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三菱自の軽自動車“i”が大賞に!――“2006年度グッドデザイン大賞選出・表彰式”開催

2006年10月25日 21時35分更新

文● 編集部 小西利明

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50回目となるグッドデザイン大賞を受賞した三菱自の軽自動車“i(アイ)”。エンジンを後輪の車軸上に配置して、デザインや居住性と衝突安全性を兼ね備える
50回目となるグッドデザイン大賞を受賞した三菱自の軽自動車“i(アイ)”。エンジンを後輪の車軸上に配置して、デザインや居住性と衝突安全性を兼ね備える

(財)日本産業デザイン振興会は25日、東京都内にて“2006年度グッドデザイン大賞選出・表彰式”を開催し、各賞受賞作の表彰と共に、選出済みのベスト15の中から、会場の投票により“グッドデザイン大賞”を選出した。グッドデザイン大賞の栄冠には、三菱自動車工業(株)(以下三菱自)の軽自動車“i(アイ)”が輝いた。

ベスト15に選ばれ、グッドデザイン大賞を争った受賞者の方々
ベスト15に選ばれ、グッドデザイン大賞を争った受賞者の方々

今年で50回目を迎えたグッドデザイン賞には、国内外から3000社を超える応募があったという。特に今年は韓国や台湾からの応募も多く、ベスト15にも韓国サムソン電子社のビデオカムコーダーが入るなど、国際的な知名度の広がりを示す節目の年となった。

グッドデザイン賞の選定は、1~2次の審査を経て、金賞、そしてベスト15に当たる特別賞の選定が行なわれた。2006年度グッドデザイン賞を受賞したプロダクトは、1034件にのぼる。そして25日の大賞選出・表彰式では、ベスト15に選ばれたプロダクトのそれぞれについて、会場でプレゼンテーションを行ない、来場したグッドデザイン賞受賞者による投票で大賞作品が選出された。会場にはベスト15各プロダクトの展示説明ブースが置かれたほか、各プロダクトの担当者がステージ上で投票者にプレゼンテーションを行なう時間も設けられた。ただし持ち時間は3分と厳しく制限されていたため、話が終わらなかったりプレゼンテーションソフトの操作がうまくいかなかったりと、本番ならではのトラブルも起きていた。

ベスト15に選ばれたプロダクトは以下のとおり(プレゼンテーション順)。軽自動車や電動カート、AV機器といったいかにもなものから、横浜市の都市デザインや富山市の都市に調和する路面電車などちょっと変わったものまで、非常にバラエティーに富んだラインナップだ。オクソーの“ダイコングレーター”(ようするに大根下ろし)などは、パッと見には大根下ろしには到底見えないモダンなデザインだけでなく、大根を下ろしやすいように歯の配置を不均衡にしたり、余分な水の排出口や、未使用時の縦置き設置などの形状まで、非常に考えぬかれた製品であった。

とても“大根下ろし”には見えないオクソーの“ダイコングレーター”。斬新な見た目だけでなく、機能や収納性も考慮した逸品だ
とても“大根下ろし”には見えないオクソーの“ダイコングレーター”。斬新な見た目だけでなく、機能や収納性も考慮した逸品だ
ホンダの電動カート“モンパル”。高齢者向け電動カートのイメージを覆すスタイルと、安全性やバリアフリーへの配慮を兼ね備える ニコンの顕微鏡『ファーブルフォト』は、“屋外で虫や植物を観察する”コンセプトに基づいた製品。市販のデジタルカメラを接続して、対象物の撮影も可能
ホンダの電動カート“モンパル”。高齢者向け電動カートのイメージを覆すスタイルと、安全性やバリアフリーへの配慮を兼ね備えるニコンの顕微鏡『ファーブルフォト』は、“屋外で虫や植物を観察する”コンセプトに基づいた製品。市販のデジタルカメラを接続して、対象物の撮影も可能
本田技研工業(株)
電動カート“モンパル”
三洋電機(株)
充電式ニッケル水素電池“eneloop
サムスン電子(株)
デジタルカムコーダー『SC-X210L』
(株)ニコン、(株)ニコンビジョン
顕微鏡“ネイチャースコープ”『ファーブルフォト』
ソニー(株)
携帯型リニアPCMレコーダー『PCM-D1』
パイオニア(株)
Power Line Sound System“music tap”
オクソー・インターナショナル
ダイコン グレーター“オクソー グッド・グリップス”
川崎重工業(株)
“台湾高速鐵路 700T型列車”
(株)コムデザイン
住宅“東京ハウス”
横浜市
横浜市の一連の都市デザイン
(株)GK設計、富山市、富山ライトレール(株)
富山ライトレール 富山港線
三菱地所(株)
大手町カフェ
(株)ウィルコム
SIM STYLE
サイバーダイン(株)、(株)エルムデザイン
ロボットスーツ“HAL-5”

