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“REVOLUTION”はゲームを変えるか!?――任天堂、TGS2005基調講演にて次世代ゲーム機用ワイヤレスコントローラー“ゲームリモコン”を発表!


2005年9月16日
任天堂が開発中の次世代ゲーム機“REVOLUTION”(右)と、専用ワイヤレスコントローラー“ゲームリモコン”
任天堂が開発中の次世代ゲーム機“REVOLUTION”(右)と、専用ワイヤレスコントローラー“ゲームリモコン”
任天堂代表取締役社長の岩田聡氏
任天堂代表取締役社長の岩田聡氏

任天堂(株)は16日、同日から幕張メッセで開催されたゲーム関連総合展示会“東京ゲームショウ2005”(TGS2005)にて同社代表取締役社長の岩田聡氏による基調講演を行ない、開発コード名“REVOLUTION”と呼ばれる次世代ゲーム機で採用される、ワイヤレス方式のゲームコントローラー“ゲームリモコン”を発表した。

“やはりゲームに新たな進化をもたらすのは、この会社なのか”と思わずにはいられない講演だった。岩田氏は“ゲーム人口の拡大に向けて 〜ゲーム産業に今、何が必要か〜”と題した講演を、まず2003年のTGSにて行なった講演を振り返ることから始めた。当時縮小の一途をたどっていた日本のゲーム産業を再度活性化させる試みとして、任天堂が考えたのは“ゲーム人口を拡大すること”であったとし、“ゲームから離れてしまった人達を呼び戻す”“今までゲームをしていなかった人達を呼び込む”“ゲーム熟練者もゲーム初心者も楽しめる新しい商品を提案する”の3点の実現に向けて取り組んできたとした。ファミコン時代の人気ゲームをゲームボーイアドバンス向けに復刻した“ファミコンミニ”シリーズは、1つ目の実現の一環であり、、2つ目の実現には同社の携帯ゲーム機『ニンテンドーDS』用に発売されている『nintendogs』や『脳を鍛える大人のDSトレーニング』、『やわらかあたま塾』といった、新しいジャンルのソフトを投入。女性ユーザーやシニア層(45歳以上)といった、ゲームを避けてきたようなユーザーを取り込むことに成功したと述べられた。

シリーズトータルで400万本以上の売上を記録した“ファミコンミニ”。ゲームから離れてしまった人たちを呼び戻すきっかけの役目を持っていた
シリーズトータルで400万本以上の売上を記録した“ファミコンミニ”。ゲームから離れてしまった人たちを呼び戻すきっかけの役目を持っていた
“Touch Generations”と名付けられた、新規ユーザー獲得を狙ったニンテンドーDS用ゲーム3種と、そのほかのDS用ゲームの登録ユーザーの年齢構成比率。盛んなCMと口コミ効果もあってか、『脳を鍛える大人のDSトレーニング』などは35歳以上のユーザー比率が高い。これら3本はゲーム自体のリピート率も高く、本体の売上も大きく牽引したという
“Touch Generations”と名付けられた、新規ユーザー獲得を狙ったニンテンドーDS用ゲーム3種と、そのほかのDS用ゲームの登録ユーザーの年齢構成比率。盛んなCMと口コミ効果もあってか、『脳を鍛える大人のDSトレーニング』などは35歳以上のユーザー比率が高い。これら3本はゲーム自体のリピート率も高く、本体の売上も大きく牽引したという

ニンテンドーDSは3点目の、“熟練者も初心者も楽しめる新しい商品”として登場した携帯ゲーム機であった。そして携帯ゲーム機と据置型ゲーム機という違いはあっても、REVOLUTIONもまた、ニンテンドーDSのコンセプト、“大きく変わったインターフェース”の導入により、初心者に受け入れられやすく、ゲームマニアにも刺激となり、それでいて初心者でもマニアでも(インターフェースが新しくなったことで)同じスタートラインに立てる、というアプローチは同じであると岩田氏は述べた。そして“コントローラーは両手で握るもの”という、ファミコン誕生以来の常識を考え直すことから始めたとして、一本のデモビデオを放映した。

