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Quad SLIやH.264アクセラレーションでライバルを引き離すか!?――NVIDIA、“GeForce 7900”“GeForce 7600”シリーズの説明会を開催


2006年3月14日
Quad SLI構成の“GeForce 7900”搭載システムを披露する米エヌビディア 日本・韓国マーケティングディレクターの飯田慶太氏(左)と、同社デスクトップGPU部門SLI製品担当マネージャのクリス・ダニエル氏(中央)
Quad SLI構成の“GeForce 7900”搭載システムを披露する米エヌビディア 日本・韓国マーケティングディレクターの飯田慶太氏(左)と、同社デスクトップGPU部門SLI製品担当マネージャのクリス・ダニエル氏(中央)
シリーズ最上位GPU『GeForce 7900 GTX』と512MBのビデオメモリーを搭載する、日本ギガバイトの(株)『GV-NX79X512VB-RH』
シリーズ最上位GPU『GeForce 7900 GTX』と512MBのビデオメモリーを搭載する、日本ギガバイト(株)の『GV-NX79X512VB-RH』

エヌビディア(株)は14日、東京都内にて報道関係者向けの製品説明会を開催し、9日(米国時間)に発表された同社の最新GPU(グラフィックスチップ)『GeForce 7900 GTX』『GeForce 7900 GT』『GeForce 7600 GT』の特徴やパフォーマンス、ビデオ再生支援機能などについての説明を行なった。なお各GPUの詳細スペックについては、こちらの記事を参照のこと。

『GeForce 7900 GT』は、ややクロックを落としてGPUを動作させるため、発熱量が抑えられてカードの厚さを1スロット分にできる。日本では人気を呼びそうだ。写真は日本ギガバイトの『GV-NX79T256DB-RH』
『GeForce 7900 GT』は、ややクロックを落としてGPUを動作させるため、発熱量が抑えられてカードの厚さを1スロット分にできる。日本では人気を呼びそうだ。写真は日本ギガバイトの『GV-NX79T256DB-RH』
メインストリームセグメント向けGPU『GeForce 7600 GT』は、ヒット商品となった『GeForce 6600 GT』の後継となる製品。写真は(株)エルザジャパンの『ELSA GLADIAC 776 GT』
メインストリームセグメント向けGPU『GeForce 7600 GT』は、ヒット商品となった『GeForce 6600 GT』の後継となる製品。写真は(株)エルザジャパンの『ELSA GLADIAC 776 GT』

説明会の冒頭で、壇上に上がった米エヌビディア 日本・韓国マーケティングディレクターの飯田慶太氏は、「2006年は大きなパラダイムシフトが起こる年」と述べ、液晶ディスプレーの大画面&低価格化に加えて、次世代DVDの製品化やWindows Vistaの3Dユーザーインターフェースなどは高性能のGPUを事実上必須としているため、GPUに対するニーズも高まるとした。

2006年は次世代DVDや3DグラフィックスUIを備えるWindows Vistaなどが登場し、GPU性能へのニーズが高まる
2006年は次世代DVDや3DグラフィックスUIを備えるWindows Vistaなどが登場し、GPU性能へのニーズが高まる
Windows Vistaの3DグラフィックスUI“Windows Aero”の効果のサンプル。ウィンドウのサムネイル表示や立体的な配置などは、GPUの機能を生かして実現している
Windows Vistaの3DグラフィックスUI“Windows Aero”の効果のサンプル。ウィンドウのサムネイル表示や立体的な配置などは、GPUの機能を生かして実現している

NVIDIAでは、デル(株)や米アップルコンピュータ社などが製品化している30インチサイズで2560×1600ドットの大型超高解像度ディスプレーを“Extreme HD”と称するなど、ハードウェアに多額の資金をつぎ込むハイエンドのゲームユーザーに対して、大画面高解像度ディスプレーの利便性を訴えている。同社デスクトップGPU部門SLI製品担当マネージャのクリス・ダニエル(Chris Daniel)氏は、1620×1200ドット(UXGA)と1920×1200ドット(WUXGA)で表示したゲーム画面のサンプルを示して、超高解像度画面の快適さをアピールした。

