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【2006 CES Vol.3】マイクロソフト、Windows Vistaを一般公開──開幕前夜のビル・ゲイツ氏の基調講演から


2006年1月5日

デジタル家電やIT関連機器が一堂に会する展示会“2005 International CES(Consumer Electronics Show)”が、いよいよ現地時間の5日に始まる。

ビル・ゲイツ
米マイクロソフト会長兼CSAのビル・ゲイツ氏

開幕前夜のイベントとして恒例となった“Pre-show Keynote”(開幕前基調講演)は、今年も米マイクロソフト社の会長兼CSA(Chief Software Architect)のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が担当した。一般向けではおそらく初めてとなるWindows Vistaのデモンストレーションが行なわれたほか、“ハイデフ”をキーワードにマイクロソフトのマルチメディアへの取り組みも示されている。

“Digital Decade”の終焉

ステージに登場したゲイツ氏は、まず最初にリビングに置かれた壁掛け型大画面ディスプレーや書斎の机に3台設置されたマルチスクリーン、テーブルの上方に設置されたプロジェクターなどで、Windowsを動作させてみせ、日常の仕事をこなしたり、さまざまな情報やコンテンツを入手するデモを行なった。

われわれの身の回りにあるさまざまなデジタル機器でWindowsが動作することにより、一体感のある操作性と使いやすさ、シームレスなデータの連携やデータの持ち出しが可能になるというのが主旨。マイクロソフトが常々主張しているポイントではあるが、デモではBluetoothなどの技術を使って、テーブルの上に置かれた携帯電話機の位置を自動的に検知して、適切な場所にポップアップウィンドウを表示させたり、指紋認証デバイスとの連携でより自分にあった環境を実現するといった内容も含まれており、目新しさがあった。

特に焦点が当てられていたのが“easy of use”(使いやすさ)の部分であり、先進的である一方で、とかくリビングや書斎では浮きがちなパソコンが周囲にうまく調和している点も印象的で、マイクロソフトとWindowsがデジタルライフに果たす役割が明確に伝わる内容であった。ゲイツ氏は講演で「Digital Decadeが終焉し、4年かそのぐらいで、いま考えていることが現実のものになる」と述べたが、これまで遠い将来の出来事として考えられたデジタルライフが手の届く位置にまで来たというのは記者も大いに実感できた部分だった。

壁掛け
壁掛けディスプレーを利用したデモ。画面上部に並んでいるデスクアクセサリーは自由に移動できる
書斎デスク
書斎のデスクをイメージ。株価をチェックしたり、ビデオチャットで1日の計画をまとめ、その行動に必要な情報を取得する。手元のタブレットで操作したり、携帯電話機に情報をダウンロードして持ち出すことも容易に行なえる
プロジェクタータイプ
こちらはプロジェクタータイプのディスプレーを利用した例。
機器の位置を認識
機器の位置を認識し、ポップアップで情報を表示したり、Bluetoothを利用して直感的なデータのやりとりを行なうことができる
Treo
Windows Mobile搭載のTreo

公開されたWindows Vistaの新機能

2006年はいよいよマイクロソフトの次世代OS“Windows Vista”が市場投入される。Windows Vistaでは、タスクバー上にマウスポイントを合わせると最小化したウィンドウの内容や動画コンテンツなどをサムネイル表示する機能や、必要な情報をコンパクトにまとめられるサイドバー、ウィンドウを3次元的に配置する“Flip 3D”といった新GUIが目を引くが、標準添付されるアプリケーションにも見るべきところは多い。

タスクのサムネイル表示
タスクのサムネイル表示。タスクバーにマウスカーソルを合わせることで動画などもサムネイル表示できる
タスク切り替え
タスク切り替え時もウィンドウ内容が表示される
Flip 3D
Flip 3D。3D表示することで、重なったウィンドウの選別も容易
サイドバー
必要な情報を手軽に入手できるサイドバー
サブウィンドウ
台湾ASUSTeK Computer社のノートパソコン。携帯電話機のようにノートパソコンに小型のディスプレーを搭載して、ノートを開かずに情報にアクセスできる仕組みを持つ

タブブラウジングに対応した新しいInternet Explorerや、画像管理機能のWindows Photo Gallery、操作性の抜本的な改革がなされたWindows Media Player 11などが具体例である。また、DirectX 10を利用した高品位なゲームコンテンツも実現可能であり、その1例として『Microsoft Flight Simulator X』なども紹介された。

Internet Explorer
タブブラウジングに対応したInternet Explorer。開いているタブすべてをサムネイル表示することもできる
Parental Control
Parental Controlの設定画面
Flight Simulator X
非常にリアルな画面のFlight Simulator X
Windows Photo Gallery(1)
Windows Photo Gallery
Windows Photo Gallery(2)
マウスカーソルを合わせると情報の詳細が確認できる
Windows Photo Gallery(3)
スライドショーも写真集風に見せることができる

