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【CEATEC JAPAN 2006レポート Vol.13】薄切りのDVDを重ねて、1TBに迫るデータを記録――日立マクセルブース

2006年10月04日 20時27分更新

文● 編集部 小林久

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対応製品が続々と登場し、Blu-ray陣営とHD DVD陣営の覇権争いも大詰めになっている。そんな中、日立マクセル(株)のブースには、次世代DVDのさらに次世代となる大容量記録メディアの展示が行なわれていた。

日立マクセルブース

既存DVD技術の流用が容易なSVODディスク

SVOD体積記録型光ディスクカートリッジ。スライスしたDVDの薄さを強調するため、ひしゃげた形のメディアが展示されていた

同社が2007年の実用化を目指して開発している“SVOD体積記録型光ディスクカートリッジ”は、既存のDVDをDVDの1/13となる92μmの厚さでスライスし、それを重ねることで高容量の記憶を実現する技術。ナノインプリント技術と呼んでいる。体積記録型という名前が示すように、重ねるディスクの枚数を増やせば、その分だけ記録容量を増やすことができる。会場では厚さ6.5cmのカートンに100枚のディスク(両面記録)を収納し、940GBの容量を提供するデモが行なわれていた。

パソコンに並べるように展示されているのがドライブ。自社開発した試作品だが、ドライブを開発してくれるメーカーを探しているところだという

メディアに関しては、単に薄いだけで、既存のDVDと同じ構造になっているため、市販DVDドライブの技術を流用して記録再生が可能。「展示では、キリがいい数字なので100枚にした」(同社広報)そうだが、実際にはそれ以上の枚数を重ねることも可能。また、DVDの赤色レーザーではなく、Blu-ray DiscやHD DVDで用いられているブルーレーザーを利用すれば、同じサイズで3~5TBクラスの容量も実現できるという。



デモはないものの、ホログラムディスクの実物も

ホログラムディスク

一方、同社のブースでは“ホログラムディスク”と呼ばれる、まったく新しい光ディスクの展示も行なわれている。従来の光ディスクが、ひとつのレーザーで書き込みと読み取りを行なっているのに対し、ホログラムディスクでは、2つの波長の揃ったレーザー光線(参照光とデータ光)をメディア内の感光体(フォトポリマー)で重ね合わせる。2つの光が交差する部分に生じる明暗の干渉パターンをデータの記録に利用する仕組みだ。

このとき、それぞれのレーザー光線の屈折率を変えると、同じ1点でも異なる干渉パターンを記録することができる。ホログラムディスクでは、参照光の角度を変えながら、異なるデータを記録していくことで、ディスク平面の記録密度が同じでも、記録できるデータ量を上げることが可能になる。つまり3次元的な記録ができるのである(角度多重記録)。

米InPhase Technologies社と日立マクセルが共同開発した仕様では、容量300GB、転送速度160Mbps。記録方法は追記型(ライトワンス)で、ディスクサイズは5.25インチ(130mm)。感光体の変質を避けるため遮光性のカートリッジに収められている。日立マクセルでは、2007年上期のサンプル出荷を予定しているという。



Blu-rayやHD DVD対応の記録メディアも参考出品

なお、日立マクセルのブースでは、このほかにも7月から販売を始めたHD DVDメディアや記録用のBD-R/BD-REメディアが展示されている。書き換え型のHD DVD-RWメディアなども参考出品されており、記録容量などが異なるさまざまなバリエーションパッケージが並んでいた。

今後発売される、Blu-ray Disc、HDDVD用のメディアに関しても展示されていた

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