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HMDに3画面ディスプレー、吊下げ可動式の筐体も使った各社注力の最新シミュレーター特集!――“自動車技術展”会場レポート

これに乗るためだけに行ってもイイ!?


2006年5月24日

会場には、外装の材料や組み立て技術、検査機器、エンジンなど自動車に関する部品や最新技術が多数展示されているが、中でも特に盛り上がっていたのは“最新自動車技術体験ゾーン”だ。ここには家庭用ゲーム機向けに開発されたリアルな3D CGや車の挙動を再現する技術を生かして、体感型筐体によるドライビングアシストやプリクラッシュ(事故損壊を未然に防ぐ)技術を体感できるシミュレーターが多数展示された。メーカーごとに体験乗車のための整理券を配布しているが、人気の筐体では午後2時ごろには早くも初日分の予約が埋まっているものもあった。

“プリクラッシュセーフティ シミュレーター”/トヨタ自動車

“プリクラッシュセーフティ シミュレーター”
トヨタの“プリクラッシュセーフティ シミュレーター”

トヨタ自動車(株)が出展した“プリクラッシュセーフティ シミュレーター”は、脇見などドライバーの不注意によって起こる事故を未然に防ぐ“プリクラッシュセーフティ”機能を体験できる筐体。ステアリング(ハンドル)の奥にあるカメラ“ドライバーモニター”が運転手の顔の向きを常時モニタリングしており、もし正面を向いていない状態で、かつ前方車両との車間距離が短くなった場合には、警報ブザーや警告表示が出て、さらに“警報ブレーキ”(短時間の急ブレーキ)を用いて、運転手に注意を喚起する。それでも運転手の操作が間に合わず、衝突が不可避と判断した場合には“ブレーキ制御”と同時に、クラッシュ時の衝撃を和らげるための“シートベルト制御”が働くという。

このシミュレーターでは、ヘッドマウントディスプレー(HMD)でプリクラッシュセーフティが機能する状況を視覚的に再現するとともに、乗っている筐体が可動して急ブレーキによる前屈み状態(いわゆるジャックナイフ)やシートベルト制御によるショックを体験できる。

“VDIMシミュレーター”/トヨタ自動車

トヨタの“VDIMシミュレーター”
同じくトヨタの“VDIMシミュレーター”
“VDIMシミュレーター”の画面と操作部
起動時に“グランツーリスモ”のロゴが出ていたことや、筐体にPS2コントローラーが埋め込まれていることから、同ソフトをベースに可動筐体向けにカスタマイズしたようだ

同じくトヨタ自動車では、“VDIM(Vehicle Dynamics Integrated Management、アクティブステアリング統合制御)”機能の有無による運転しやすさの違いを体感できるシミュレーターを出展している。VDMIとは、ABS(Anti-lock Brake System、急ブレーキによるホイールロックやスリップの防止)、TRC(Traction Control、空転防止)、VSC(Vehicle Stability Control、車輌姿勢制御)、アクティブステアリングを組み合わせた運転補助機構。S字カーブなどで、スピードを落とさずに急ハンドル/急ブレーキなどを使って車体が横滑りする事故を未然に防ぐという。シミュレーターでは3台の液晶ディスプレーを並べた3画面筐体で、雪道のような悪条件での運転操作を再現していた。



“四輪ドライビングシミュレーター”/本田技研工業

ホンダの“四輪ドライビングシミュレーター”
ホンダの“四輪ドライビングシミュレーター”

本田技研工業(株)の四輪ドライビングシミュレーターは、大学などの研究機関においても活用されている本格的なドライビングシミュレーターで、安全運転教育/新技術体験/安全研究用など多岐にわたったソフトウェアを開発、運用しているという(動作制御は2台のパソコンで行なう)。会場のシステムにはVSA(Vehicle Stability Assist、車両挙動安定化制御システム)用ソフトが組み込まれ、ABS+TCS(Traction Control System、空転制御)+横滑り抑制技術による運転補助機能が体験できる。この筐体には前面下部に液晶ディスプレーと曲面ミラーを配置して、よりリアルな視界を再現していた。

“二輪ライディングシミュレーター”/本田技研工業

“二輪ドライビングシミュレーター”
“風になる”機能まで付いた“二輪ドライビングシミュレーター”

