームがどのような人たちによって、どうやって作られているのかを理解してもらう。そして続く後半部では、誰かの著作物を他人が許可なく発表や改変、複製してはいけないという著作権の基本的な概念について、寸劇を交えて説明を行なうという構成をとった。苦労して生み出されたゲームやそのほかの著作物を、なぜ守らなくてはならないのか、身近な例を題材に理解してもらうという仕掛けだ。

まずは“ソフトウェアとは何か”“ゲームはどのように開発されるのか”が説明された
まずは“ソフトウェアとは何か”“ゲームはどのように開発されるのか”が説明された

前半部ではサルゲッチュシリーズのプロデューサーにより、“ソフトウェアとは何か”といったソフトウェア全般の話題から、“ゲームを構成する要素”“ゲーム開発の流れ”といった、ゲームを作る仕組みについての説明が行なわれた。やや抽象的な話題が多いからか、少々退屈気味な子供たちもいた。しかしその後に行なわれた、子供たちを3班に分けて、プロデューサー、プログラマー、デザイナーのそれぞれを囲んだ“ゲームクリエイターに聞いてみよう”の部になると、皆目を輝かせて話を聞き入り、“どうしてデザイナーになったの?”“お給料はいくらくらい?”と、質問を次々ぶつけていく。さすがにゲームに関する話題、それも普段は目にすることのできない開発者や開発中のゲームの話題となると、子供たちの食いつきは段違い。熱心にメモを取る子も見受けられた。



“ゲームクリエイターに聞いてみよう”では、3班に分かれた子供たちがゲームクリエイターを囲んで、開発に使われたプログラムやグラフィックを見たり、ゲームについての質問をぶつけたりと、大変に盛り上がった

子供たちが開発者を囲んでいる間に、別室では保護者向けの説明会も行なわれた。そこでは著作権の仕組みや、家庭用ゲーム機業界のNPO法人“コンピュータエンターテインメントレーティング機構”(CERO)が家庭用ゲーム機向けゲームソフトについて行なっている“年齢別レーティング制度”についての説明が行なわれた。ACCS自体はCEROによるレーティングに直接関与しているわけではないが、ACCSの活動には“著作権と情報モラルの普及啓発”という項目もあり、情報モラルという側面からレーティング制度にも関わりを持っている。来場した保護者のレーティング制度に関する関心も高かったのだが、時間の短さや専門家の不在などもあり、保護者からの質問(年齢区分で“12才以上対象”はどういう基準なのか)に対して“CEROのウェブサイトを参照してほしい”という回答しかなかったのは残念だった。レーティング制度は法的規制ではないし、本来はあくまでも目安にすぎない。しかし保護者の関心も高い分野であり、その目安を保護者はどう活用するのがよいのかを、機会があるたびに周知していく必要がある。その意味でも、レーティング制度への理解を深める機会を活用できなかったのは残念に思える。

子供たちがクリエイターを囲んでいる間、別室では保護者向けに著作権やゲームの年齢別レーティング制度の説明が行なわれた
子供たちがクリエイターを囲んでいる間、別室では保護者向けに著作権やゲームの年齢別レーティング制度の説明が行なわれた

休憩を挟んだ後半では、本題である“著作権とは何か”を学ぶセッションが行なわれた。まず冒頭では、来場した小学生のうち2人に、自分で作った創作物(絵やリモコン操作の模型)を披露してもらう。続いてゲストのピポサルも自分で描いたという絵を持って登場したのだが、ACCSの説明員が“ピポサルが描いて、女の子にプレゼントした絵”を勝手に描き換えて、それを自分の絵として披露したあたりから、本題が始まった。この寸劇を通じて、他人の絵を勝手に描き換えること(同一性保持権の侵害)、絵を描いた当人の名を消して自分の名前にしてしまうこと(氏名表示権の侵害)、他人の絵を勝手に公表してしまうこと(発表権の侵害)が、絵を描いた人を悲しませる行為であること示し、そうした行為が著作権侵害であり、やってはいけないのだということが、子供たちにも分かりやすく説明された。

来場者の小学生から2人が登壇して、自分の描いた絵や作ったリモコン模型を披露。著作物の概念をまず子供たちに植え付ける
ところが、悪い子がピポサルの絵を勝手に持ちだしたうえ、描き換えて自分のものとして発表してしまう。抗議するピポサル
ところが、悪い子がピポサルの絵を勝手に持ちだしたうえ、描き換えて自分のものとして発表してしまう。抗議するピポサル
他人の著作物を勝手に改変してしまうのは、やってはいけないことであると子供たちに教えた
他人の著作物を勝手に改変してしまうのは、やってはいけないことであると子供たちに教えた
身近でイメージしやすい題材から入ったため、子供たちも興味深そうに著作権の概念の説明に聞き入っていた
身近でイメージしやすい題材から入ったため、子供たちも興味深そうに著作権の概念の説明に聞き入っていた

ひととおりの会が終了し、SCE本社ラウンジで開かれた閉会式では、ACCS専務理事の久保田裕氏が登壇し、著作権を子供のうちから理解してもらうための取り組みの重要性について述べ、会を締めくくった。久保田氏は閉会後にも報道陣に対して、底辺からの取り組みの重要性や、学校や教育機関関係者の著作権保護意識の低さについて述べ、ソフトウェア・コンテンツ産業がさらに拡大していくこれからの日本にとって、1人1人が著作権保護の意識を高めることが非常に重要であることを説いた。

ACCS専務理事の久保田裕氏。会終了後にも、教育関係者自身の著作権保護意識の希薄さに警鐘を鳴らしていた
ACCS専務理事の久保田裕氏。会終了後にも、教育関係者自身の著作権保護意識の希薄さに警鐘を鳴らしていた
最後はみんなで記念撮影。地道で即効性には欠けるが、ソフトウェア・コンテンツ産業の育成には、子供に対する啓蒙活動も重要となってくるだろう
最後はみんなで記念撮影。地道で即効性には欠けるが、ソフトウェア・コンテンツ産業の育成には、子供に対する啓蒙活動も重要となってくるだろう

(編集部 小西利明)


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