一昔前には一般的だったXGA解像度と、ワイドサイズの高解像度画面の表示面積比較。2560×1600ドットの超高解像度画面を、同社は“Extreme HD”と呼ぶ
一昔前には一般的だったXGA解像度と、ワイドサイズの高解像度画面の表示面積比較。2560×1600ドットの超高解像度画面を、同社は“Extreme HD”と呼ぶ
FPSゲーム『Half-Life 2』を1600×1200ドットで表示した画面のイメージ。これでも十分高解像度だが……
FPSゲーム『Half-Life 2』を1600×1200ドットで表示した画面のイメージ。これでも十分高解像度だが……
1920×1200ドットのワイド画面だと、表示領域が左右方向に20%拡大されるため、UXGAでは見えない位置にいた敵も表示可能としている
1920×1200ドットのワイド画面だと、表示領域が左右方向に20%拡大されるため、UXGAでは見えない位置にいた敵も表示可能としている

ダニエル氏は“Geo form”と“Dino bones”という2つのリアルタイムグラフィックスデモを披露し、GeForce 7900シリーズによる複雑なシェーダープログラムによる表現や、HDRレンダリングなどを実演した。Dino bonesにはGPU上で演算を行なう物理エンジンが実装されているとのことで、画面上に登場する恐竜の化石や岩などに石球がぶつかると、粉砕されて破片が散らばる様子が披露された。実際のゲームに応用できるかどうかはともかく、GPUの演算機能がいよいよグラフィックス生成以外にも利用できるレベルまで高まってきたことを感じさせた。

グネグネと動く球体がつながったり分裂したりしながら動く“Geo form”。画面左半分は、球の表面のシェーダーをオフにした状態
グネグネと動く球体がつながったり分裂したりしながら動く“Geo form”。画面左半分は、球の表面のシェーダーをオフにした状態
HDRレンダリングやHDRレンダリング、GPU上での物理エンジンのリアルタイムデモ“Dino bones”
HDRレンダリングやHDRレンダリング、GPU上での物理エンジンのリアルタイムデモ“Dino bones”

またダニエル氏はライバルであるカナダATIテクノロジーズ社の同クラスGPUとのベンチマークテストグラフも示して、同価格帯の競合製品と比べて、新GPU 3製品がいずれも優れたパフォーマンスを発揮することを強調した。ちなみに同社では、ハイエンドGPUである7900 GTXの競合はRadeon X1900 XTX/XT、7900 GTの競合はRadeon X1800 XL、メインストリームGPUの7600 GTの競合はRadeon X1600 XTと見ているようだ。

GeForce 7900 GTXとRadeon X1900 XTX/XTの描画性能比較。3Dゲームでのフレームレートを計測している
GeForce 7900 GTXとRadeon X1900 XTX/XTの描画性能比較。3Dゲームでのフレームレートを計測している
GeForce 7900 GTとRadeon X1800 XLの描画性能比較
GeForce 7900 GTとRadeon X1800 XLの描画性能比較
GeForce 7600 GTとRadeon X1600 XTの描画性能比較
GeForce 7600 GTとRadeon X1600 XTの描画性能比較
ハンビット 事業推進部の樫木史郎氏
ハンビット 事業推進部の樫木史郎氏

