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EdyもSuicaもひとつの端末で使えるようになる!?――JR東日本ら、Suica、Edy、iD、QUICPayの共用端末/サービスを発表

2006年09月27日 22時34分更新

文● 編集部 小西利明

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各社のICカードを共用リーダー/ライターにかざす4社の代表 開発中の共用リーダー/ライター
各社のICカードを共用リーダー/ライターにかざす4社の代表開発中の共用リーダー/ライター

東日本旅客鉄道(株)(JR東日本)、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ(ドコモ)、ビットワレット(株)、(株)ジェーシービー(JCB)の4社は27日、それぞれの企業が運営する非接触型ICカード技術を利用した決済サービス“Suica(スイカ)”“iD(アイディー)”“Edy(エディ)”“QUICPay(クイックペイ)”を1台で利用できる共用リーダー/ライターと共通インフラを、2007年1月から提供開始すると発表した。店頭端末の共通化により、加盟店舗側のコスト低減と、ユーザーの利便性向上を目指す。

共用端末のによるサービス提供を発表した4つの電子決済サービスのロゴ。ベースとなる技術が同じFeliCaであるため実現できた
共用端末のによるサービス提供を発表した4つの電子決済サービスのロゴ。ベースとなる技術が同じFeliCaであるため実現できた

4社が提供するそれぞれのサービスはいずれも、ソニー(株)が開発した非接触型ICカード技術“FeliCa(フェリカ)”を採用した電子決済サービスである。EdyとSuicaはあらかじめ現金のチャージを行なう“プリペイド式”で、iDとQUICPayはクレジットカードで決済を行ない、支払いは後日になる“ポストペイ式”の電子決済サービスである。ところがベースとなる技術は同じでも互いに互換性のない独立したサービスであるため、たとえば同じプリペイド型電子マネーであるSuicaを使い、Edyの端末や決済サービスを利用するといったことはできない。

NTTドコモ 取締役常務執行役員 プロダクト&サービス本部長の辻村清行氏
NTTドコモ 取締役常務執行役員 プロダクト&サービス本部長の辻村清行氏

ドコモ 取締役常務執行役員 プロダクト&サービス本部長の辻村清行氏によると、EdyとSuicaのICカード発行枚数が、8月末時点で合計約3460万枚。FeliCa機能を内蔵したドコモの携帯電話機(おさいふケータイ)の契約者数が約1550万契約など、FeliCa技術を使った電子決済サービスは急速に普及しているという。しかしこれらのサービス対応する加盟店は、異なるサービスごとに対応するリーダー/ライター端末を用意する必要があり、端末の導入コストが増えるほか、レジスターの周囲に複数の端末を用意する必要があるなど店側の負担が大きくなり、普及の足かせとなっていた。そこで4社のサービスで共用可能な端末と共通インフラを提供することで、店側負担の軽減とユーザーの利便性を向上させ、電子決済サービスの普及促進を目指す。



共用端末を利用したサービスのイメージ図。ひとつの端末で4つの電子決済サービスを利用できる
共用端末を利用したサービスのイメージ図。ひとつの端末で4つの電子決済サービスを利用できる
サービスの概略について説明した、JR東日本 常務取締役IT事業本部長の小縣方樹氏
サービスの概略について説明した、JR東日本 常務取締役IT事業本部長の小縣方樹氏

JR東日本本社で行なわれた記者会見で、同社常務取締役IT事業本部長の小縣方樹(おがた まさき)氏は4社提携の経緯について、共用端末と共通インフラの実現を目指して、同社とドコモが50%ずつ出資して設立した“共通インフラ運営有限責任事業組合(LLP)”で運営を行ない。共用端末の開発とインフラの核となる共通利用センター運営を行なうという。Edyを展開するビットワレットと、QUICKPayを展開するJCBが、後日参加の形でサービスに加わる。2007年1月から、先行するSuicaとiDが共用端末で利用可能になり、その後順次EdyとQUICPayが加わることになる。



共通インフラの仕組み。JR東日本とドコモの共同出資組合LLPが、共通インフラを運営。JCBやビットワレットが後日参加する
共通インフラの仕組み。JR東日本とドコモの共同出資組合LLPが、共通インフラを運営。JCBやビットワレットが後日参加する

今回共通化されるのはあくまでリーダー/ライター端末とその先のインフラであり、決済サービスの相互乗り入れ、たとえばEdyのチャージでSuicaの決済が利用できるようになるわけではない。しかし端末自体が共通化されることで、複数端末を用意する現状よりは加盟店側の負担が軽減されることから、複数社の決済サービスを1つの店舗で利用できるケースも増えると期待される。ユーザーにとっても複数サービスに対応する店舗が増えることで、電子決済サービスをより利用しやすくなる利点がある。共用端末の提供形態や価格等については、サービス提供会社によって異なるとのことで、具体的な言及はなかった。しかし共用端末の価格については、“10万円を切る価格で”というコメントもあった。

Edyを展開するビットワレット取締役の奥出勉氏は、Edyの月間利用件数が1450万件を超えるなど、プリペイド式電子マネーとして広く普及した実績を説明 JCB取締役の権堂淳氏は、試作品のブーメラン型ICカードを披露。QUICPayは2008年3月末までに10万店への導入を目指すとした
Edyを展開するビットワレット取締役の奥出勉氏は、Edyの月間利用件数が1450万件を超えるなど、プリペイド式電子マネーとして広く普及した実績を説明JCB取締役の権堂淳氏は、試作品のブーメラン型ICカードを披露。QUICPayは2008年3月末までに10万店への導入を目指すとした

JR東日本の小縣氏は、「これにより、お客様がどのお店でもどのサービスでも受けることができ、日本が世界をリードしていけるような電子決済サービス国家というものになる」と述べ、共用サービスの提供に強い意欲と自信を示した。

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