マイクロソフト、『Microsoft Visual Studio 2005』『Microsoft SQL Server 2005』の開発完了日を発表――“the Microsoft Conference 2005”の基調講演には米本社バルマーCEOが登壇
2005年11月17日 18時30分更新
“READY(準備完了)”の特に強調された“the Microsoft Conference 2005”。マイクロソフトはこの日、『Microsoft Visual Studio 2005』と『Microsoft SQL Server 2005』の開発完了日を発表 |
マイクロソフト(株)は17日、東京・芝公園の東京プリンスホテル パークタワーにおいて、ITシステム開発者および管理者向けの技術カンファレンス“the Microsoft Conference 2005”を開催し、この中で、統合開発環境『Microsoft Visual Studio 2005』およびデータベースプラットフォーム『Microsoft SQL Server 2005』の開発を12月15日に完了すると発表した。なお、この日の“the Microsoft Conference 2005”の基調講演では、来日中の米マイクロソフト社最高経営責任者のスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏がスペシャルスピーカーとして登壇し、製品や関連パートナーの紹介などを行なった。
今回が10回目の開催となる“the Microsoft Conference 2005”は、Visual Studio 2005、SQL Server 2005、2006年前半完成予定の『Microsoft BizTalk Server 2006』の新製品3種類がメインテーマで、この日の東京を皮切りに、24日大阪/29日名古屋/12月1日広島/12月6日札幌/12月9日福岡/12月13日仙台と日本各地で開催される。なお、開発完了日が発表された2製品のパッケージおよびボリュームライセンスでの製品発売は2006年2月の予定。また、開発者用ソフトウェア/サービスを包括的に提供する“Visual Studio with MSDN Subscription”会員向けに、開発が完了し次第、ウェブダウンロードでの提供を開始するという。
日本法人代表執行役社長兼米マイクロソフト コーポレートバイスプレジデントのダレン・ヒューストン氏 |
カンファレンスの冒頭に登壇したマイクロソフト 代表執行役社長兼米マイクロソフト コーポレートバイスプレジデントのダレン・ヒューストン(Darren Huston)氏は、製品開発の完了日の発表について「準備態勢は整った」とするとともに、パートナー各社、早期導入企業、製品のβテスト中にフィードバックを寄せたITシステム開発者/管理者に対して「(製品開発に対する)サポートに感謝したい」と謝辞を述べた。
また、企業および開発者/管理者コミュニティーとのパートナーシップと、これらからのフィードバックを受けての開発作業は、今回のカンファレンスで取り上げられた3製品の開発において製品品質の向上につながったとしているが、「世界的な品質の標準を設定しているのは日本のお客さま」であると述べ、日本のユーザー/パートナーからのフィードバックは品質向上において特に重要な意味を持っていたと高く評価した。
米マイクロソフト 最高経営責任者のスティーブ・バルマー氏 | バルマー氏が総括した3製品の特徴 |
マイクロソフトのアプリケーションプラットフォーム |
続いて登壇したバルマー氏は、製品の紹介に入る前に、“ITの使命”と“プラットフォーム開発”に対する考え方(同氏は“哲学”と表現)を説明した。これによると、「あらゆるITの使命は、(マイクロソフトのプロモーション文にもある)“ユーザーのポテンシャルを最大限に引き出す”こと」であり、IT関連製品やプラットフォームの中心となるのは、「あくまでも“人”であり、バイト数やビット数の細かい数字ではない」と述べ、ユーザーに“価値”を提供することこそが重要であるとした。
さらに、プラットフォームの役割は、「“人”と“人”、“人”と“情報”、“人”と“ビジネスプロセス”を結ぶもの」であり、その役割を果たすには“信頼”が必要不可欠で、かつ、ITシステムを支える開発者/管理者が「よりよい意思決定ができなければならない」としている。このような“哲学”に基づいて、マイクロソフトのプラットフォームを考えた場合、製品としてはWindows Server Systemや.NET関連製品だけを指すわけではなく、広くOffice製品群までをも含むことになるという。
マイクロソフトのプラットフォームに対する支持として紹介された.NETおよびSQL Serverのシェア |
またバルマー氏は、同社製品の市場での評価について、競合する他社製品に対して、シェアの面だけでなく、パートナーからの評価の面でも高い支持を集めていると強調。特に、ミッションクリティカル分野でのアプリケーションプラットフォーム市場では、.NETプラットフォームがJavaを逆転したといい、「(最初に発表したときには)まったく相手にされなかったもの(.NET)が、いまやナンバーワンになった」と表現。また、SQL Serverに関しては、「IBMとオラクルの出荷数を足したものよりも多くなった」としてシェアの拡大をアピールした。さらに、講演の最後には、今回の3製品により「本当の意味でどんなミッションクリティカル分野においても対応できるプラットフォームの提供の準備ができたと言える」と述べ、メインフレームやUNIXが重要なポジションを占めていたミッションクリティカル分野における一層のシェア拡大に自信を示している。
このほかバルマー氏は、日本国内のパートナーや3製品の早期導入事例(新日鐵住金ステンレス(株)、(株)名古屋銀行、メルシャン(株)、三洋電機(株))を紹介し、製品開発や製品展開におけるパートナーシップの重要性を強調している。講演の中では、同社と協業関係にある富士通(株)、日本ヒューレット・パッカード(株)、(株)オービックビジネスコンサルタントの代表者が登壇し、マイクロソフトとの協力体制や今後の製品展開についてコメントしている。
富士通 代表取締役会長の秋草直之氏。2000年に「あらゆる分野で協業を」進めていく合意をして以来、各分野で協力体制を取ってきたというが、2004年6月にはミッションクリティカル分野での協業を発表。「より密接なアライアンスを結び、両者の提供するシステムがITシステムの最適な解になる」ような展開を進めていくと述べた |
日本HP 代表取締役社長の小田晋吾氏。HPとマイクロソフトは、グローバルな協業関係として“Frontline Pertnership”を締結しているが、今回取り上げられた3製品は、両社の協業の「中核をなす製品」であるとして発表を歓迎。ハードウェア/ソフトウェア/サービス面でのパートナーシップをさらに推進していくとしている |
OBC 代表取締役社長の和田成史氏。同社のコアコンピタンスは「企業の業務、中小・中堅企業、そしてマイクロソフトのテクノロジーにフォーカス」することとコメント。次期基幹業務システム“奉行新ERP.NET”は、64bit環境/.NET Framework 2.0/SQL Server 2005に完全対応し、2006年春のリリースを目標としているという |
Visual Studio 2005/SQL Server 2005のターゲットユーザーと、各ターゲットに提供する製品のラインナップ。エントリー層に対しては“Express Edition”を提供し、プログラミングへの関心を喚起したいという |
またバルマー氏は、「30年前にマイクロソフトを立ち上げたとき、我々は開発環境の提供からスタートしたが、当時のターゲットはサーバー/デスクトップのプログラム開発者だった。(中略) 今回の新製品では、開発者/アーキテクト/テスト担当者/IT管理者からウェブ開発者/学生/先進ユーザー/ホビイストまで、幅広いユーザー層をターゲットに展開していきたい」と述べ、今回の新製品による開発者の裾野の拡大にも期待を示し、学生や初心者を対象とした安価あるいは無償での開発環境の提供や、ホスティングプラットフォームの整備にも尽力していくとしている。
バルマー氏は、2006年の動きの「一部」として、Windows Server 2003 R2の概要も紹介している。サーバー/インフラ製品関連のカンファレンスだったこともあってか、Windows Vistaに関する話題は特に取り上げられなかった |