ゲームリモコンの使用イメージ。REVOLUTIONをつないだTVに向けて動かすことで、ゲームを操作する
ゲームリモコンの使用イメージ。REVOLUTIONをつないだTVに向けて動かすことで、ゲームを操作する

映像の中には、白くて縦長のコントローラーのようなものが映し出された。“片手で持てるコントローラーか? ボタンは少ないようだな”などと思っていると、コントローラーを右手に持ったプレイヤーの姿が、TVの方向から見た状態で映し出される。そして次の瞬間、プレイヤーが手に持ったそれを大きく動かし始めたとき、そのコントローラーがもたらす新しいインターフェースとは何か、来場者にははっきりと分かった。それはコントローラーを握った手の動きを検知して、ゲーム内での操作に反映させるというシステムだったのだ!



デモビデオの1シーンより。カップルがそれぞれゲームリモコンを手に、大きく動いてスポーツゲームらしきものを楽しんでいる
デモビデオの1シーンより。カップルがそれぞれゲームリモコンを手に、大きく動いてスポーツゲームらしきものを楽しんでいる
4人家族がパーティーゲームを遊ぶ場面をイメージしたシーン。ゲームリモコンをどう使うのだろうか?
4人家族がパーティーゲームを遊ぶ場面をイメージしたシーン。ゲームリモコンをどう使うのだろうか?

デモビデオの中ではゲーム画面を一切映すことなく、コントローラーを握ったプレイヤーの動きと効果音だけで、この新しいコントローラーがどんなゲームに応用できるのかが示された。銃のように握って撃ったり、指揮棒のように大きく振ったり、包丁のようにテーブルの上で小刻みに動かしたり。ソファで横になった女性がコントローラーを上下に動かすと、マリオがジャンプするときの効果音が鳴る。おどろおどろしいサウンドが響く暗い部屋の中いるカップルが、コントローラーを画面に向けて動かすと、あたかもそれが懐中電灯でもあるかのようにゆっくり動かすと、向けた方向が明るくなる。おじいちゃんとお孫さんがコントローラーを釣り竿のように振るう。コントローラーを握った男性が剣を振るうように手を動かすと、剣と剣とがぶつかりあう金属音が響く。4人の家族がそれぞれコントローラーを手に、1つのパーティーゲームを遊んでいる様子をイメージした映像もあった。それは実に多彩で、“こんなゲームにも使えるのか!”“REVOLUTIONではこんなゲームが遊べるんだ!”というのが、実にストレートにイメージできる内容だった。

笑いを誘ったシーンの1つ。料理人風の男が机の上で小刻みにゲームリモコンを動かすと、「トントントン」と包丁で何かを刻んでいる音が響く
笑いを誘ったシーンの1つ。料理人風の男が机の上で小刻みにゲームリモコンを動かすと、「トントントン」と包丁で何かを刻んでいる音が響く
なにやら眉を寄せて真剣な表情の男性。ゲームリモコンをそっと画面に近づけると、「ウィーン」というあの歯医者のリューター(切削用のドリル)が回転する音が! 歯医者ゲームか!?
なにやら眉を寄せて真剣な表情の男性。ゲームリモコンをそっと画面に近づけると、「ウィーン」というあの歯医者のリューター(切削用のドリル)が回転する音が! 歯医者ゲームか!?

ビデオが終わると岩田氏は、コントローラーの実物を手に説明を始めた。「誰もが同じスタートラインで、直感的に理解できる。そういう新鮮な操作感覚の実現を目指した」というそのワイヤレスコントローラーの名はゲームリモコン。TVのリモコンより小さいサイズで、まさにゲームコントローラーというよりリモコンだ。先端部分には“ダイレクトポインティングデバイス”というセンサー部が装備されている。これにより、画面のどこを指し示しているかを検出できるという(検出の仕組みや精度についての詳細は説明されず)。どこを差しているかという水平面の動きだけでなく、画面との距離や握った手のひねりも検出できるという。またビデオの中でも2〜4人が同時に遊んでいるシーンがあったが、最大4台までを1つのゲームで同時に使用できる。

