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アドビ システムズ、岐阜大学が遠隔教育システムに『Macromedia Breeze』を採用したと発表


2006年4月4日
岐阜大学のBreeze 5.0を使った遠隔授業システム

アドビ システムズ(株)は4日、東京・大崎のゲートシティ大崎内同社オフィスにプレス関係者を集め、ライブ(リアルタイム)とオンデマンド(蓄積型)の双方に対応するeラーニングシステム『Macromedia Breeze 5.0』が国立大学法人 岐阜大学の遠隔教育システムに採用されたと発表した。併せて、広島大学/玉川大学/東京工業大学ですでに採用されているアドビ製品関連の教育関連ソリューションも紹介された。



北川久一郎氏
アドビ システムズのマーケティング本部教育市場部部長の北川久一郎氏

今回発表された岐阜大学の遠隔教育システムは、大学院の“カリキュラム開発専攻”において専門講義にテレビ会議システムを使い、修理論文指導のゼミにはBreezeによるインタラクティブな遠隔授業を実践するというもの。同時に今年から、テレビ会議システムで行なう授業科目についてもBreeze Presenterによるコンテンツ開発を開始。来年度(2007年4月)は修士論文指導ゼミのBreeze導入を“学校教育専攻”にも拡大し、“教科教育専攻”でBreezeを使った遠隔授業を開始するとしている。今年度(2006年4月〜2007年3月)のカリキュラム開発専攻の定員は21名(履修期間は2年間)で、そのうち半数程度がBreezeによる遠隔講義を受けるという。

発表会にはアドビ システムズのマーケティング本部教育市場部部長の北川久一郎氏、フィールドマーケティングマネージャーの長部謙司(おさべけんじ)氏、および岐阜大学の総合情報メディアセンター教授の加藤直樹氏らが出席し、アドビの教育市場への取り組みや、岐阜大学がBreezeを採用した背景などを説明した。

アドビ システムズの教育市場への取り組み
アドビ システムズの教育市場への取り組み
アドビ製品の教育現場での活用事例
アドビ製品の教育現場での活用事例

北川氏は、アドビの教育市場への取り組みについて、

  • インタラクティブなコミュニケーションを実現するソリューション
  • eラーニングソリューション
  • 教育機関全体、ならびに教員、スタッフの生産性を高めるツール

の3つのカテゴリーで取り組んでいることを説明。インタラクティブなコミュニケーションを実現するソリューションとしては、同社の『Adobe Photoshop Elements』『Adobe Premiere Elements』で、ポスターやコマーシャルを子供たちが作り、自分の伝えたい内容を創意工夫しながら表現し、相手がその内容を見てどのように感じるかを学習する教育プログラムを学校の教師らとともに開発・提供している。

一方、教育機関全体や教員、スタッフの生産性を高めるツールとしては、PDF文書を使った事務作業の効率化やICカードによる学生証/入館証と組み合わせてのセキュリティー向上、さらに教師同士/学校間でのオンラインコラボレーションを促進するコミュニケーションツールなどを提供している。

広島大学のPDFを使った試験問題
広島大学のPDFを使った試験問題
提出するとXML形式に書き出され、メールで送信できる
提出するとXML形式に書き出され、メールで送信できる

すでにPDFを教育現場に用いた実例も紹介された。広島大学ではPDF形式のテスト問題の配信を行なっており、参照/引用したページの範囲を書かせるとともに、回答の論文を三段論法(各段落は200文字までしか入力できない)で記述させる。最後に提出ボタンを押すと、自動的にXML形式の文書を生成して教師の下にメールで配信され、採点結果を生徒に送り返すという仕組みになっている。

流体力学に関する論文のPDFファイル
流体力学に関する論文と、その論文に関連したシミュレーションデータを組み合わせたPDFファイル(写真に見える気泡の部分がCGアニメーションになっている)

玉川大学と東京工業大学の例では、発表論文や教材をPDF文書で作成し、その中に動画を埋め込むことで、言葉だけでは説明できない/理解されにくい流体の動きや実験時の様子などをインラインで表示・再生して見せられる。メディアプレーヤーなど別アプリケーションを立ち上げることなく、PDF文書を表示するAdobe Reader内で映像が再生されるため、文書を読みながら映像をその場で確認できる。

