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マイクロソフト、“The Imagine Cup 2006 日本大会”を開催――ソフトウェア部門の日本代表が決定


2006年3月31日

マイクロソフト(株)は31日、プログラミングに興味のある学生ユーザーを対象としたセミナーイベント“The Student Day 2006”を開催し、その中で“The Imagine Cup 2006 日本大会”を実施した。


“The Imagine Cup 2006 日本大会”に参加した3チーム

The Imagine Cupは米マイクロソフト社が毎年主催している全世界的な学生向け技術コンテストで、今年は8月上旬にインド(デリー)での開催が予定されている。IT部門やアルゴリズム部門など、計6つの部門が用意されているが、今回の日本大会はソフトウェアデザイン部門の日本代表(1チーム)を選考するもの。会場では最終選考に残った3チームが壇上に上がり、プレゼンテーションを行なった。

大阪大学 大学院など3校の複合チームが優勝、本大会出場へ

世界大会への出場を決め、優勝賞金50万円を手にした大阪大学 大学院・海城高等学校・鈴鹿工業高等専門学校の複合チーム
左から、竹井悠人氏、中山浩太郎氏、前川卓也氏、大居司氏

今回、日本代表に選ばれたのは、大阪大学 大学院、海城高等学校、鈴鹿工業高等専門学校の複合チームで、チームに参加した4人のうち2人は、昨年開催の横浜大会でも優勝し、本大会に出場している。今大会では“Docterra”(ドクテラ)という病院情報管理(情報配信、予約管理、レセプト管理)・電子カルテシステム(患者管理、診察管理、視覚化)を開発し、プレゼンテーションを行なった。

“Docterra”で実現できる6つの機能
Docterraの画面。レイアウトはマウス操作で変更できる
Pocket PCで3次元イメージを表示

最大の特徴はASP.NET 2.0で開発されたオープンソースのコンテンツ管理システムをベースにしていること。これにより、数百万円から数千万円程度が相場と言われる病院管理システムをオープンシステムで構築でき、大幅にコストが削減できるという。また拡張とカスタマイズのしやすさも特徴で、“Dot Net Nuke”というポータルサイト構築用のアプリケーションを使用し、掲示板や報告書などのモジュールの配置や設定をマウスのドラッグ&ドロップ操作で行なえる。さらに電子カルテにはPDA(Pocket PC)を使用し、骨格モデルなどの3次元の表示も可能。サーバーで生成した3次元モデル(XAML 3Dなど)を2Dの画像として無線LANでPDAに配信する。秒間2コマ程度のアニメーションも可能で、これにより患者の患部などを視覚化でき、“インフォームドコンセント”(説明と同意)がしやすくなるという。

プレゼンテーションで会場を沸かせた北海道大学 大学院チーム
北海道大学 大学院のチーム。高田祐輔氏(左前方)、高良常仁氏(左後方)、泉澤秀樹氏(中央)、村上陽祐氏(右)
“人”という字は人と人が支えあい、さらに真ん中にテクノロジーが入って人々を支える、というパフォーマンスを壇上で披露
そして表彰式では審査員も“人”のパフォーマンスを……

準優勝は北海道大学 大学院のチーム。“八百万神 in Pocket”という、子供向け携帯端末(携帯電話機)用コミュニケーションツールを開発した。コンセプトは“携帯端末に神様が宿る”というもので、“神様”が今日の運勢を占ってくれたり、近隣の八百万神 in Pocketの神様と入れ替わったりする。

“八百万神 in Pocket”の機能の1つ“のりうつり”の概要
“うらない”機能について芝居形式でデモンストレーションを行なった
近隣のユーザーを判定するための仕組み

従来のコミュニケーションツールを使っていると、便利な故に“直接会う機会”が減ってくることに着目。コミュニケーション能力不足など、子供にはあまりいい影響を与えないことを指摘した。その上で、使い勝手をわざと“不便”にすることで、ユーザー同士がコミュニケーションをとるためのきっかけを与えるツールを作成したという。たとえば“うらない”機能では、身近にいる八百万神 in Pocketユーザーの占い結果は知ることができるが、本人は自分の占いの結果を知ることができない。つまり自分の占い結果は他人に聞かなければならないのだ。また近隣にほかのユーザーがいるとさまざまな“イベント”が発生する。たとえば別のユーザーの神様が自分の携帯端末に乗り移ったりもする。このシステムを実現させるためには、自分の位置と周りにいるユーザーの位置をサーバー側が把握している必要がある。このため自分の位置は携帯端末側のGPSで取得し、5秒以内に10メートル以上移動している場合にサーバーに位置情報を送信する。またサーバー側ではこの位置情報を元に、半径20m以内にいるユーザーを割り出す。これにより近隣にいる八百万神 in Pocketのユーザーとのコミュニケーションが可能となる。

モバイル連携の健康管理システムを提案した南山大学 大学院チーム
第3位となった南山大学 大学院チームの表彰式の様子
左から中村一仁氏、福永遂重氏、大谷洋子氏、森晃氏

第3位となったのは南山大学 大学院のチームで、“Dr.マペット”という健康管理システムを開発した。これはパソコンと携帯情報端末を組み合わせて、ユーザーの健康管理を手助けするというもので、ユーザーの健康状態はシステムが表示する“ペット”に反映される。

“Dr.マペット”システムの全体図
こちらも芝居形式でDr.マイペットの利用イメージを実践
パソコン用アプリケーションで健康状態を表示

このシステム自体はSOA(Service Oriented Architecture、サービスの集まりで構成された1つのシステム)という手法に基づいて構築されている。システムの流れはまずユーザーの行動履歴を携帯端末が取得する。具体的にはおサイフケータイの食品購入履歴やGPSの移動履歴、データの転送に対応する健康機器などから、ユーザーの体温、脈拍、血圧、食品の摂取量、睡眠時間、運動量などを取得。その内容をパソコンのアプリケーションで解析し、6つの尺度(食事、運動、睡眠、精神、環境、健康に関する知識)から総合的に診断する。さらにインターネットを経由してそれらの情報を専門のアドバイザーに送信することで、より高度な診断や助言が得られる。ただしSOAを実現するためには、通信プロトコルとしてはSOAP(Simple Object Access Protocol)を用いる必要があるが、その場合パソコン側のアプリケーションとは同期することになり、返信(つまりアドバイザーによる診断結果)を待つ状態になる。アドバイザーからの返信は1〜2日程かかり、それまではアプリケーションを使えない。この問題を解決するため、南山大学 大学院チームは.Net MessengerプロトコルにSOAPメッセージを載せて送信する“SOAP over Messenger”という技術を新たに開発。SOAPで使われるHTTPプロトコルではなく、メッセンジャーのプロトコルを採用することで非同期通信を実現し、アドバイザーからの返事を待っている間もパソコン側のアプリケーションでほかの機能を利用できるようにした。


主催者代表のマイクロソフト(株) 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の鈴木協一郎氏

今回の審査員であり、主催者代表のマイクロソフト執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の鈴木協一郎氏は、世界大会に出場するチームに対し、「このチームは昨年、世界大会を経験した方が何人かいらっしゃいますので、その経験を生かしつつ、本大会では日本のユニークなところや個性をいかに表現するか、また強みをいかにアピールするかを、これから(大会までの)数ヵ月の間でよく磨いて、よい結果を出してほしい」と期待を述べた。

(編集部 橋本優)


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