ホンダはさらに、往年の名作アーケードゲーム“スーパーハングオン”を彷彿とさせるような、バイクシミュレーターも展示していた。といっても、さすがにバイクメーカーの作る筐体だけあってブレーキランプやウィンカー、ペダル、ステア(ハンドル)などがリアルに再現されており、3軸モーター制御によって重心移動によるロール(左右への傾き)/ピッチ(前後への挙動)/ステア(路面の凹凸によるハンドルへの反動)なども体感できる。また、写真はガソリンタンクを装着した“自動二輪モード”だが、これを取り外して折りたたみ式ステップを開くと、足を揃えて乗れる“スクーターモード”に変更でき、自動二輪モードではレバーがクラッチに、スクーターモードではリアブレーキに切り替えられる。このほか、“風を感じる”バイクの爽快感を体感するべく、前面のリアプロジェクターの下には送風口が用意され、速度に応じた走行風を浴びることができるあたりは、さすがバイクメーカーのシミュレーターと思わせる。



“CAPSシミュレーター”/日野自動車

日野自動車の“CAPSシミュレーター”
日野自動車の“CAPSシミュレーター”。さすが大型車を手がける日野自動車だけあって、シミュレーターも大型!
“CAPSシミュレーター”の画面
“CAPSシミュレーター”の画面は、乗っていない人も見られる

主にトラックやバスなどの大型自動車を手がける日野自動車(株)は、懸架式の大がかりなトラックシミュレーターを出展した。CAPSとは、Collaboration with Active and Passive Safetyの略で、“衝突被害軽減ブレーキ”“車間距離一定クルーズ”“車両安全制御システム”“横転防止装置”などを組み合わせて、運転者の負担を減らす機構のこと。体験できるのは、このうちのひとつ(選択式)で、実際に動作している時には加減速のG(加速度)を体感させるべく、かなり大きくコックピットが挙動していた。



“車両統合制御システム シミュレータ”/富士重工業

“車両統合制御システム シミュレータ”
富士重工/スバルの“車両統合制御システム シミュレータ”

“スバル”ブランドで知られる富士重工業(株)は、同社が現在研究開発中という車両統合制御システムを体感できるシミュレーターを展示していた。同社ではシステム研究のために実験車両『SUBARU IVX-II』を開発し、ステレオカメラとミリ波レーダーによる前方認識技術、独自の統合制御アルゴリズムを搭載したコントローラー、次世代シャーシ制御技術といわれる“バイワイヤ技術(ステアリング/ブレーキ/スロットル)”などを搭載して実証実験を繰り返している。会場に持ち込まれたシミュレーターはその技術を体感できるというもので、3画面でリアルな街の風景を楽しみながら、可動筐体で姿勢制御などの有無をリアルに体感できる。



“ドライバアシスタンスシステム”/デンソー

デンソーの“ドライバアシスタンスシステム”
デンソーの“ドライバアシスタンスシステム”。中央に顔認識機能で登録した自分の表情が写っている

(株)デンソーは、運転者をモニタリングして注意散漫(眠気や脇見など)な運転を防止・警告するシステムのデモ筐体を展示していた。このシステムで検知できるのは、ドライバーの顔認識による“まばたき計測”“シート位置の自動制御”、およびステアリングに組み込まれたセンサーでの“心電波形計測”の3つ。運転者が目を長く閉じていることを検知すると、自動的に冷風を運転手の首元に送るとともに、警告音を発して注意を促す。シート位置の自動制御は、あらかじめ顔を登録したドライバーが乗車すると、前回のシート位置(高さや前後)を呼び出して復元するというもの。



“前席緊急ブレーキ感応型プリクラッシュシートベルト”&“アクティブAFS”/日産自動車

日産の“前席緊急ブレーキ感応型プリクラッシュシートベルト”
日産の“前席緊急ブレーキ感応型プリクラッシュシートベルト”

日産自動車(株)のシミュレーターは、運転者および助手席で急ブレーキを掛けたときに、いち早くシートベルトを緊張状態に作動させてシートに拘束することで、衝撃を減らし、運転者に確実な運転操作ができるよう補助するという機能を体感できる。具体的には、席についてシートベルトを締め、ブレーキペダルを踏み込むと、瞬時にシートベルトが引き戻されて運転手はシートに密着(圧迫)させられる。

日産の“アクティブAFS”
同じく日産の“アクティブAFS”。ステアリングを動かすとライトの向きも連動する

もうひとつの“アクティブAFS(Adaptive Front-lighting System)”は、ステアリング操作に応じて車が曲がろうとする方向に専用ライトを照射して、前方を見やすくする機能。ライトの向きはステアリングを切った量だけでなく、車速によっても調整されるため、夜間走行の運転者の視認性がかなり向上するという。

(編集部 佐久間康仁)


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