ゲームリモコンの先端部には“ダイレクトポインティングデバイス”というセンサーが、後端部には拡張コネクターが備わる
ゲームリモコンの先端部には“ダイレクトポインティングデバイス”というセンサーが、後端部には拡張コネクターが備わる
最大4人までが、同時に操作できる。リモコンの後端近くにはインジケーターがあり、点灯位置でどれが何人目か分かるようになるようだ
最大4人までが、同時に操作できる。リモコンの後端近くにはインジケーターがあり、点灯位置でどれが何人目か分かるようになるようだ

ゲームリモコン上には、ファミコン以来おなじみの十字キーのほか、大きなAボタン、裏面にはBボタンが配置されている。手首に近い側には、小文字でa、bと書かれた一回り小さなボタンが2つ、縦に並んでいる。ほかにはこれもおなじみのSTARTとSELECTもあり、2つの間に“HOME”と書かれた凹んだボタンが配置されている。これはゲームリモコンの位置調整用ではなかろうか。グリップ部分は電池ボックスも兼ねているようで、表面左上には電源ボタンもある。

ゲームリモコンの各面写真。ゲームの主な操作に使うボタンは4個程度と非常にシンプル
ゲームリモコンの各面写真。ゲームの主な操作に使うボタンは4個程度と非常にシンプル

さらにリモコンの後端部には“拡張コネクター”が用意されていて、「さまざな拡張が可能になる」(岩田氏)ということだが、ゲームリモコンとは別のコントローラーを接続することもできる。岩田氏はゲームキューブのコントローラーからアナログスティック部分を独立させたようなコントローラーを取り出し、拡張コネクターに接続してみせた。ヌンチャクのような状態のこれを岩田氏は、2つのコントローラーを自由なスタイルで持てる“フリースタイルコントローラー”と呼んだ。フリースタイルコントローラーをアナログスティック側で移動、リモコン側で銃口の向きを示すといった具合に使うことで、欧米で人気のファーストパーソンシューティングゲーム(FPS)に新しい操作体系のスタンダードを確立したいというプランも語られた。アナログスティック部分については、「本体と標準で同梱しようと考えている」(岩田氏)とのことだ。

ゲームリモコンに外付けアナログスティックをつないだ“フリースタイルコントローラー”状態。FPSや戦闘要素の強いアクションゲームに向きそうだ
ゲームリモコンに外付けアナログスティックをつないだ“フリースタイルコントローラー”状態。FPSや戦闘要素の強いアクションゲームに向きそうだ
反対側から見た状態。アナログスティック部分にもZ1、Z2というボタンが2つあるようだ
反対側から見た状態。アナログスティック部分にもZ1、Z2というボタンが2つあるようだ

ワイヤレスコントローラー自体は、PLAYSTATION 3やXbox 360も標準で備えていが、両社とも単に既存のコントローラーのデザインを変更し、ワイヤレスにしただけと言えるだろう。プレイヤーの動きを認識してインターフェースに使うという点では、PlayStation 2用周辺機器である『EyeToy:Play』や、新世代(株)の“Xavix(ザビックス)”システムを使った家庭用ゲーム機『XavixPORT』や『剣神ドラゴンクエスト』(スクウェア・エニックス)などがすでにある。しかし動き検出が可能なワイヤレスコントローラーを、ゲーム機の主要なインターフェースにしてしまうというのには驚かされた。この異色のコントローラーを開発するに至った理由について岩田氏は、「家庭ではゲームのコントローラーを触ろうとする人、触ろうとしない人がはっきり分かれている」と述べ、両手で握り、左右の指を複雑に動かす必要のある既存のゲームコントローラーに対する抵抗感があるのではないかとの分析を披露した。そのためTVのリモコンのように、誰にでも触ってもらえるものにすることが、ゲーム人口拡大のためには必要だと考えたと語った。

