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インテル、ヘルスケア事業戦略についての説明会を開催――vProベースのベッドサイド端末も登場


2006年11月13日
デジタルヘルス事業の実例として披露されたネットワーク対応の脈拍計。測定データを無線LANでノートパソコンに送信できる
デジタルヘルス事業の実例として披露されたネットワーク対応の脈拍計。測定データを無線LANでノートパソコンに送信できる

インテル(株)は13日、東京都内にて記者説明会を開催し、同社のデジタルヘルス事業部が行なうヘルスケア事業の戦略についての説明を行なった。医療機関でのITネットワークの活用促進や、医療現場で利用するプラットフォーム開発などを通じて、ヘルスケア事業の拡大を目指す。

米インテル社が2005年1月にデジタルヘルス事業部を設立して以降、同社のプラットフォーム技術を医療分野に応用する取り組みを進めている。背景には医療分野でのITの活用と、先進国で顕著な高齢化の進展と医療費の増大の問題などがある。医療機関の中だけでなく、医療機関と患者や家族の家をつないだ情報共有と活用も、デジタルヘルス事業の対象となる。

米インテル グローバル・ヘルス・ストラテジー ディレクターのマーク・ブラット(Mark Blatt)氏は、ITが医療分野のビジネスプロセスにもたらす効果について、一般企業のビジネスプロセスと同様の“業務管理”“収益管理”と、医療機関ならではの“診療”“コンシューマー・サービス”の4分野に分けて説明した。またITを徹底的に活用した医療現場を“統合デジタルホスピタル”と定義。統合デジタルホスピタルでは、さまざまな医療機器や電子カルテなどの情報を、ネットワークを介して医師や患者の意志決定に、それもセキュアな状態で活用できるとした。今後の展望については、標準規格の策定と相互運用性の確立が必要という。

米インテル グローバル・ヘルス・ストラテジー ディレクターのマーク・ブラット氏
米インテル グローバル・ヘルス・ストラテジー ディレクターのマーク・ブラット氏
ITを活用した“統合デジタルホスピタルのイメージ。診療の効率化や業務プロセスの改善など多岐に渡る
ITを活用した“統合デジタルホスピタルのイメージ。診療の効率化や業務プロセスの改善など多岐に渡る

米国アラバマ州のセントビンセント病院での、モバイル機器とRFIDの導入事例も紹介された。病床管理の最適化により収容能力が40%向上したほか、入院期間の短縮や入退院・転院の回数低減などの効果もあり、導入完了時には導入前と比較して150%の投資対効果が見込めるという。収容能力の向上は、病院の数を増やさずに済むという効果も生むとされ、社会全体にかかる医療コスト増大の抑制に効果を期待できそうだ。

また医療機器と無線通信による干渉については誤解があると、ブラット氏は述べた。米国では30%以上の病院が院内でIEEE 802.11a/b/g無線LANを使用しているが、過去4年間に導入済みの数百の病院で、干渉の報告はないという。むしろ医療機器側から無線通信に干渉が起こる場合があるので、それを踏まえたネットワーク構築が必要ということだ。

インテル代表取締役共同社長の吉田和正氏は日本でのデジタルヘルス事業部の活動について述べ、2006年は医療用プラットフォームの開発や病院のネットワーク化の推進に当たったという。特に医療用プラットフォームについては、同社のプラットフォーム技術(Centrino、vPro)ならば、低消費電力とさまざまなアプリケーションを動かせるパフォーマンスを備える利点を持つとしている。

医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 院長の亀田信介氏
医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 院長の亀田信介氏

国内医療機関でのIT活用の事例としては、千葉県鴨川市にある医療法人鉄蕉会 亀田総合病院の事例が紹介された。院長の亀田信介氏によると、同病院では1995年から電子カルテの導入を進め、地域の医療機関でのネットワーク作りを推進してきたとのことだ。そのIT活用のコンセプトは、“医療にまつわるデータ共有”と“データ共有による効率化”の2点にある。さらに情報共有についても、医療機関同士での情報共有と、医師と患者・家族との情報共有の2点があるという。特に亀田氏は後者について、医療は医師と患者の“信頼に基づく契約”がなければ成り立たないとして、ITを活用した医師と患者の情報共有により、信頼関係の構築を行なう必要性を訴えた。またITによる情報共有によって、医療事故の内部による隠蔽をしにくい組織を作ることの重要性も説き、「情報共有は火のようなもの。(火は)怖そうではあるが、一度使えば動物や食中毒、凍死から守ってくれる。医療界も早く火を使って、人間になったほうがよい」と、情報共有による医療機関の改革を訴えた。



ビデオで披露された亀田総合病院での情報共有の例。入院患者はベッドサイド端末を使い、自分の診療に関する情報を参照できる
ビデオで披露された亀田総合病院での情報共有の例。入院患者はベッドサイド端末を使い、自分の診療に関する情報を参照できる
患者の家族もインターネット経由で、患者の診療に関する情報を閲覧できる。セキュリティー確保のため、ICカードによる認証を行なうようだ
患者の家族もインターネット経由で、患者の診療に関する情報を閲覧できる。セキュリティー確保のため、ICカードによる認証を行なうようだ

続いて登壇した医療用情報機器ベンチャー企業の(株)ヴァイタス 代表取締役社長の曽根伸二氏は、同社が開発したvProテクノロジーベースのベッドサイド端末について紹介した。通常入院患者のベッド脇にある時は、ビデオオンデマンドなど患者を休らわせ楽しませるための機器として動作している。しかしパソコンに接続されたICカードリーダーに医療スタッフがICカード(専用アプリケーションの入ったEdyカード)をかざすと、OS自体が切り替わり、患者のバイタルや投薬などの医療情報を参照する端末に変化する。

vPro対応パソコンを使ったベッドサイド端末のデモ。患者は端末を使ってビデオを楽しめる
vPro対応パソコンを使ったベッドサイド端末のデモ。患者は端末を使ってビデオを楽しめる
手前のカードリーダーにEdyカードをかざすと、ほぼ一瞬で医療情報端末に早変わり
手前のカードリーダーにEdyカードをかざすと、ほぼ一瞬で医療情報端末に早変わり
vPro対応ベッドサイド端末によるソリューションの例。仮想化技術を用い、OSだけでなくネットワークやHDDも分離することでセキュリティーを確保する
vPro対応ベッドサイド端末によるソリューションの例。仮想化技術を用い、OSだけでなくネットワークやHDDも分離することでセキュリティーを確保する

vProテクノロジーによるハードウェア仮想化技術と、内蔵した2台ずつのHDDおよびネットワーク機能によって、患者向けのサービスと医療スタッフ向けのサービスを1台の端末上で完全に分離することで、情報漏洩のリスクを避けつつ必要な機能を提供できるとしている。またインテル吉田氏もネットワーク経由で端末をリモート管理できるvPro対応プラットフォームの利点は、ベッドサイド端末などにも有用であるとした。

(編集部 小西利明)


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