再び登壇した飯田氏は、NVIDIAが同社のGPUに最適化されたコンテンツを普及させるために、ゲームメーカーなどを対象にプログラム開発支援を行なう“コンテンツイネーブリングチーム”を50人体制で用意し、各社に対する支援を行なっていると述べた。そしてその最新の事例として、日本では(株)ハンビットユビキタスエンターテインメント(ハンビット)がサービスを予定しているMMORPG『グラナド・エスパダ』(開発は韓国IMC Games社)を紹介した。ゲームの説明とデモを行なったハンビット 事業推進部の樫木史郎氏は、グラナド・エスパダではNVIDIAのGPUをターゲットハードウェアに設定して開発を行なったという。そして開発中のGPUなどテスト機材の事前提供やグラフィックスエンジンのバグ修正協力、シェーダーや描画エフェクト開発のアシストなど、さまざまな面で技術・開発協力を得られたことを述べた。グラナド・エスパダは独特のデザインで構成された美しいグラフィックスが魅力のゲームだが、現在行なわれているクローズドβテストのゲームシーンを紹介しながらの説明では、特に水面や流れ落ちる水を表現するシェーダープログラムなどに、NVIDIAの協力が生かされているとのことだ。



現在クローズドβテスト中の『グラナド・エスパダ』の1場面。1人のプレイヤーが同時に3体までのキャラクターを操作できる“Multi Character Control(MCC)”が特徴のMMORPGだ
現在クローズドβテスト中の『グラナド・エスパダ』の1場面。1人のプレイヤーが同時に3体までのキャラクターを操作できる“Multi Character Control(MCC)”が特徴のMMORPGだ
ゲーム中に登場するダンジョンの1つの画面。橋の下に広がる水面には、周囲の建物や光が反射している。こうした表現にNVIDIAの協力が生きているという
ゲーム中に登場するダンジョンの1つの画面。橋の下に広がる水面には、周囲の建物や光が反射している。こうした表現にNVIDIAの協力が生きているという

グラナド・エスパダのデモに続いてダニエル氏が再び登壇すると、NVIDIAのビデオアクセラレーション技術“PureVideo”についての説明を行なった。ダニエル氏はGeForce 7x00シリーズと最新ビデオドライバーの組み合わせでは、MPEG-2やWMV9といった一般的なビデオフォーマットに加えて、高画質で高負荷のビデオフォーマットである“H.264”の再生アクセラレーションも可能であるとした。、ATIのGPUやインテル(株)のCPUのみによるデコードがCPU負荷50%程度なのに比べて、NVIDIAのGPUを使ったH.264デコードはCPU負荷が平均30%未満と低く、H.264デコードをGPU側で効率よく処理しているとした。披露されたデモでは、PureVideoに対応するサイバーリンク(株)の『PowerDVD 6』を使用して、ハードウェアアクセラレーションありとなしでのH.264再生時のCPU負荷を比較した。アクセラレーションなしの場合、CPU負荷は50〜70%程度あったのに対して、アクセラレーションありでは30%前後の負荷で済んでいた。

代表的なビデオ再生ソフトは、PureVideoのビデオアクセラレーションをサポートしているとする表
代表的なビデオ再生ソフトは、PureVideoのビデオアクセラレーションをサポートしているとする表
H.264デコードアクセラレーション時のCPU負荷比較。PureVideoでは負荷が低いとしている
H.264デコードアクセラレーション時のCPU負荷比較。PureVideoでは負荷が低いとしている

GeForce 7900シリーズの特徴の1つが、グラフィックスカードを4枚1セットで使う“Quad SLI”技術のサポートにある。ダニエル氏はGeForce 6600/6800シリーズでグラフィックスカードを2枚1セットで使うSLI技術を発表してから、2年ほどの間でSLI技術は「エンスージアストPCには必須となった」と述べ、対応ゲームのリストを提示しながら、ATIの競合技術“CrossFire”と比べての対応ゲームの多さをアピールした。またCeBIT 2006で発表されたノートパソコン向けGPUによるSLI技術についても触れ、デスクトップパソコンだけでなくハイエンドノートパソコンにもSLI技術が採用されていくとした。

