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Vistaの注目機能をデモ――WinHEC Tokyo開催

2006年06月20日 22時01分更新

文● 編集部 西村賢

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マイクロソフト(株)は20日、Windowsの新機能や技術を開発者向けに説明するカンファレンス“WinHEC Tokyo”(Windows Hardware Engineering Conference)を開催し、Windows Vistaの新機能のいくつかをデモンストレーションで披露した。

マーシャル・ブルーマ氏
マーシャル・ブルーマ氏(Marshall Brumer;Windowsハードウェア プラットフォーム エバンジェリズム ゼネラル マネージャ)

画面上のティッカーは邪魔でも補助ディスプレーならOK?

天気、株価、ニュース、メールなど、ネットワーク経由でさまざまな情報がリアルタイムに届く時代だが、そうした情報を“サブディスプレイ”で表示するのが、Vistaに搭載される“SideShow”と呼ばれる機能だ。

SideShowは補助ディスプレーに文字や絵を表示するためのAPIを提供する。開発者は、このAPI群を使うことで、たとえばノートパソコンを閉じた状態のときにも、液晶パネルの裏(パソコン上面)などに用意されたサブディスプレイに時計や天気予報を表示するといった機能を簡単に追加できる。あるいは、USBキーボードに付けられた小さなモノクロの液晶ディスプレーに、簡単なテキストメッセージを表示させることができる。無線LAN経由の接続でもかまわないので、デジタル写真立てのような応用もあるという。

岸恵一氏 表示例
小型液晶ディスプレー付属のキーボードを用いてSideShowのデモをする岸恵一氏(ウィンドウズ開発統括部プログラムマネージャ)ハードウェアベンダーがSideShowのAPIに対応したドライバーを提供することで、こうした表示をソフト側から簡単に行なえるようになる
表示例2
液晶ディスプレー背面にサブディスプレーを備えるASUS製ノートパソコンでSideShowを使った例

これまでにも画面上に電光掲示板のように文字が流れるティッカーを表示したり、小さなウィンドウで新着メールを表示するといったデスクトップアクセサリーは多数あったが、実際に使ってみると画面上で邪魔になったり、ブラウザーの下に隠れっぱなしで見えないことが多かった。SideShowで、物理的に分離された小型ディスプレーが活用されるようになれば、さまざまなアプリケーションやデバイスが登場することになるだろう。マイクロソフトは、(株)インプレスジャパン、(株)エムディエヌコーポレーションなどと共催で、SideShow向けのプログラムを公募する“Windows Vistaソフトウェアコンテスト”を開催するという。コンテストの対象となるのは、SideShowやSidebarを含む全5部門で7月中旬に詳細が公開される。

ネットワーク設定を簡易化する“Windows Rally”

Vistaによって大きく変わるのは、ネットワーク接続の簡単さと、写真や動画、音楽などのデータの扱いの容易さだ。デモンストレーションを見れば、一目瞭然だ。

“Windows Rally”は単一の機能ではなく、ネットワーク設定に関わる技術の総称だ。以前には“Windows Connect Now”とも呼ばれていたとおり、これらの技術は、ネットワークデバイスの接続を簡易化する。

デモンストレーションでは、バッファロー製の無線LANルーターの試作機と、キヤノンの無線LAN対応デジタルカメラを用いて行なわれた。まず、無線LANルーターをオンにすると自動的に無線LANに対応したVista搭載パソコンが発見、認識する。続いて、ウィザード上で、無線LANルーターに与えられた“PIN”ナンバーを入力する(デモでは8桁の数字が本体側面にシールで貼付されていた)。これだけで、面倒なIPアドレスやWPA暗号通信の設定をすることなく設定が完了する。

PINナンバー
デバイスごとに付けられたPINナンバー
PIN入力 設定完了
PINナンバーをVistaに入力する無線LANルーターの設定が完了

すでに市場にある無線LAN製品には同様の簡易設定機能が搭載されているが、ベンダー間の相互互換性がない。こうした機能の実装にマイクロソフトがイニシアチブを取った意義は大きい。気がかりなのは、米アップルコンピュータ社が同様のコンセプトで“Bonjour”と呼ばれる仕様を提唱していることだ。アップルは、IETF標準となるオープンな仕様だと説明しているが、果たしてマイクロソフトとアップルの“業界標準”に対して“業界”がどう動くのか注目される。

デジカメも無線LANで簡単に接続

無線LANルーターに続いて、キヤノン製のデジタルカメラを無線LANで接続するというデモが行なわれた。いったんカメラをUSBケーブルを用いてVista搭載パソコンと接続しておくと、以降はワンタッチで無線LANの接続は確立されるようになる。デモでは、無線LAN接続を使ってパソコンと接続した状態で、デジカメのフォルダーを表示。デジカメのシャッターを押した直後に、撮影した写真が現われた。

撮影デモ 撮影デモ2
無線LANで接続されたデジカメで撮影即座にパソコン上のフォルダーに写真が登場

異なるパソコンやデバイス間でのデジタルコンテンツの共有でも、Vistaは便利な機能を提供する。

タブレットPCを使ったデモでは、無線LAN越しにデスクトップ上パソコン上のマルチメディアデータを再生。これは、フォルダー共有を使えばWindows XPでも行なえたことだが、Vistaでは、より簡単になっている。Vistaと同期時にリリースされることになっているWindows Media Player11(WMP11)は、同一ネットワーク内にあるパソコンを自動的に検出し、そのパソコンが共有しているライブラリーを表示することができる。

同じくWMP11を使ったデモでは、携帯マルチメディアプレーヤーとの連携機能が強化されたことを強調。パソコン上に保存されたハイビジョン映像や、高音質の音楽データなどは、同期時に接続デバイスの処理能力に応じたデータサイズにダウンコンバートされた。

このほかデモでは、Windowsムービーメーカーによるハイビジョン映像の編集、高音質オーディオの再生などが続き、コンシューマー向けの機能を強調するものとなった。

共有デモ1 共有デモ2
タブレットPCからデスクトップのマルチメディアデータにアクセス携帯マルチメディアプレーヤーに同期で転送すると自動でダウンコンバート

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