このページの本文へ

「すべてを“SaaS化する”がコンセプト」――USB自動起動のSASTIKに新バージョン

2006年10月19日 19時47分更新

文● 編集部 小林久

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

(株)サスライトは19日、情報保護や社内システム統合に効果を発揮する、企業向けコラボレーションシステム『SASTIK III Collaboration Server』(SASTIK III CS)を発表した。システムインテグレーターなどを通じて、10月下旬ごろから順次出荷する。



SDKを公開し、より柔軟なシステム構築が可能に

SASTIK III CSは、USB認証デバイスとサーバーソフトウェアの連携により、異なるパソコンでも同一の環境で作業できる“モバイルシンクライアント”を実現するシステム。社内サーバーに置かれたアプリケーションやサーバーをネットワーク越しに利用する仕組みになっており、USB認証デバイスをパソコンに差すと、ウェブメール、オンラインストレージ、グループウェア、ウェブブラウザーなどの機能が並んだサイドバーが自動起動する。

SASTIK III
SASTIK III CSとともに使用するUSB認証デバイス

アプリケーションに関しては、これまでサスライトが独自に開発し、提供してきたが、今回から開発環境“SASTIK SDK”を用意し、APIなどの仕様も公開。システムインテグレーターが自由に機能拡張できるようにした。

サスライト代表取締役社長の植松真司(うえまつ しんじ)氏は「SDKを公開することで、ハードウェア、ソフトウェア、サービス提供のいずれにおいても柔軟性が出たと思う。それぞれの分野の製品や技術を持っているメーカーとアライアンスを組むことも容易で、よりスピード感のある対応ができるようになった」と話す。

グループウェア
今回からグループウェアの機能が加わったほか、キャッシュを残さないセキュアーなウェブブラウザーなども追加されている。グループウェアに関しては、サスライト社内で実際に使用し、ノウハウをためているという

すでにコンシューマー向けパッケージでは、(株)アイ・オー・データ機器などと連携している同社だが、今後も得意要素を持ち寄れる、パートナーシップを広げていきたいという。



Web 2.0を超えた表現が可能

最近では、企業システムでもウェブブラウザー経由で作業を行なうものが増えている。その背景には、社内やモバイル環境など、利用場所を問わず、異なるクライアントでも共通したインターフェースでシステムを利用したいというニーズがあるためだ。クライアントごとのバージョンの違いを考慮しなくていいため、管理が容易という側面もある。

リッチなインターフェースを
ブラウザーの仕様に制限されないリッチなインターフェースを提供できる点も特徴

SASTIK IIIでは機能をクライアントアプリケーションから、ネットワーク上のデータベースにアクセスする仕様となっているため、偏在性や即時性といったウェブベースシステムの特徴を兼ね備えている。一方で、表現力や処理速度の面では、ブラウザーベースのシステムよりも有利。また、既存のアプリケーションをSASTIK III CSにポーティングする際にも、基本的にデータの読み書きに関するWindowsのAPI(read_file、write_fileなど)をSASTIK III CS用のAPIに書き換えるだけで済むという。

SASTIK IIIで実行されるアプリケーションは、基本的に社内サーバー上に置かれており、アクセスごとにダウンロードする形となる。ただし、プログラムを暗号化したり、不完全な状態でUSBメモリーに保存しておき、鍵や不足部分だけを接続時に補うといった対応を行なうことで、ダウンロードの負荷も抑えられる。

植松氏は「すべてをSaaS化する」というのが、SASTIKのコンセプトのひとつだと話す。SaaSは“Software as a Service”の略で、ネットワーク経由でソフトウェアを利用するシステムの形態を指す。「今さら“クライアント”(Client)という言葉を使うのは恥ずかしいのですが、うちが目指しているのは“Client 2.0”的なものかもしれません。偏在性や即時性に加え、ウェブでは対応しきれない、表現力や使い勝手を提供できる点が特徴になります」(植松氏)。

社外からアクセスする際には、SSL-VPN技術による暗号化を提供。データに関してはサーバー側にすべて保存されているため、外出先で使用していたノートパソコンを紛失した際にも、アカウントを停止することでデータを保護できる。ユーザー認証に関してもID/パスワードのみ、あるいは生体認証デバイスとの組み合わせるなど、柔軟な対応が可能となった。

SASTIK III CSの価格は150ライセンスで、248万円(税別)。専用ハードウェアによる、シンクライアントを利用場合に比べて、1/5程度の初期コスト(ID1つあたり2万円程度)でシステムを構築できる点も特徴になるという。



SASTIK III Collaboration Server
サスライトの植松真司代表取締役社長(中央)。ホワイトボードに映し出されているのが最新バージョンのSASTIK III CSの画面

サスライトでは、法人向けのオリジナル製品としてSASTIK III CSをリリースしたが、年内をめどに同じ技術を利用した個人向け/アライアンス製品なども提供していく予定。同社では個人向け商品では、企業向け商品とは異なる“楽しめる・キャッチーな商品”を予定しているとのことなので、こちらも期待したい。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン