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世界最大の本屋さん、Amazon.comの本社に本を買いに行ってみた


2006年9月19日

スタバ、イチロー、マイクロソフト――。シアトルと言って思い出すのは、この3つぐらいだろうか。IT系の人であれば、このほかアドビやグーグルの開発拠点があることをご存じかも知れない。優秀な人材を求めて、マイクロソフトのお膝元でグーグルが学生達をリクルートしているのはよく知られている話だ。しかし、シアトルにアマゾンの本社があることは意外と知られていない。しかも、その本社の建物というのは、1932年に建設され歴史的建造物として国の保護指定を受けているものを改築した立派なものだ。

Amazon.com本社
古城のようにそびえるAmazon.com本社(!?)

古城のように闇に浮かぶ偉容

最初から知っていたかのように書いているが、実は記者自身もアマゾンの本社がシアトルにあるとは知らなかった。空港からダウンタウンへ向かうハイウェイの途中で、同乗者が「あれ、Amazon.comの本社だよね」と口にしたので驚いた、というのが本当のところ。

ふと見あげれば、丘の上にぼんやりと浮かぶ城のような建物が目に付いた。遠く夜霧にかすむ森の向こうに妖しく輝く赤茶けた建物。ずっと遠くにあるように見えるのに、周囲を睥睨するような威圧感がある。ネットビジネスの雄というイメージからは想像もつかない古色蒼然とした、まるで古城のような偉容だ。

Amazon.comの本社がお城だなんて聞いたことがない。ググッてみても、あるいはAmazon.comのページをつついてみても本社の情報は、ぜんぜん何も出てこない。確かに本社がシアトルに存在しているとは書いてあるし、登記簿情報にもとづいて作成されていると思われるGoogle Mapsでも本社の住所が出てくるというのに、建物についてはほとんど情報がない。

実際に建物に行って「ここが世界最大の本屋さんって聞いたんですけど、ハリーポッターの本はありますか?」と聞いてみたい。果たして、本当に古城のような建物がAmazon.comの本社なのか。本社で本は買えるのか……。

さっそく翌日、現地へゴー

場所や行き方について、ホテルのコンシェルジュや地元の人間、タクシーの運転手に聞いてみると、むしろ、「えっ、アマゾンコム? このシアトルに、あのアマゾンがあるの!?」と驚く人が多い。みんな知らないのだ。丘の上にある巨大な建物なので、かなり広い範囲から見えるはずだが、ぜんぜん知られていない。まるでカフカの城のようではないか。

そこまで秘密裏にオペレーションする理由があるのかよく分からないが、ネット系の企業には、本社の場所や建物についてほとんど公表せず、取材を拒否をするところも多い。YouTubeやYahoo!も、そうだ。だから、Amazon.comが知られていないというのは、いかにもありそうな話だ。

そうなってみると、ますます見てみたいと思うのがIT系の記者の性。自分が向かうホテルの名前は忘れてしまって言えなくても、Google Mapsで調べたAmazon.com本社と思われる住所はスラスラとタクシーの運転手に伝えられるのだった。

Amazon.com本社
近づいてみたAmazon.com本社
Amazon.com本社
別のアングルから撮影。アールデコ風の建物の中央部に、後からタワー状の近代的建造物をくっつけた様子が分かる

敷地外からは病院の看板だけしか見えない

なぜ地元の人やタクシーの運転手ですらアマゾンがあることを知らないのか、近づいてみて分かった。建物の敷地外には“PACIFIC MEDICAL CENTER”と、医療施設であることを示す看板しか出ていなくて、Amazonの文字はどこにもないのだ。

医療施設の看板が……
医療施設であることを示す看板があるのみ

この建物は16階建ての海軍病院として1932年に建てられたもの。アマゾンは、それを買い取って、約20億円(40億円という説もある)をかけて改築。1999年以来この建物を使っているはずだが、病院の看板を出したままなのだ。知られていないのも道理だ。

もっとも、相当規模の従業員を抱えてオペレーションをしているわけだから、地元の業者ともやりとりをするだろうし、地元経済にも影響はあるだろうから、知っている人は知っているということなのだろう。ちなみに記者の目にはアマゾン近辺の“城下町”は活気がなく寂れたように映り、ますますカフカの世界だなと思ったものだが……。

さて、肝心の本の購入だが、入り口に近づいて中をのぞき込んでみたら「アマゾニアン(従業員のことか)は出入りの際にIDカード必携のこと」などと立て看板があり、強面の警備員がいるだけの狭いロビーが見えた。突撃取材に来ましたとも、本をくださいとも言えるような雰囲気ではなかった……。ただ、正面入り口に小さなAmazonのロゴが銀色に輝いているのを確認して、タバコを吸いに次々と出てくるアマゾニアンたちの冷たい視線を気にしながら写真を数枚撮るだけの、ふがいない記者なのだった。

近づいて見上げたところ
正面入り口。確かにamazon.comの文字が!
正面から見下ろす景色。ダウンタウンからクルマで20分ほどの高台にある
夜のAmazon.com本社
夜は美しくライトアップされる

(編集部 西村賢)


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