エルザジャパンのGeForce 7900 GTX搭載カード『ELSA GLADIAC 979 GTX Silent 512MB』を2枚使ったSLI構成の見本。NVIDIAのダニエル氏はSLIはもはや「エンスージアストPCには必須」と豪語する
エルザジャパンのGeForce 7900 GTX搭載カード『ELSA GLADIAC 979 GTX Silent 512MB』を2枚使ったSLI構成の見本。NVIDIAのダニエル氏はSLIはもはや「エンスージアストPCには必須」と豪語する

Quad SLI用のグラフィックスカードには、コアクロック500MHzのGeForce 7900と、メモリークロック600MHzのGDDRIIIメモリーが512MB分搭載されている。これが4枚1セットになるため、ダニエル氏は「11億個のトランジスターで96のピクセルシェーダーを実現し、2GBのビデオメモリーを備える」と、まさにモンスター級のグラフィックス環境を実現できると述べた。Quad SLIでは4つのGPUを使い、1画面を4分割してレンダリングする“SFR(Split Frame Rendering)モード”と、4つのGPUでそれぞれ1画面ずつ描画させ、順序に従って表示する“AFR(Alternate Frame Rendering)モード”、さらにGPU群を2つずつに分けて、2GPUで1画面を2分割レンダリングする“AFR of SFRモード”の3種類のレンダリングモードを備えることを明かした。既存の2枚1セットのSLIはSFRかAFRのいずれかだったところを、4枚1セットのQuad SLIでは、より柔軟な組み合わせを選択できるというわけだ。

Quad SLIでは1画面を4分割描画する“SFR”、1GPUごとに1画面の計4画面を描画する“AFR”、1画面を2分割して2GPUごとに描画する“AFR of SFR”のレンダリングモードを備える
Quad SLIでは1画面を4分割描画する“SFR”、1GPUごとに1画面の計4画面を描画する“AFR”、1画面を2分割して2GPUごとに描画する“AFR of SFR”のレンダリングモードを備える

Quad SLIはマザーボードの拡張スロット構成や電源容量など、2枚1セットのSLIに比べてパソコン側の条件がシビアに限定されるため、あらかじめQuad SLI構成のグラフィックスシステムを組み込んだパソコンとして販売される形態を取っている。発表会場には(株)サードウェーブやエムエスアイコンピュータージャパン(株)が販売予定のQuad SLI搭載パソコンが出展されていた。Quad SLIだけでも高価そうだが、CPUなどもハイエンドのパーツを搭載しているためシステム全体の価格は50万円台半ばと、一般的なパソコンの価格と比べると驚くほど高価になるもようだ。ゲームの快適さのためにここまで金をかけるというのは、日本ではまだまだマイナーな趣味だが、パソコンゲーマーにはまさに垂涎もののマシンと言えるだろう。

MSIの展示コーナーにあったQuad SLIパソコン『GTune MASTERPIECE F8500A QS』。CPUにAthlon 64 FX 60-2.6GHzを採用し、価格は本体のみで55万4400円!こんなマシンでゲームを動かせば、何をやらせても速いだろう
MSIの展示コーナーにあったQuad SLIパソコン『GTune MASTERPIECE F8500A QS』。CPUにAthlon 64 FX 60-2.6GHzを採用し、価格は本体のみで55万4400円!こんなマシンでゲームを動かせば、何をやらせても速いだろう
こちらはサードウェーブが秋葉原のドスパラ本店などで販売予定のQuad SLIマシンのアップ。2枚1組みで重ねられたグラフィックスカードを、さらにSLIコネクタで交互に接続している。Quad SLI用のGPUやメモリーのクロックは、GeForce 7900 GTXよりやや低めに設定されている
こちらはサードウェーブが秋葉原のドスパラ本店などで販売予定のQuad SLIマシンのアップ。2枚1組みで重ねられたグラフィックスカードを、さらにSLIコネクタで交互に接続している。Quad SLI用のGPUやメモリーのクロックは、GeForce 7900 GTXよりやや低めに設定されている

(編集部 小西利明)


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