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富士通、小中学生を対象にしたバイオメトリクス認証技術の体験会を開催

2006年08月25日 18時15分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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富士通(株)と(株)富士通研究所は25日、東京・川崎の富士通川崎工場テクノロジーホールにプレス関係者、および科学に興味のある小中学生20名を集め、バイオメトリクス認証技術の体験会を開催した。会場には指紋認証・顔・声紋・手のひら静脈の4つの生体認証システムのデモが用意され、子どもたちにも分かりやすい説明と体験デモが行なわれた。

音声認証のデモを試している子どもたち
音声認証のデモを試している子どもたち

これは、(社)電子情報通信学会と日本未来科学館(友の会)が主催し、富士通と富士通研究所が場所やデモを提供して共催する形で行なわれた子ども向けイベント。子どもたちの理科離れ、科学離れが叫ばれる中で、少しでも科学技術に興味・関心を持つようにと開かれたもの。

最初に挨拶した富士通研究所の画像・バイオメトリクス研究センター長の佐々木 繁氏は、「ユビキタスネットワーク社会になって、利便性が高まっている一方で、情報を悪用する犯罪も増えている。今回テーマにしたのは、自分の持ち物を自分のものであると証明し、漏洩しても保護されるようにする仕組みとしての“バイオメトリクス認証技術”」と説明した。



佐々木 繁氏
富士通研究所の画像・バイオメトリクス研究センター長の佐々木 繁氏
指紋認証のデモコーナー
指紋認証のデモコーナー

デモ会場ではそれぞれのバイオメトリクス認証技術の担当者が説明し、質問にも熱心に答えていた。例えば、指紋は表面の凹凸を直接読み取る“静電容量式”、もしくは指の真皮に近い部分を読み出す“電界式”で読み取り、ノイズを除去して二値化し、ラインとして特徴点を検出して照合している。特徴点とは、指紋の紋様の分岐点や終端点、三角州(3方向から合流する部分)、および渦巻きの中心点などで、指1本あたりのデータ容量は4KB。認識率は他人受入率(FAR)が0.0002%、50万人に1人という。登録者の誤認(受入拒否)の確率は0.04%で、読み取る場所のずれが原因になることが多い。そのため、ライン式センサーの場合には指の第一関節のしわを目印にして、一定の速度で引くようにすると誤認識によるストレスが減る、とコツを教えてくれた。



指紋認証の一連の流れ1 指紋認証の一連の流れ2
指紋認証の一連の流れ。まずセンサーで読み取った指紋パターンからノイズ(画像としてのゴミや汗腺など)を除去するノイズを除去した画像を二値化する
指紋認証の一連の流れ3 指紋の不一致の例
さらにそこから模様のパターンをライン化して、特徴点を抽出する指紋の不一致の例。刑事ドラマのような、指紋の映像を2枚スライドさせて重ねて、○とか×とか判断するわけではない
手のひら静脈認証のデモコーナー
手のひら静脈認証のデモコーナー

スルガ銀行や東京三菱UFJ銀行で採用され、ブラジルのブラデスコ銀行(Banco Bradesco SA)でもまもなく導入予定という手のひら静脈認証は、すでに100万人のユーザーを数えるという。これは静脈の還元ヘモグロビン(動脈を流れる酸化ヘモグロビンから酸素が使われた後の状態)を近赤外線で検出するもので、手のひらをよく見ると青い筋で浮き出る血管を検出している。銀行に導入されているシステムでは、データ容量は1KBで顧客のカードに記録された静脈パターンと使用者の一致をATM(現金預け払い機)単体で確認している。指紋認証に比べてセンサーに直接触れることがないので、多人数が使うケースでも衛生面や心理的な抵抗感が少ないという。



顔認証のデモコーナー 顔認証技術の説明
顔認証のデモコーナー顔認証技術の場合、姿勢の変化や照明の変動にも弱く、双子には対処できないという課題がある

声紋や顔の認証は、指紋や静脈に比べると認証制度が低いが、利用者に個人認証と意識させずに利用できるメリットがある。例えば顔の認証では、ノートパソコンに内蔵されるケースも増えている30万画素程度のCCD/CMOSカメラも使えるため、ユーザーがパソコンの電源を入れると同時に利用者の顔を識別し、そのユーザーで自動ログインする、といった利便性向上のための工夫も考えられる。ただ、顔の認証では各パーツの位置と形状で認識するため、ヒゲやめがねの有無でも認識率に影響し、一卵性双生児など外観で区別しがたい場合には誤認率が高まるなど、まだ改良の余地があるという。

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