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TSMCジャパン、現状と今後の戦略を説明──国内IDMは、ファウンドリーへのアウトソースを増やし、半導体設計や製品開発に注力すべき


2005年12月20日

ティーエスエムシージャパン(株)(TSMCジャパン)は20日、都内でプレス関係者を集め、同社の現状と今後の戦略に関して説明した。

馬場氏
TSMCジャパン代表取締役社長の馬場久雄氏

同社は4月の会見で、2005年前半の業績は昨年を下回るだろうという観測を示していた。しかし、第3四半期(7〜9月期)以降売り上げは持ち直し、世界市場における2005年第1〜3四半期の売り上げは、前年比1.2%増の58億ドル(約6728億円)。工場稼働率も100%近くまで回復しており、通年でも2004年の業績を上回りそうだという。一方で国内市場に関しては、シェアは56%台に拡大したものの売り上げは伸び切らず、通年では前年割れする見込み。回復は2006年以降にずれ込む形となった。

台湾本社のTSMCの顧客は現状で7割がファブレス企業だが、国内には有力なファブレス企業は少なく、半導体メーカーの多くは自社で半導体の設計から生産までを一貫して取り仕切るIDM(垂直統合型デバイスメーカー)である。海外ではこうしたIDMも半導体生産の一部をファウンドリーに外注し、TSMC全体の売り上げでも増加傾向となっているそうだが、国内ではまだまだその数字は低い。つまり、国内IDMからの受注数を増やすことと、国内のファブレス企業を育成するという2点がTSMCジャパンの重要課題となる。

会見でTSMCジャパン代表取締役社長の馬場久雄(ばば ひさお)氏は、最先端プロセスへの対応は多額の投資と体力が必要である点を強調、ファウンドリーに効果的にアウトソースすることで、他社と差別化できる半導体の設計や、アプリケーション(製品)開発に力を注ぐほうが賢明であると説いた。国内では、資金捻出のために、半導体メーカーの大手が集まって合弁会社を作るという動きも見られるが、合弁会社という選択にはリスクがあると馬場氏は指摘する。競合関係にあり、商習慣も異なるメーカー同士が、資本獲得という目的のためだけに集まるからだ。

台湾TSMCの場合、台湾の新竹(Fab 12)と台南(Fab 14)の2つの工場を将来的に45nmプロセスに対応させる予定だが、操業当初の0.13μmプロセスから、90nm、65nmの各プロセスを経て、45nmプロセス対応とするための投資額は1工場あたり合計35億ドル(約4200億円)。これ以外に新世代のプロセス技術を開発するための10億ドル(約1200億円以上)が必要になる。ちなみに35億ドルという数字は、米国海兵隊のF22戦闘機24台分、地上デジタル放送の中継基地局の建設費、米アップルコンピュータ社CEOのスティーブ・ジョブズ氏の総資産などに匹敵するという。

2005年はデジタルコンシューマーの市場が急速に拡大した1年となったが、同時に商品サイクルの短期化も進んでおり、例えば液晶テレビの場合、買い替えまでのサイクルは平均1年半、デジタルカメラで6ヵ月から1年の間、携帯電話機やDVDプレーヤーに至っては半年程度。競争力のある製品を開発するためには、当然最先端のプロセスを利用した半導体が必要になる。その設計から生産までを1社でまかなうことは難しく、投資額を回収するだけの十分な出荷数を確保することも容易ではない。



売り上げ推移
台湾TSMC社の全世界での売り上げ推移
ロードマップ
ロードマップ。2006年は65nmプロセスが本格的な量産に入る
テクノロジーロードマップ
32nmプロセスまでのロードマップ
生産能力
最先端プロセスの生産能力。12cmウエハーに換算したもの

馬場氏は会見で台湾TSMCのロードマップに関しても言及し、2006年には65nmプロセスでの量産が本格的に始まるとした。同氏は2009年以降を予定している32nmプロセスまでは、業界団体ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)の示すロードマップを先行できると語った。ムーアの法則の今後に関して語られる一幕もあり、2024〜28年ごろには現在のCMOS技術を延長する形で、9nmノードも実現できるだろうという台湾TSMCの観測も示された。

会見では、TSMCジャパンがファブレス企業や学術機関向けに提供している、試作サービス(CAP)プログラムのテープアウト数が2003年の開始後累計で276件となったことも報告された。2005年1月から学術期間向けの割引サービス(CAPアカデミープログラム)を開始したことにより、大学の利用数も好調に増えているという。そのため、CAPアカデミープログラムは当初2005年のみの予定だったが、2006年も継続して提供されることが発表された。

(編集部 小林久)


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