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【CEATEC JAPAN 2006レポート Vol.16】家電展示会で見かけた“ブログの未来”


2006年10月4日

日々の出来事や、見たもの、聞いたもの、気になったものを書き留め、親しい仲間内での共有に役立つブログ。ウェブの世界に突如として現れたこの新しいコミュニケーションスタイルは、驚くほどのペースで浸透し、今や日常の会話でも話題にのぼるようになった。

そんな中、家電開発の世界でも、数歩先のブログのあり方を研究し提案するところが少なくないようだ。“CEATEC JAPAN 2006”の会場ホール7に用意された特別展時コーナー“ユビキタスネットワークシンポジウム2006ショーケース”でその片鱗をかいま見ることができる。


ロボットブロガーの登場!?

ショーケースに入ると、まず目につくのがロボット関連の展示だが、その中に東芝グループが開発している“ブログアルファ”というプロジェクトがある(“アルファブロガー”ではない)。これは家庭に置いたロボットとブログを使ってコミュニケーションをしようというプロジェクトだ。

ブログアルファのロボ
ブログを介して自然言語でコミュニケーションできるロボット

家族だけが読むことができるプライベートブログに、「鍵かけたっけ?」といったコメントを書き込む。すると、しばらくして球形のロボットが動きだしドアのところにいき、写真をパシャリと撮る。ブログを開いてみると「玄関に移動します。鍵の写真を撮ります」と書かれた下に鍵の写真が表示される。つまり、このロボットはブログに普通の言葉で頼み事を書き込むと、それに応えブログで返事を返してくれるわけだ。

ブログ1
ブログ2
「鍵かけたっけ?」とコメントを書き込むと、ロボットがドアのところまで行って鍵の写真を撮影して、コメント付きでブログにアップしてくれる

今度はちょっとイジワルをして「ビールとって」と頼んだ。会場にはビールの入った冷蔵庫もなければ、あったとしてもロボットにはそれを取り出すアームもない。

ブログには「冷蔵庫に移動しようとしましたが、今日は無理です。ビールを、持ってきたいので、手伝ってください」と、逆にロボットからの応援要請が書き込まれた。

その下にはロボットが、ユーザーが要求したタスクの単語が“持つ”という動詞で、その目的語が“ビール”であること。そして“ビール”は普通、冷蔵庫にあることをちゃんと認識していることを示すように、ロボットによる文章の解析結果が表示される。

説明員によれば、このプロジェクトは、東芝のロボット専用に作られたものではなく、他社のロボットにも提供を考えているという。そのためにロボットが機能的にサポートしていない用件でも、とりあえずちゃんと意味を解析できるようにしているという。

できる作業をメニューで用意するような形にせず、自然言語解析というアプローチを取ったのもそのためだという。それにしてもなぜブログを使うことに? これまでのこうしたアプリケーションでは電子メールを使って命令するのが一般的だ。

説明員によれば、「メールはどちらかというと“1対1”でのコミュニケーション。しかし、家庭用に置かれたロボットでは、用事を頼む人間は一人だけとは限らず、母親が用事を頼むこともあれば、子供が用事を頼むこともある。こうした“1対n”のやりとりにブログが向いていた」という。

ロボットがブログに書かれた雑事を読み返し、ストなどを起こさないように注意して開発をして欲しいところだ
ロボットがブログに書かれた雑事を読み返し、ストなどを起こさないように注意して開発をしてほしいところだ

関わったものを記録に残すライフログ

一方、KDDIグループが“Ublia”プロジェクトの一環として展示していたのが“ライフログ”だ。Ubliaは総務省委託研究開発によるユビキタス制御/管理技術の研究開発プロジェクトで、九州工業大学、(株)KDDI研究所、日本電気(株)、富士通(株)、東京大学、慶応義塾大学、KDDI(株)らが参加している。

ライフログは、日常の中で出会った人、気になった商品、気に入った場所やそこで撮った写真などを自分専用のブログに記録していくという技術だ。

例えば面白い人にあって名刺交換をしたら、携帯電話機を取り出し、名刺に印刷されたQRコードをスキャン。これをライフログのサーバーに送信して、その人の情報を登録する。

また、お店を覗いていて気になる商品があったら、携帯電話でバーコードをスキャンして、その商品をブログに登録。街を歩いていて気に入った場所を見つけたら、携帯電話を取り出してその場所の風景写真にGPS情報を埋め込んでブログに登録するといった具合だ。

こうして日々のアップロードを積み重ねることで、自分が関心を持った人、物、場所そしてそれにヒモづけされたさまざまな情報がデータベースとしてブログに残っていく。携帯電話は、こうした情報をブログデータに変換可能なインターフェースになるわけだ。

KDDIでは、QRコードやバーコードよりも、スマートな情報取得手段としてRFIDの利用も検討しており、携帯電話に装着可能な小型RFIDリーダーの試作機も展示していた。

携帯電話で撮影
携帯電話でバーコードを撮影してアップロードすると……

商品名、メーカー、価格といった情報が撮影した写真付きでブログにアップロードされる

記録して転送、というもう1つの手法

ブログとは少し趣が異なるが、情報を収集するという観点で注目したいのは、慶応大学の“ClickCatalog”と呼ばれるプロジェクト。携帯電話の代わりにシャチハタの判子を大型化したような“@reader”という装置(RFIDリーダー)を用いる。

