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JEITA、“デジタル家電セミナー”を開催――経済産業省と総務省の情報通信担当者が講演


2006年4月20日

(社)電子情報技術産業協会(JEITA)は20日、デジタル家電についてのセミナーイベント“デジタル家電セミナー 2006―デジタル家電が拓く近未来―”を東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催した。ここではその中の、経済産業省の“新経済成長戦略”と総務省の“デジタル放送の諸施策”について主にお伝えする。


JEITAのデジタル家電部会部会長代理の岡村 憲優氏(シャープ(株)東京支社渉外部参事)

セミナーの冒頭、JEITAのデジタル家電部会部会長代理の岡村 憲優(おかむら のりお)氏が現在のデジタル家電業界について説明を行なった。まず、雇用確保につながる国内設備投資について、電気機器業界は2005年度に4兆3000億円に達したという。これは輸送機器業界や化学工業業界よりも雇用に貢献していることを示しており、実際に電気機器業界の求人も2002年では0.2倍だったのが、2005年は1倍にまで回復しているという

2006年の業界別物価指数比較
デジタルテレビの価格推移

 その反面、2000年を“100”とした場合の2006年3月時点の業界物価指数では、全体が99.3なのに対し、電機業界は70.3という低い数値となっている。これはつまり、ほかの業界よりも製品の値段が割安であることを示している。特に値下がりが顕著なのはテレビで、32Vインチの液晶テレビは2005年1〜9月の間で実売価格が18%ダウン、ブラウン管テレビも2004年9月から1年間で10%ダウンしたという。このような背景から、液晶テレビやプラズマテレビの普及が加速し、その世帯普及数は2005年3月時点で11.5%だったのに対し、2006年3月には19.8%にまで上昇している。ちなみに50%を超える普及率を達成している機器としては、ブラウン管テレビ(96.2%)、DVDプレーヤー(61・1%)、パソコン(68.3%)などが挙がっていた。


地上デジタル受信機の国内需要予想グラフ

地上デジタル受信機の市場については、昨年までに841万9000台が出荷され、本年度は1758万9000台の出荷を見込んでいる。また2010年には9614万5000台まで普及するとしている。


経済産業省の商務情報政策局 情報通信機器課企画調整官を務める田村敏彦氏

続いて経済産業省の商務情報政策局 情報通信機器課企画調整官を務める田村敏彦(たむら としひこ)氏が壇上に上がり、同省が現在取りまとめている経済産業政策である“新経済成長戦略”について説明を行なった。これは“国際競争力の強化”と“地域経済の活性化”を2本柱として、今後10年を見据えた中長期的な経済活性化政策を取りまとめたもの。5月の最終的な取りまとめ作業に入る。

まず、国際競争力の強化については、アジアの成長は日本の成長に欠かせない要素だとし、アジア諸国と早期に経済連携協定(EPA)を締結するなど、日本とアジアがともに成長できるような環境作りを行なっていく。また“燃料電池”や“ロボット分野”など、世界をリードするような新産業群を育成していくという。さらにITを利用した企業経営を促進し、生産性の向上を図るという。

地域経済の活性化については、各地域におけるサービス産業の強化を政策のひとつとして掲げている。現在GDPの7割弱はサービス産業が担っており、さらに雇用も3分の2はサービス産業であると指摘。さらなる雇用機会拡大やサービスの質の向上に向けて、学校運営に企業が関われるような制度作りや、細分化されていて使いにくい原価償却制度の根本的な見直しなどを行なっていくという。


“IT新改造戦略”の全体像

情報政策の話としては、経済産業省は1月に“IT新改革戦略”を取りまとめたことに触れた。IT推進の国家プロジェクトである“e-Japan”戦略と異なる特徴として、“ITによる企業競争力の強化”と“少子高齢化などの環境に関する問題もITで解決”することが盛り込まれているという。


総務省の情報通信政策局 放送政策課課長である南 俊行氏

その次に壇上に上がったのは、総務省の情報通信政策局 放送政策課課長である南 俊行(みなみ としゆき)氏。同氏によると、現在、地上波のほかにBS/CSやCATVなどにより、多チャンネル化が進んでいるが、視聴者のほとんどは地上波放送を視聴している現状があるという。そのため、2011年の地上アナログ放送の停波について、「ユーザーに正しく理解してもらうことが大事であり、周知を徹底していきたい」と語った。停波に関する認知度は、昨年9月の段階で1割に満たなかったが、アナログ受信機に“2011年アナログテレビ放送終了”のシールを貼るなどのキャンペーンにより、現在は3割ぐらいまでになったという。

4月から開始された携帯機器向け地上デジタル放送(以下、ワンセグ放送)に関しては、予想以上に視聴者からの反響が大きいという。現在は地上波放送と同じ番組を放送しており、携帯電話キャリアーからは「ビジネス上、もう少しうまみのある仕組みができないのか」という意見が寄せられているという。これに対して同氏は「放送事業者と通信事業者が一致協力して新しいコンテンツが生み出されるような仕組みを積極的にご検討いただければありがたい」とし、「できればテレビショッピングや通信販売を超えたコンテンツを考えていただきたい」と期待感を示した。


ブロードバンド映像配信事業者の区分表

またブロードバンド映像配信についても言及した。コンテンツの一斉配信を行なう“IPマルチキャスト”型サービスは現在、放送事業者として認定されているが、ビデオ・オン・デマンドのみを提供するサービスは通信事業者となっている。コンテンツの著作権の扱いに関して前者のほうが厳しく「天と地の差がある」という。総務省ではIPマルチキャストのコンテンツ配信に関して、著作権の規制を緩める方向で検討を重ねているが、著作権者からの反発も強く、現在文化庁などでも議論がなされているという。

同氏は通信は国家の規制を受けないもの、放送は最低限の規律は必要なもの、と位置づけ、問題は社会的な影響力の変化だと指摘。3月末時点で850万のユーザーを抱える(株)USENの“GyaO”を引き合いに出し、「これは放送的通信」と表現。それに対して規制をかけるかどうかは「(放送との)社会的影響力の差が出てきて、それが定着するのかを見極めたい」とした。

最後に、総務大臣の竹中平蔵氏が「最近行った場所でがっかりした場所はどこですか」というインタビューに対し「NHKアーカイブスです」と答えた逸話を紹介。埼玉県の川口市にあるNHKアーカイブスには、テレビ映像だけで50万本のコンテンツが存在するが、それらを一般公開するには著作権処理が必要で、実際にその場で観られるのは5000本しかないという。竹中氏は「こんなに美しい、国民共有の財産でありながら、それが使えないのはいったいどういうことなのか」と嘆いたという。南氏はこの話を踏まえ「こういったもの(コンテンツ)がネット上で流通することで、これが1つのきっかけとなって新しいことができれば」と締めくくった。

(編集部 橋本優)


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