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マイクロソフト、知的財産権とライセンスに関する報道関係者向け説明会を開催――米本社知的財産担当副社長による解説が行なわれる


2005年9月8日
米マイクロソフト社 知的財産担当コーポレートバイスプレジデント兼ゼネラルカウンセルのマーシャル・フェルプス氏。米IBM社で長年知財担当を務めたベテラン
米マイクロソフト社 知的財産担当コーポレートバイスプレジデント兼ゼネラルカウンセルのマーシャル・フェルプス氏。米IBM社で長年知財担当を務めたベテラン

マイクロソフト(株)は8日、都内にて報道関係者を対象とした記者説明会を開催。米マイクロソフト社にて知的財産分野を担当するコーポレートバイスプレジデント兼ゼネラルカウンセルのマーシャル・フェルプス(Marshall Phelps)氏による、同社の知的財産管理やライセンスの取り組みについて説明を行なった。フェルプス氏は2000年まで米IBM社の知的財産およびライセンス担当バイスプレジデントを務めた後に、2003年よりマイクロソフトにて知的財産部門を統括している。

知的財産権には大きく分けて著作権と特許権の2種類があるが、今回取り上げられたのは特許権の方。フェルプス氏はまず、日米でIT産業が成功したのは、知的財産権の強化を堅持したためであるという考えを述べた。特許権を巡る世界の動きについては、まず米国で特許法の改正が審議されていて、現状の“先発明主義”から、各国で一般的な“先願主義”へと改善の動きが進んでいるとした。これにより、現在までに発生していた特許を巡る訴訟を減らしていくという。またヨーロッパでは各国ごとに異なる知的財産権関連の法律を修正するため、200以上の修正案により修正を進めているという。日本では知的財産権保護に関する法令化が行なわれ、保護が進んでいると評価した。その一方で特許を担当する機関(特許庁)の処理が滞り、出願から認可まで2〜5年と長い時間がかかっているとの問題を指摘。5〜6年も時間がかかると技術の世代が変わってしまい、業界の変革スピードに追従できていないとした。さらに成長著しい途上国、特にブラジルと中国では、知的財産権を尊重せず無視する動きがあり、知的財産権を無視したまま経済成長を達成しようとしていると懸念を示した。また日米などはこうした途上国の動きを注視する必要があるとも述べた。

同社の出願、保有する特許数の変化を示すグラフ。1年で3000件まで拡大している
同社の出願、保有する特許数の変化を示すグラフ。1年で3000件まで拡大している

同社の特許に関する取り組みとしては、まず同社が年間約70億ドル(約7700億円)もの研究開発投資を行なっていると述べ、年間に3000以上もの特許を申請するなど、申請/保有する特許数も大幅に増えているとした。そのうえでフェルプス氏は「特許のポートフォリオをどう活用するかが問題である」と述べ、特許の扱いについて3つの選択肢があるとした。3つの選択肢とは、“特許で保護して他社による侵害を防止する”“何もしない”“オープンかつ公正に他社に特許を提供する”である。しかし1つめの選択肢は、大企業であるほど難しいこと、2つめの選択肢は企業の利益を損なうことになりありえないこととして、第3の選択肢こそが道であるとした。

知的財産のライフサイクルの説明スライド。研究開発投資によって生まれた知的財産は、業界にライセンス供与の形で普及され、最終的には業界の発展による売上の増加として還元されるとしている
知的財産のライフサイクルの説明スライド。研究開発投資によって生まれた知的財産は、業界にライセンス供与の形で普及され、最終的には業界の発展による売上の増加として還元されるとしている

これらの考えに基づいて進められた同社の知的財産のライセンスについても述べ、過去は社内だけで保有されていたもの(OSのAPIやソースコード)を、現在はすべてオープンにし、競合他社に対してもライセンスしているとした。この活動はかなり進捗しているとフェルプス氏は述べ、ライセンス供与の実績については「2003年には100以上の契約を世界中の大企業と結んだ」と述べたほか、62の米国大学、58の他国の大学に対してもライセンス供与やソースコードの開示などを行なっているとした。

その後の質疑応答で、ライセンス供与の理由とそれによる収益について問われたフェルプス氏は、明快に「業界のためである」と述べ、ライセンス供与による収益は目的としていないとした。また同社と(株)東芝が結んだデジタル家電分野における包括的なクロスライセンス契約についても、今回の来日で国内大手3〜4社と同様な話し合いを行なったと述べ、向こう2年以内に世界の主要IT企業30〜40社をライセンス供与のパートナーとしたいとのプランも示した。

また同社が昨年公正取引委員会より排除を勧告された“非係争条項”(※1)の問題については、まだマイクロソフトが小さい企業であった15年前に案を出されたものであり、訴訟も起こらない頃に生まれた考えとした。そのうえで現在では時代錯誤であるとして、非係争条項はもう使用しないと述べられた。さらに様々な訴訟の標的にされている点については、現在の同社が年間1億ドル(約110億円)もの訴訟対策費用を投じているほか、昨年だけでも14億ドル(約1540億円)も他社から知的財産権やソフトウェア等を購入しているとした。

※1 マイクロソフトがパソコンメーカー各社にWindows OSをライセンスする際に、ライセンス先が保有する特許に抵触する内容がWindowsに含まれていた場合でも、それを理由にマイクロソフトに対して訴訟を起こさないとした条項が契約に含まれていたことに起因する問題。現在は契約書に該当する条項は含まれていないが、過去に締結された契約について同社は有効であるとしており、公取委は条項の排除を勧告、同社が拒絶したことにより、現在は公取委により審判中である。排除勧告の内容についてはこちらを参照のこと。

(編集部 小西利明)


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