軽自動車vsロボットスーツ!? 決選投票までもつれた結果は

15社によるプレゼンテーション終了後、ステージ上で来場したグッドデザイン賞受賞者による大賞選出のための投票が行なわれた。選出投票は15のプロダクトに対して、受賞者が各人1枚ずつ持つ投票権を示すコインを、“これが大賞”思ったプロダクトの箱に入れるといった方法で行なわれた(※1)。1回目の投票で上位5位までを選出。2回目の投票で大賞が決するのだが、1位と2位の差が100票未満だった場合は決戦投票が行なわれるという、なかなか興味深い趣向だ。

※1 審査委員と審議委員は10票分の投票権を持つ

ステージ上で披露された“HAL-5”の実物。途中、重い箱を持ち上げた際に、肩にあるスイッチが切れてしまい、装着者が慌てるという一幕も 展示スペースには、赤いカラーリングのHAL-5も出展。言うまでもないが3倍速かったりはしない
ステージ上で披露された“HAL-5”の実物。途中、重い箱を持ち上げた際に、肩にあるスイッチが切れてしまい、装着者が慌てるという一幕も展示スペースには、赤いカラーリングのHAL-5も出展。言うまでもないが3倍速かったりはしない

1回目の投票では、サイバーダインのロボットスーツが156票を集めて1位。以下オクソーのダイコングレーター、三菱自のi、パイオニアのPLC対応サウンドシステム、三洋のeneloopが2回目の投票に進んだ。ロボットスーツはTVでの露出もたびたび行なわれていたものだけに、非常に評価も高い。大根下ろしも高評価だ。

1回目の投票結果。ロボットスーツや大根下ろしなど、上位5作品が2回目に進出した
1回目の投票結果。ロボットスーツや大根下ろしなど、上位5作品が2回目に進出した

続いて行なわれた2回目の投票では、ロボットスーツが253票で1位、三菱自のiが228票で2位にランクアップ。差が100票未満であることから、決選投票が行なわれることなった。残念ながらダイコングレーターは190票の3位に終わった。

そして注目の決選投票。1回目2回目と余裕の1位通過を見せたロボットスーツ有利かと思われたが、スクリーンに映し出された結果は“ロボットスーツ 412票、i 478票”! まさかの三菱自勝利に、会場は「おおっ!」というどよめきに包まれた。

決選投票の票を投じるグッドデザイン賞受賞者。会場は奇妙な熱気に包まれていた 決選投票の結果が映し出された瞬間。会場は大きなどよめきに包まれた。ロボットスーツ残念ながら敗退
決選投票の票を投じるグッドデザイン賞受賞者。会場は奇妙な熱気に包まれていた決選投票の結果が映し出された瞬間。会場は大きなどよめきに包まれた。ロボットスーツ残念ながら敗退

各賞および大賞の授与式では、iのプレゼンテーターを務めた三菱自 常務取締役 商品開発統括部門担当の相川哲郎氏が、「2年前に品質の問題を起こして以来、晴れがましい席や賞から最も遠い存在だった。この喜びをiのプロジェクトメンバーだけでなく、弊社1万人の社員と、社員を支えてきた家族全員と分かち合いたいと思います」と、受賞の喜びの弁を語った。

見事グッドデザイン大賞を受賞し、表彰を受ける三菱自 常務取締役の相川哲郎氏(左から3人目)とプロジェクトのスタッフ
見事グッドデザイン大賞を受賞し、表彰を受ける三菱自 常務取締役の相川哲郎氏(左から3人目)とプロジェクトのスタッフ

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