@reader
@readerでDVDのパッケージ情報を読み取っているところ

デモコーナーに並べられたDVDパッケージには、すべてRFID(微小なICタグ)が埋め込まれている。パッケージに@readerをかざすと、その情報がリーダーに蓄積される。ちなみに内側で赤いLEDが点滅すれば、読み取り可能な状態だ。

その後、テレビの前にあるコースターのようなもの(ケーブルなどは一切つながっていない)にリーダーを置くと、今まで集めてきた情報がテレビに転送されて映画の再生が始まる。どうやら、最後のコースターに置かれたRFIDが、ため込んだ情報をテレビに転送するトリガーとなっているようだ。

地図を読み取る
カレンダーを読み取る
地図のある地点を@Readerでかざすと、その場所で撮った写真が表示される、といった使い方も可能。また、カレンダーで日付をなぞると、その日付に関連した情報が表示される

KDDIと慶応、2つの異なるアプローチ

KDDIが気になる情報をその場でブログに記録するアプローチを取ったのに対して、ClickCatalogは情報をためるだけためておき、後からテレビ(コンピューター)にまとめて吐き出すアプローチを取ったのは面白い。

ClickCatalogといえば、2000年にソニー(株)が商品化した“e-marker”というサービスが似たようなアプローチを取っていた。テレビなどで気になる音楽があったらとりあえず専用端末(『EMK-A5』)のボタンを押しておくと、あとでパソコンにつないだときに、そのとき流れていた曲が表示されるという仕組みだ。

KDDIのように、その場で記録するアプローチは、実は記録作業に時間がかかってまどろっこしいという問題がある。今回のCEATECで写真にGPSを埋め込んでブログに投稿しようとすると、1枚の写真を投稿するだけのために数分かかってしまった。

一方、ClickCatalogのアプローチは、とりあえず情報をため込んで、すぐに別のアクションが起こせる素早さがあるが、その商品が気に入ったのか、嫌いなのか、間違って記録したのかもわからない、ただのブックマークになりがちだ。その後の検索に役立つメタ情報なども少なくなる。

Ubliaプロジェクトを通して、両者のいいとこどりをしたようなアプローチが誕生することに期待したい。


GPSを補う位置情報技術

ところで、ブログにおいても、今後はGPSなどの位置情報がますます重要になってくるだろう。情報が書かれた場所が記録されることで、あとから自分で「あそこで書いたエントリー」という形で検索したり、世界中の人々が“海浜幕張”の駅からどんな記事を投稿したかを串刺しで読んだり、といったことが可能になるからだ。

こうした位置情報を記録する上で重要なのが、携帯電話機への内蔵の義務づけも始まったGPS装置だが、まだまだ完璧なわけではない。高いビルの近くでは位置が微妙にずれることもあるし、地下や建物内ではまったく位置確認ができないことも多い。

そんな重要性が高まる位置情報の精度向上に真剣に取り組んでいるのが、(株)日立産機システムと(株)日立製作所だ。ブースに展示されていた“GPS疑似衛星発信装置(Multi-Channel Pseudolite System)”は、GPSからの位置情報信号を擬似的に発生させる装置になる。

例えば、GPS即位が難しいビルなどの中にこの装置を置いておくと、各GPSは衛星からの電波ではなく、この装置からの電波を受けとり位置情報を表示することができるようになる。

GPS疑似衛星発信装置
GPS疑似衛星発信装置

もっとも、この装置を使った場合、電波が届く範囲内はすべて同じ緯度経度として表示されてしまうのだが、それでは建物内での細かな人の動きを検出する方法はあるのだろうか。その答えは、日立のブースでいくつか見ることができる。

まず1つは加速度センサーとジャイロセンサーを使った位置特定技術だ。この2つのセンサーがセットになった装置を持っていると、今、その人が歩いているのか走っているのか、走っているとしたらどの程度のペースなのか、という動きのデータが無線接続されたパソコンから分かるようになる。

万歩計などでは進む速度によっても歩幅が変わるため、正確な位置特定ができなかったが、この方法だとかなり正確に測定できるようだ。

2つ目は、無線LANとRFIDチップ内蔵タグを使った位置検出だ。“日立 AirLocation II”という名前のソリューションで、IEEE 802.11b/gに対応する無線LANアクセスポイントはこの7月に、RFIDチップ内蔵タグは今月2日に発表されている。

3つの無線LANアクセスポイントを使う、三辺測量方式を採用。アクセスポイントのうち2つは位置検知専用だ。1つ1つのアクセスポイントにもクライアントとの距離を測定する機能が盛り込まれているという。

検知したタグ情報は、ネットワーク経由でデータセンターなどに送信され、位置検知ソフトを使ってタグを持ったユーザーの位置を特定する仕組みだ。

位置情報
パソコン
写真左の手前が無線LANアクセスポイントで、その左の黒い装置がRFIDチップ内蔵タグになる。検出できるのはタグだけでなく、無線LAN内蔵のパソコンも可能だ

こうした最新の研究技術を見ると、これからのブログでは文章や写真、映画といった目に見える情報だけでなく、記事の中に埋め込まれた商品から取得したデータや位置情報など、目に見えないデータ情報が重要になりそうだ。



(ITジャーナリスト 林信行)


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「汎用連想計算エンジン(GETA)」は、情報処理振興事業協会(IPA)が実施した「独創的情報技術育成事業」の研究成果です。



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