中でも特に注目したいのがWindows Media 11であり、競合する米アップルコンピュータ社のiTunesを追撃する形で、操作性の大幅な改善と機能強化が行なわれている印象だ。基調講演では、MTV NetworksがWindows Media Player 11上で提供するデジタルミュージックサービス“URGE”のお披露目も行なわれ、MTV Networks' Music Groupのプレジデント、ヴァン・トフラー(Van Toffler)氏とアーチストのJustin Timberlake(ジャスティン・ティンバーレイク)氏も登壇し、Windows Media Player 11とURGEの見所を紹介した。

Windows Media 11
Windows Media 11アルバムごとに曲名を並べたところ
URGE
URGE

URGEではメジャー/インディーズレーベルから200万曲の楽曲のほか、“MTV”“VH1”“CMT”の音楽コンテンツが独占的に提供されるという。Windows Media Player 11はWindows Vistaにプレインストールされるほか、2006年前半にWindows XP用のリリースも行なわれる予定。Windows Media Player 11の登場で、携帯音楽プレーヤーメーカーがiPodの牙城を崩すことができるかは、2006年の大きな関心事になるだろう。

ハイデフがキーワードに

マルチメディア関連で、もうひとつ注目したい動きは“HD(High Definition)”対応のさらなる進展である。マイクロソフトも2006年の主要テーマにハイデフを掲げており、昨年11月に米国で、12月には欧州と日本で市場投入された『Xbox 360』もHD対応を強力なアピールポイントのひとつとしている。

バルマーVSゲイツ
講演ではバルマー氏とゲイツ氏がXbox 360のボクシングゲームで対戦する一幕も。勝利者はゲイツ氏

基調講演では、米国市場で年内の発売が計画されているXbox 360用の外付けHD DVDドライブに関しても紹介された。また、(株)東芝が米国市場向けに3月に投入するHD DVDプレーヤー『HD-A1』を利用して、HD DVDの特徴に関しても説明され、著作権保護機能のついた動画コンテンツをパソコン上にコピーするための仕組みである“Managed Copy”のデモも行なわれた。

一方、Windows XP Media Center Editionの現状に関しては、3年間で650万台の出荷が行なわれたという報告があり、昨年12月に米国市場で販売されたデスクトップパソコンの47%がWindows MCE搭載パソコンであるという米Current Analysis社の調査結果なども引用された。

マイクロソフトはパートナー企業との提携により、Windows Media Center Edition上で利用できる動画コンテンツ/サービスの拡充を進めていく意向で、例えば数年にわたる提携が発表された、米国の“DIRECTV”や英国の“SKY TV”なども重要なパートナーになっている。Windows Media Center Edition上で視聴できるHDコンテンツも拡充されるだろう。

Averatec
Averatecの小型Windows XP MCEパソコン
Gigabeat
Portable Media Center搭載のgigabeat
Starz Vengo
Starz Vengo

また、Media Center Edition搭載デバイスも今後さらに増えていく。例えば、米Averatec社がこの春に投入する小型パソコンは、チューナーなしで499ドル(約5万8000円)、チューナー搭載でも1000ドル(約11万6000円)以下という価格設定で、片手で持てるほど軽量コンパクトなサイズとなっている。また、Windows Mobileをベースとし、さらに小型な携帯型ビデオプレーヤーに搭載可能なPortable Media Center搭載デバイスもこの春登場する見込みで、東芝の“gigabeat”や韓国LG電子社製のデバイスなどが紹介された。また、これらの機器でも簡単に動画などのコンテンツが持ち運べる、米Starz Entertainment Group社の配信サービス“Starz Vengo”に関する言及もあった。Starz Vengoでは、月額9.99ドル(約1160円)の定額で動画などのコンテンツを無制限にダウンロードできるサービスだ。

これ以外にもケーブルテレビ会社から配信されているHDコンテンツをセットトップボックスなしに視聴できる“CableCARD”に対応したデル製の周辺機器も紹介された。

2006年はパソコン回帰の年になるか

基調講演を通じてビル・ゲイツ氏から提供されたメッセージは、大きく分けて3つある。ひとつめはHD対応の強化などを通じて、2006年がデジタルライフスタイルにおける大きな変革がなされる1年になること、ふたつめはさまざまなパートナー企業との連携し、その企業が用意にハードウェア開発やサービス提供を行なえるプラットフォームを積極的に展開していくこと、そして最後が強力で使い勝手のいいソフトウェアを提供していくことだ。

2005年にはあまり目立った動きを感じなかったパソコン業界だが、2006年にはWindows Vistaを中心に大きなムーブメントが起きそうな予感である。基調講演で紹介されたマイクロソフトの映像と音楽の分野におけるさまざまな取り組みが、パソコン業界を大いに盛り上げてくれることを期待したい。

(編集部 小林久)


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