加藤直樹氏
岐阜大学の総合情報メディアセンター教授の加藤直樹氏

続いて、岐阜大学の加藤教授が同大学の遠隔教育システム導入の経緯について説明した。加藤氏によると、岐阜大学では1995年に大学院の教育学研究科で遠隔教育システムの導入が開始された。これは岐阜大学が県内の南に位置し、北の高山市や飛騨の教育事務所/教育委員会が学習機会を設けてほしいという申し出があって始めたという。当初は教員が直接出向いて講義を行なっていたが、衛星通信によるテレビ会議システムが使えそうだということから、研究をかねて開始したのが1997年のこと。現在もこのニーズがあるため、県内の高校など県内5ヵ所、および熊本県で場所を借りて遠隔授業を続けている。

岐阜大学のeラーニングシステム導入の経緯
岐阜大学のeラーニングシステム導入の経緯

2000年になってインターネットを使った遠隔授業もスタートし、衛星通信とインターネットの双方のメリットを生かし、リアルタイム中継と蓄積型(オンデマンド)の2つのスタイルで教員にも学生にも使いやすいソリューションを開発・提供し始めた。特に現役の教師を対象とした教科教育では、生徒側も学習するモチベーションが高く、学校の都合などで受けられない授業があると大変残念がって、ぜひもう一度受けたいという声が多かったため、オンデマンド型の授業は重宝しているという。

今回のBreezeを使ったシステムは、“現代GP(Good Practice、現代的教育ニーズ取組支援プログラム)”と呼ばれる文部科学省の支援(2004年から3ヵ年実施され、年間3000万円の予算が公募に通過したプロジェクトに支援される)を用いて構築された。継続利用には、2名程度の人員を開発・メンテナンスに確保する予定だという。

Breezeを使ったリアルタイム授業の様子
Breezeを使ったリアルタイム授業の様子(発表会場でもデモより)
PowerPointで作成した教材と教員の説明動画を組み合わせたFlashファイル
PowerPointで作成した教材と、教員の説明ビデオを組み合わせたFlashファイルを、PowerPointで生成したところ

このシステムでは、教師が用意したPowerPointの資料をBreezeの“Presenter”機能を使ってFlashファイルに変換し、さらに教授の説明する映像を同時に流しながら、説明に併せて資料を改ページするという自動再生プログラム(蓄積型)と、Breeze内のビデオ会議システムを利用して教師の説明を聞きながら、生徒が随時質問を投げかけたり、詳しい説明を求めるといったインタラクティブな授業(リアルタイム型)が実現できる。

Breezeを使った遠隔授業システムを導入するメリット
Breezeを使った遠隔授業システムを導入することで、“学習機会の拡大(エンラージメント)”と“学修内容の充実(エンリッチメント)”の2つの効果を期待するという

ただ、加藤氏は「学修そのものが前に出てくる仕組みを作らないといけない。(ビデオ会議システムとしての)Breezeが主張されるよりも中身が重要。最初の(授業の)1回、2回は、システム側への関心がかなりの割合になると思うが、経験的にみて3回目以降は授業に集中していつのまにかシステム(Breeze)に慣れてしまうだろう。短時間で慣れるほど、優れたシステムだと思う」「遠隔教育と言ったときに、テレビ会議だとかインターネットでの配信だとか、そのとき流行の単一の手法だけでやろうとする動きがあるが、それは教員や学習環境から考えて“NO”だと思う。例えば学校の教室でも、(黒板や机、教材など)いくつかの手法を組み合わせて、学習内容に応じて創意工夫する。教室をイメージして教育する場を提供することが重要」と述べ、Breezeもいくつかある教育のためのシステム/手法のひとつとして捉え、学生のニーズや学習内容に応じてシステムを使い分けることの重要性を強調した。


なお、アドビ システムズは教師・教員が授業の現場でIT(情報技術)を活用して、“授業をデザイン”する力を養うための情報交換の場“D-projectワークショップ”(主催:D-project(デジタル表現研究会))を支援している。ここでは、アドビが“Elementsシリーズ”で子供たちに表現力を養う教育事例などを発表し、それを実践した教師から感想を得たり、それに対してほかの現場からの意見や事例を紹介しあうなど、活発な情報交換が行なわれているという(メーリングリストに参加している教師は400名程度)。

(編集部 佐久間康仁)


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