振り返ってみれば、任天堂はファミコンの時代より、コントローラーを含む“ゲーム機のユーザーインターフェース”について、どのメーカーよりも重きを置いて開発に取り組んでいるメーカーであった。古い例ではファミコンに接続して動かすロボットもその一端と言えるし、最近の例ではニンテンドーDSはもちろんのこと、ゲームボーイアドバンス用ゲームカートリッジ内に加速度センサーを内蔵し、手に持った携帯ゲーム機の動きを検出して操作に利用するといったゲームをリリースしている。また岩田氏やスーパーマリオの生みの親である宮本茂氏(同社取締役開発本部長)はゲームキューブ開発の際にも、コントローラーのボタンが増えていき、操作がどんどん複雑化していた状況を、“普通の人がついて来られなくなる”と問題に感じ、その対策がゲームキューブのコントローラーデザインにも盛り込まれているという(月刊アスキー2001年10月号p.271参照)。そうしたインターフェースへのこだわりが、このゲームリモコンを標準装備とするREVOLUTIONにつながったと言えよう。

ゲームキューブのコントローラーも、複雑化するゲームの操作に対する真摯な検討から生まれたデザインである。ボタン数は多いが、操作の主となるA、Bボタンを使いやすくデザインされている
ゲームキューブのコントローラーも、複雑化するゲームの操作に対する真摯な検討から生まれたデザインである。ボタン数は多いが、操作の主となるA、Bボタンを使いやすくデザインされている

講演では、ゲームリモコンを事前に披露された著名なゲーム開発者たちがビデオで登場し、この新しいインターフェースに対する驚きと興奮を語った。また岩田氏も「(既存の)FPSやアクションゲームでも、新たな操作感覚を提供する。皆さんが愛するゲームが、このコントローラーでどう変わるのか、楽しみにしてほしい。皆さんが開発するゲームが、このコントローラーでどう変えられるのか、考えてみていただきたい」と述べ、新しいインターフェースに刺激されたゲーム開発者の取り組みに期待を示した。

ドラゴンクエストシリーズのゲームデザインを手がける、(有)アーマープロジェクト代表取締役の堀井雄二氏。ゲームリモコンを見て、「ありそうでなかったもの。ゲームがよく分からない人でも触って覚えられる」と述べた
ドラゴンクエストシリーズのゲームデザインを手がける、(有)アーマープロジェクト代表取締役の堀井雄二氏。ゲームリモコンを見て、「ありそうでなかったもの。ゲームがよく分からない人でも触って覚えられる」と述べた

一方で岩田氏は、あまりに他の家庭用ゲーム機と違うインターフェースを備えていると、昨今のゲーム開発で一般的となった“マルチプラットフォーム開発”のゲームがREVOLUTIONでは遊べなくなるのでは、という不安にも配慮し、拡張コネクターに接続する従来型コントローラー“クラシックコントローラー対応アダプター”を用意すると述べ、心配はいらないとした(同アダプターが本体同梱か別売りかについては未発表)。

さらに、高性能な次世代ゲーム機では開発チームの大規模化・開発コストのさらなる増大するのではという懸念についても、新しいインターフェースを備えたREVOLUTIONならば、規模の小さい開発チームでもアイデア勝負のゲームで勝負できるチャンスがあるとした。そして任天堂はそうした開発者のアイデアを受け止め、一緒に形にしていきたいと述べた。その一方で、アイデア勝負だけのコンパクトなゲームだけを提案しているわけではなく、新しいコントローラーにより、ゲーム入力インターフェースの新しいスタンダードを確立したいのであるという意気込みも述べられた。そして最後には繰り返して、ゲーム人口拡大のための新しいイノベーションが据置型ゲーム機にも必要であり、直感的に理解できるインターフェースを備えるREVOLUTIONが、それを実現することを示して講演は終了した。

講演が終わったあとの会場では、割れんばかりの拍手が2度も起こり、REVOLUTIONのコントローラーが来場者に、大きな衝撃と期待を与えたことを物語っていた。残念ながら任天堂自身はTGS2005には出展しておらず、実際にユーザーがそれを体験できるのがいつになるかは分からない。発売時期についても“2006年”と示されているだけで、具体的な時期や詳細スペック、価格についても未発表である。しかしいずれにしても、TGS会場には影も形もないREVOLUTIONが、次世代ゲーム機戦争で一気にその存在感を増したことは確実だ。斬新なコントローラーを使ってどのようなゲームが登場してくるのか、ゲームファンとしては楽しみでならない。

(編集部 小西利明)


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