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シンビアン、CEO来日に伴い記者説明会を開催――バリュー端末にも触手

2006年03月24日 15時47分更新

文● 編集部 小林久

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クリフォード氏
英国本社のCEOナイジェル・クリフォード氏

シンビアン(株)は24日、同社オフィスにプレス関係者を集め、国内/海外におけるシンビアンの現状と今後の戦略に関して説明した。説明会には、来日した英国本社のCEOナイジェル・クリフォード(Nigel Clifford)氏のほか、日本法人の代表取締役社長を務める久晴彦(ひさ はるひこ)氏などが出席した。

シンビアンは、携帯電話機をターゲットにしたOS“Symbian OS”を開発している。Symbian OSは3G市場を中心に搭載が進んでおり、累計出荷台数は5880万台。2005年に販売された3G携帯電話機の35%が同OSを搭載したものだという。

国内での採用は2003年の富士通(株)製端末2モデルという状況からスタートしたが、2004年には富士通とノキア・ジャパン(株)の2社6モデル、昨年は富士通、ノキア、三菱電機(株)、シャープ(株)、モトローラ(株)の5社14モデルと採用が相次いでいる。また、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(株)製の『FOMA SO902i』も21日に発売されている。W-CDMA対応端末では、組み込みLinuxと市場を二分している。KDDI(株)を含めたCDMA 2000陣営への採用例はないが、韓国など他国のキャリアも含め、搭載を積極的に推進していく方針だという。

クリフォード氏は、Symbian OSがソフトが動作することを「証明する」第1フェーズから、「浸透する」という第2フェーズに移り、今後は搭載機種が「増加する」第3のフェーズへと進んでいかなければならないとした。同社はこれまで、リッチ端末向けのOSを得意としてきたが、今後はより台数の出る低価格端末やニッチ端末にも市場を広げていく考えだ。



ブランド
世界市場における、価格帯と販売台数をメーカー別にまとめたもの

同社ではマスマーケット向けを想定し、7月1日から出荷するSymbian OS v9搭載携帯電話機用に、より低価格なライセンス体系も用意する。同社ではこれまでOSのライセンス価格を、200万台まで7.25セント(約850円)/以降5ドル(約580円)という全世界統一価格としてきたが、卸値のパーセンテージで決定する料金体系と、量産数に応じてディスカウントする料金体系も追加する。これにより、端末1台当たりのライセンス料金は最低2.5ドル(約290円)にまで抑えられるという。

編注:「Symbian OS v9はすでにリリース済みで、7月1日から新しいライセンス体系が用意される形になる」という指摘がシンビアンからありましたので、修正いたします。

また、同社では、ベースバンドチップとアプリケーションプロセッサーを統合したチップ向けのOSも、米フリースケール・セミコンダクター(Freescale Semiconductor)社と共同で進めている。会場ではそのリファレンスボードも、展示されていた。従来はアプリケーション部分のベースとなるSymbian OSに加え、ベースバンド制御用にITRONなどのOSを別途追加する必要があったが、その必要がなくなる。1チップソリューションに対応したSymbian OSは現在開発中で、製品化は数ヵ月~1年程度先になる見込みであるという。

Freescaleの評価ボード Symbian OS搭載機
Freescaleの評価ボード2月に開催された3GSMの会場に展示されていたSymbian OS搭載端末も展示

ナイジェル氏はプレゼンテーションの中で「日本市場は非常に重要。シンビアンの売り上げの12%は日本市場からのものであり、全世界の市場の中でも最も急成長している」と述べた。国内の携帯電話市場は成熟期に入ったとされるが、久氏は“3G端末への買い換え需要”、“国内メーカーの海外輸出”という2点を背景に、今後大きな成長が期待できると現状を分析した。

久氏日本法人代表取締役社長の久氏

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